お金を使わない習慣のメリットとデメリットとは

お金を使わない習慣のメリットとデメリットとは

自分の将来や、いざという時に備え、なるべく無駄なお金を使わず節約している、という人は多いと思います。テレビや雑誌でも、「無駄遣いを減らす方法」や「お金を使わない生活術」といった節約の知恵が特集されており、関心の高さが窺えます。

確かに、節約には多くのメリットがあります。しかしお金を貯めれば必ず豊かな生活を手に入れられるかというと、そうとは限らないようです。逆に、お金を使わないことがかえって不利益を招く可能性も考えられます。

そこで今回は、お金を使わないことに固執し過ぎるリスクと、自分にプラスになるお金の使い方について、掘り下げてみたいと思います。

お金を使わない「節約生活」のメリット

日ごろから節約を意識して生活することはとても大切です。浪費グセがあると、無駄な出費が膨らんで生活を圧迫してしまうケースもあり、なにか欲しいものややりたいことがあっても、予算が捻出できず諦めざるを得なくなってしまうかもしれません。

節約生活をして貯蓄が増えれば、何かにつけて選択肢の幅が増え、精神的なゆとりを持てるようになる人も多いでしょう

節約をして出ていくお金を減らせば、手元に残るお金は増えます。1日たった300円の節約でも、1カ月で9,000円、1年で10万円以上のお金が貯まることを考えれば、日々のこまごまとした節約もバカにできません。

また、外食を1回減らせばそれだけで1,000円~2,000円の節約に、美容院へ行く頻度を減らせば、たった1回で10,000円以上が浮くこともあります。

節約のチャンスは日常のあちこちに散らばっており、心がけ次第で貯蓄を少しずつ増やしていくことは決して難しいことではありません。

もうひとつ、節約には大きなメリットがあります。それは、浪費グセがなくなり物欲に支配されなくなることで、「少ない予算で暮らせるようになること」です。
老後も含めた長い人生を見据えたとき、低コストで暮らす習慣が身についていることは大きな強みではないでしょうか。

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「お金を使わない」に執着し過ぎるリスクとは?

節約には多くの利点があるものの、あまり出費を抑えることばかりに執着してしまうと、そのうちお金を使うことに罪悪感を抱いたり、「お金がかからない」という点が選択の判断基準になってしまうことも懸念されます。

無駄遣いや浪費は避けるべきですが、お金を使うこと自体は悪いことではありません。むしろ、使い方によっては日々のストレスを大いに軽減したり、教養を広げて自分の価値を高めたりと、たくさんのプラスの作用をもったものでもあるのです。

上智大学名誉教授の渡部昇一氏は、自身の著書のなかで、「お金のもつポジティブな力」についてこのように話しています。

「『お金は力』などと言えば、たちまち『金の亡者』だのと揶揄されるだろうが、実際、お金は力なのである。お金の力が発揮されるのは、何も時代劇の悪徳代官が手に入れる賄賂のような汚い部分だけではない。使いようによっては、生活の充実度を格段に上げてくれる、非常にポジティブなお金の力もあるのだ。たとえば、『自由』がそうである。というのも、私自身が、お金の力によって自由を手に入れた経験があるからだ。」*1

苦学生時代に、生活費、授業料、教科書代をどうやって捻出するか頭を悩ませていたという渡部氏は、奨学金でドイツ留学をしたことがきっかけで、「本当に何の心配もない自由」を初めて実感したといいます。そして、この留学経験から「自由というものはお金に大いに左右されるものだ」ということを知ったそうです。*1

通帳の数字が増えていくのが何よりの楽しみ、という人もいるかもしれませんが、そこに必要以上にこだわってしまうと、お金を貯めること自体が目的になって、お金の持つ可能性を十分に生かせなくなってしまうかもしれません。

経済評論家の板倉雄一郎氏は、お金の価値をこのような言葉で語っています。

「あなたにとって、お金の価値とはなんでしょう。なるべくたくさんの現金が手元にあること?たしかにそれは喜ばしいことですが、お金の価値は実際に何かを買ったり、何かに投資したりしたとき、ちょっと難しく言うと、実体経済価値と引き換えたときに初めて表れます。」*2

このように、お金を本来の役割である「何かしらの価値と引き換える手段」という視点から捉えてみると、自分にとって本当に価値のあるお金の使い方、お金を貯める目的が見えてくるのではないでしょうか。

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お金を使う前に考えるべきこと

無駄な支出をなくし、有意義なお金の使い方をしていくために、ぜひ次からお話しすることを意識してみてください。

費用対効果を考える

前述の板倉氏は、お金を使う際は価格だけにとらわれるのではなく、支払った価格以上の価値を手に入れられるかどうか頭を働かせることが重要だと述べています。*2

確かに、モノを購入するときに常に費用対効果を考えるようにすれば、自分にとってそれが価値のある買い物か否かの判断がつきやすくなるでしょう。

たとえば、数年前に発売されて話題になった書籍「服を買うなら、捨てなさい」の中で、著者の地曳いく子氏は、服を買うときの明解な判断基準を述べています。それは、「高いか安いかは、着る回数で判断する」というもの。

「服を選ぶときは、それが自分にとってどのくらいコストパフォーマンスがよいものかと考えることも、重要なポイントのひとつです。自分にとってのコストパフォーマンスのよさとは、『それを買ったら何回くらい着られるか』ということ。『何年』ではなく『何回』です。数年に1回とか、ほとんど着ずに20年保管できたといっても、元を取ったことにはなりません。ちゃんと着て、活用できるのが何回か。その回数で値段を割ってみましょう。」*3

何回着るかという現実的な数字は、その洋服が自分にとってどのくらいの価値があるのかを正しく見極め冷静な判断をするのに、確かに役立ちそうです。

また、食費節減のために特売をしている遠くのスーパーまで時間をかけて足を運ぶか、多少高くついても近所のスーパーでサッと買い物を済ませるか、というようなケースにも同様のことがいえます。
後者は前者に比べて金銭的には損をしますが、その代わり移動にかかる手間と時間を節約できます。忙しくて買い物にあまり時間を割けない人にとっては、近場で時間をかけずに買い物ができるメリットは、十分その差額に見合った価値だと考える人も多いでしょう。

大切なのは、自分がその出費に対してどのくらいの価値を見出せるのかを、きちんと自覚することではないでしょうか。

お金を使うときは、ぜひ「費用対効果」を考えるクセをつけて、生きたお金の使い方をするよう心がけましょう

浪費はしない

自分が日々どのくらいお金を使っているかよくわからない……という人は、気づかないうちに浪費グセが身に付いてしまっている可能性があります。

なくてもいいものを買ってしまったり、無計画に衝動買いをしてしまったりするのは、お金に対して無頓着な証拠だといえます。「買ったのに読んでいない本や雑誌がある」「食品を賞味期限切れで捨てることが多い」というような人は、一度しっかりお金の使い方を見つめ直してみることをおすすめします。

それには、お金の出入りを把握することが欠かせません。浪費を防ぐために、まずは家計簿をつけることから始めてみましょう

また、何かを購入するときは、「これは本当に自分に必要なものなのか」と、ひと呼吸置いて自問自答してみることが大事です。似たようなものをすでに持っていないか、すぐに役立たなくなってしまうのではないか、自分には贅沢過ぎないかといった点を、じっくり考えましょう。

上で述べているように、ただ「お金を使わない」ということにこだわるのではなく、自分に必要のないものに散財しないという意識を持つことが肝心です

無駄な出費が減って低コストで生活できるスキルが身に付き、収入よりも少ない支出で暮らせるようになると、普通に生活しているだけでお金が貯まるようになります。ぜひこのような「貯まる家計」を目指していきましょう。

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まとめ

お金を貯める目的が、将来困らないためという人は多いと思いますが、お金がもたらしてくれるのは、将来への安心感だけではありません。

お金にはもっと多くの可能性が秘められており、上手に活用すれば現在の自分の境遇、心の持ちよう、生き方まで変えていくことも不可能ではないでしょう。

節約や貯蓄に励むのももちろん大切ですが、ときには視点を変えて「お金でできること」に意識を向けてみると、お金との新たな向き合い方を発見できるかもしれません

*1  出所)「一瞬で脳力がアップする!考える技術」(渡部昇一 著)

*2  出所)「おりこうさんおばかさんのお金の使い方」(板倉雄一郎 著)

*3  出所)「服を買うなら、捨てなさい」(地曳いく子 著)

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