金利はこれからどうなる?2026年度の見通しと家計対策

金利はこれからどうなる?2026年度の見通しと家計対策

※当社としての見通しではありません

金利が動き始め、家計に関わるお金の状況も少しずつ変わってきました。日本では長く低金利が続いてきましたが、その流れに変化が見られており、住宅ローンの返済額や預金の利息にも影響が及び始めています。
この記事では、2026年度の金利の見通しを中心に、日銀の金融政策や海外の動向、そして家計で押さえておきたい対策のポイントを順にたどっていきます。

日本の金利についての基本的な背景

金利の仕組みと政策金利の役割

金利は、お金を借りるときに支払う「利用料」のようなものです。日銀が決める政策金利は、銀行どうしが短期でお金を貸し借りする際の基準になり、ここが変動すると私たちの預金金利やローン金利にも波及します。

短期プライムレートと長期プライムレートは、銀行が企業に貸し出す際の目安です。短期プライムレートは1989年以降、都市銀行が優良企業向けの短期貸出に適用してきた最優遇金利で、最も多くの銀行が採用した金利および最高・最低の金利が示されます。一方、長期プライムレートは、みずほ銀行が優良企業向けの長期貸出に適用するものとして決定・公表した金利です。*1

政策金利が上がるとこれらの貸出金利も上昇しやすくなるため、住宅ローンや事業資金の借入コストに影響が広がります。金利の動きを読む際には、まず政策金利の方向性を確認することが出発点になります。

マイナス金利解除から段階的利上げへの経緯

日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、大規模緩和に終止符を打った後、段階的な利上げを進めてきました。*2

利上げの進み方は当初不透明でしたが、2024年7月に0.25%、2025年1月に0.5%、そしてアメリカの関税政策の影響が落ち着いたことを踏まえて2025年12月に0.75%まで引き上げが進みました。*3

こうした一連の流れから、約30年続いてきた低金利の構造から抜け出しつつあるといえます。今後の見通しを考えるうえで、利上げの経緯を時系列で把握しておくことが重要です。

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2026年度の日銀金融政策と政策金利の見通し

利上げ路線の継続と中立金利への接近

2026年度の金利の見通しでは、日銀が利上げ路線を続けるかどうかが最大の焦点です。2026年の日銀の金融政策は、引き続き利上げ路線を維持すると市場では見られています。春闘で堅調な賃上げの動きが確認できれば、さらなる利上げに向けた議論が本格化すると考えられます。*4

さらに、政策金利が中立金利の下限にどこまで近づくかが、2026年度の見通しの軸になります。ただし、この水準は幅をもってみる必要があります。日本銀行も、自然利子率は直接観察できず、推計には不確実性があると述べています。加えて、今後の利上げ余地を考える際には、物価や景気、政府の経済運営の方針もあわせてみる必要があります。*5

物価2%目標と賃上げの動向

利上げを進めるかどうかの判断では、物価と賃金の動きが重視されます。日銀は2026年1月時点の見通しで、消費者物価の前年比が本年前半には2%を下回る水準まで減速するとしました。ただし一時的な変動を取り除いた基調的な上昇率は緩やかに上昇が続くと見込んでいます。その後は景気の改善が続くもとで、物価と賃金は徐々に高まるとの見方を示しました。*4
内閣府は成長移行ケースとして、全要素生産性(TFP)上昇率が過去40年平均の1.1%程度まで高まると予測しています。このケースでは実質成長率が1%を安定的に上回り、名目成長率は中長期的に3%程度になるとしました。*6

春闘の結果は日銀の利上げ判断に直結するため、2026年度の賃上げ率がどの水準で着地するかを確認することが欠かせません。

量的縮小(バランスシート政策)がもたらす長期金利への影響

長期金利の見通しには、政策金利だけでなく、日銀による国債買入れの減額も関わります。日銀は2024年7月、長期国債の買入れ額を段階的に減らしていく計画を示しました。長期金利は市場で決まるものですが、こうした国債買入れの方針も、市場の金利環境をみるうえで重要な材料になります。*7
日銀が国債の買い入れ額を減らしていくと、市場に出回る国債の量が増え、長期金利には上昇圧力がかかりやすくなります。*7

住宅ローンの固定金利は長期金利に連動するため、この動きは家計にも波及します。2026年度の見通しとしては、政策金利の引き上げと国債買い入れ縮小の両面から金利上昇の要因を確認しておく必要があります。

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海外金利と世界経済が日本に与える影響

米FRBの利下げペース鈍化と日米金利差の変化

2026年度の金利の見通しは、国内要因だけで決まるわけではありません。アメリカの金融政策も大きく影響します。2026年以降の米国の政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の予測中央値は、2026年が3.4%、2027年が3.1%です。*8

金利の上昇は、為替や政府の借入コストにも影響します。中央銀行が金利を引き上げると通常はその国の通貨価値を高める効果があります。日本の場合、円の価値が米ドルやユーロなどの主要通貨に対して低いことが輸入コストを押し上げ、インフレを助長してきたため、円高はインフレ緩和につながる可能性があります。一方で金利の上昇は政府の借入コストを押し上げます。*9

日米の金利差がどう変化するかによって為替レートが動き、輸入品の価格や企業収益にも跳ね返ります。米国FRBの動向と日銀の利上げペースを並べて確認することが、2026年度の見通しの精度を高めるポイントです。

世界経済の減速と貿易摩擦リスク

世界経済の成長率見通しは、日本の金利環境にも影響します。世界経済の成長率は6月時点の予測から上方修正され、今後2年間は概ね安定的に推移し、2026年に2.6%へ減速した後、2027年には2.7%に回復する見込みです。*10
世界のインフレ率は、関税の引き上げや労働市場の逼迫などで上昇圧力がかかっています。2025年の世界のインフレ率は平均2.9%と予測されており、依然としてコロナ前の水準を上回っています。*11

海外経済が減速すれば日本の輸出や企業業績に影を落とし、日銀の利上げペースにも影響する可能性があります。世界の成長率とインフレ率の推移を合わせて追うことが、日本の金利の見通しを読み解く手がかりになります。

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金利上昇が家計に及ぼすメリットとデメリット

預金金利・個人向け国債利回りの改善

金利が上がると、預金や個人向け国債の利回りが改善し、お金を預ける側には恩恵があります。長い間ほぼゼロだった普通預金の金利も、政策金利の引き上げに合わせて各銀行が見直しを進めています。
全国銀行の貸出金は、2026年1月末のデータでは前年同月末比で21兆7,988億円、3.6%増となり、53か月連続で増加しました。*12

貸出金が増えている局面では銀行の収益余力も大きくなりやすく、預金金利の引き上げ余地にも関わります。
預金金利や国債利回りの変化を、現在利用している金融機関の条件と比べて確認してみてください。

住宅ローン・各種ローン返済額の増加

金利上昇は、借りる側にとってはコスト増に直結します。住宅ローンの変動金利は政策金利に連動するため、利上げが進めば毎月の返済額が増える可能性があります。
二人以上世帯の消費支出は2026年2月時点で1世帯当たり289,391円であり、前年同月比で実質1.8%の減少、名目0.4%の減少でした。*13
物価上昇で実質的な購買力が縮んでいるなかでローン返済額が増えると、家計の負担感はさらに大きくなります。
ローンの残高や返済期間を改めて把握し、金利が上がった場合の返済額の増加幅を計算しておくことが具体的な備えとなります。

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住宅ローン金利の種類別見通しと選び方

変動金利型の金利見直しルールと上昇シナリオ

変動金利型の住宅ローンは、半年に一度金利が見直される仕組みです。半年ごとに返済額が変わると家計管理が難しくなるため、元利均等返済方式の場合には緩衝ルールが設けられていることが多いです。金利が上がっても5年間は返済額が変わらず、6年目から上がる場合でも前回支払額の125%以内に抑えるというルールです。*14

このルールは返済額の上限を制限するもので、利息の負担自体が消えるわけではありません。返済額の中で利息の割合が増え、元本の減りが遅くなる点には注意が必要です。借入先の金融機関に適用金利の変更時期を確認し、家計のキャッシュフローへの影響を事前に把握しておくことがポイントです。

固定金利型・フラット35の動向と判断基準

固定金利型の住宅ローンやフラット35の金利は、長期金利の動きの影響を受けやすいとされています。実際に、10年国債利回りは既に上昇傾向にあり、長期金利は過去10年でみると高い水準にあります。*15
固定金利は借入時点の金利が返済期間を通じて変わらないため、金利上昇局面では将来の負担増を避けられる利点があります。一方、現時点の金利水準は変動金利より高いことが一般的です。変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは、今後の利上げ幅の見通しとローン残高、返済期間を並べて判断することが重要です。

すでに変動金利で借りている場合は、固定金利への切り替え手数料や諸費用を含めた試算を行い、総返済額での比較を確認しておくことも大切です。

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2026年度に実践したい家計の金利対策

繰上返済・借換え検討時の注意点

繰上返済は、金利上昇への備えとして手堅い選択肢のひとつです。貯蓄に余裕があるなら繰上返済を行うことが効果的で、期間短縮型を選択して完済時期を早めることは金利上昇リスクへの防衛策になります。まとまった貯蓄がなくても、繰上返済金額に制限を設けず手数料も無料という金融機関が増えています。たとえばボーナス時に毎回数万円ずつ繰上返済を行う方法でも、継続することで高い効果が期待できます。*14

借換えを検討する場合は、借換え先の金利水準だけでなく、事務手数料や保証料、登記費用といった諸費用も含めた総コストで比較する必要があります。金利差が小さい場合や残りの返済期間が短い場合には、諸費用を差し引くとメリットが出ないこともあります。*16

繰上返済を優先するか借換えに踏み切るかは、手元の流動資金がどれだけ確保できるかによって変わります。家計の預貯金残高と今後の支出予定を洗い出し、無理のない範囲で判断してください。

貯蓄・資産運用の見直しと家計収支の点検

金利が上がる局面では、借入コストだけでなく資産の運用先も見直す好機です。預金金利の引き上げが進んでいるため、普通預金に置いたままの資金を定期預金や個人向け国債に振り分けるのも選択肢の一つです。

勤労者世帯(二人以上)の実収入は、2026年2月時点で1世帯当たり589,038円となっており、前年比で名目3.0%の増加ですが、消費者物価指数で実質化すると1.6%の増加と名目の収入は増えていても、物価上昇を差し引くと、実質的な手取り額はそれ程増えていません。*13

毎月の収入と支出の差額を把握し、余剰資金をどこに振り向けるかを月単位で点検することが、2026年度の金利環境に合わせた家計管理の出発点になります。

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おわりに

2026年度の金利の見通しは、日銀の利上げ路線が継続するかどうか、春闘の賃上げ結果、海外の金融政策と世界経済の動向という複数の要因が絡み合って決まります。ひとつの数字だけを見るのではなく、政策金利・長期金利・為替の3つを合わせて見ることが大切です。
住宅ローンの返済計画や貯蓄の配分は、金利が動くたびに影響を受けます。自分の家計の借入残高・返済期間・手元資金を定期的に確認し、変化に対応できる準備を整えるといいでしょう。

*1 出所)日本銀行ホームページ –「「貸出約定平均金利の推移」の解説

*2 出所)日本銀行ホームページ 「金融政策の枠組みの見直しについて

*3 出所)日本銀行ホームページ 「2025年12月金融政策決定会合での決定内容

*4 出所)日本銀行「展望レポートのハイライト」(2026年1月)

*5 出所)日本銀行「自然利子率の計測をめぐる近年の動向

*6 出所)内閣府「中長期の経済財政に関する試算

*7 出所)日本銀行「金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について

*8 出所)ジェトロ「 「米FRBは反対複数も3回連続利下げ、2026年の利下げ見通しは1回(米国)

*9 出所)日本銀行「【挨拶】野口審議委員「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(宮崎)

*10 出所)World Bank「歴史的な貿易と政策の不確実性の中でも強靭さを示す世界経済

*11 出所)World Bank「 世界経済の成長率は、景気後退期を除けば2008年以来最も低い水準に

*12 出所)一般社団法人 全国銀行協会「全国銀行 預金貸出金速報」2026年1月末(令和8年1月末)

*13 出所)総務省統計局「 家計調査報告

*14 出所)一般社団法人 全国銀行協会 「Q.現在借りている変動金利がアップしないか、不安です | 住宅購入

*15 出所)財務省「 国債金利情報

*16 出所)住宅金融支援機構「 【フラット35】

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