株式や投資信託などの保有を通じて得られた利益には、所得税と住民税が課されます。
金融機関によって源泉徴収が行われていれば申告の必要はありませんが、源泉徴収されていない場合は原則として確定申告が必要です。
投資の利益を申告しないと、税務署に指摘されて追徴課税を受けるおそれがあります。延滞税や無申告加算税・重加算税が加算されることにより、本来よりも税負担が重くなってしまいます。投資によって利益が出たら、必ず納税をしてください。
本記事では、投資の利益に対して課される税金の種類や納付方法、税金を払わなかったらどうなるのかなどを解説します。
投資で得た利益には税金が課される
株式や投資信託の保有を通じて利益を得た場合には、その額に応じた所得税と住民税が課されます。
たとえば株式を保有していると、銘柄によっては定期的に配当金を受け取れます。また、買った時よりも値上がりした状態で売却すると、差額が譲渡益となります。株式の配当金と譲渡益は、いずれも所得税と住民税の課税対象です。
投資信託についても、銘柄によっては定期的に分配金を受け取れるほか、買った時よりも値上がりした状態で売却すれば譲渡益が生じます。投資信託の分配金と譲渡益にも、所得税と住民税が課されます。
後述するように、投資によって得られた利益について納税をしないと、税務署に指摘されて追徴課税を受けるおそれがあります。
申告・納税の必要がないかどうか、毎年の状況確認をおすすめします。
投資の税金を納付する方法
投資の利益に対する税金は、金融機関によって源泉徴収が行われることもあります。源泉徴収されている税金については、自分で申告する必要はありません。
これに対して、税金が源泉徴収されていない場合は、原則として自分で確定申告をして納付する必要があります。
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金融機関が源泉徴収をする|別途申告は不要
金融機関が源泉徴収している税金については、源泉徴収の時点で課税が完結しているので、別途自分で確定申告や納税をする必要はありません。
株式や投資信託の譲渡益|口座の種類によって確定申告の要否が異なる
株式や投資信託を売却した際に得られた値上がり益(譲渡益)は、証券口座の種類によって源泉徴収の有無が異なります。
特定口座(源泉徴収あり)において生じた譲渡益については、金融機関による源泉徴収が行われるので、確定申告は必要ありません。
また、NISA口座はそもそも非課税とされているので、源泉徴収は行われないものの確定申告は不要です。
株式の配当金や投資信託の分配金|源泉徴収されるため、確定申告は不要
上場株式等の配当金・投資信託の分配金は、現行では原則支払時に20.315%の源泉徴収が行われます(NISAを除く)。なお、特定口座の区分(源泉徴収あり/なし)は、譲渡益について源泉徴収を行うかどうかに関するものです。配当金・分配金については、口座区分の如何を問わず源泉徴収が行われます(NISA口座を除く)。源泉徴収がなされた仕組みです。
配当金や分配金については、確定申告をする必要はありません。
ただし、納税者の判断で配当金や分配金の確定申告をすることは認められています。確定申告によって配当控除や外国税額控除を受けると、税負担が軽減されることもあります。
自分で確定申告をして納付する
特定口座(源泉徴収なし)または一般口座の場合、株式や投資信託の譲渡益について源泉徴収が行われません。そのため、原則として自分で確定申告をして納税する必要があります。
ただ、本業給与のある会社員で給与以外の所得が特定口座(源泉徴収なし)で保有する株式の譲渡益のみで、譲渡益の額が年間20万円以下であれば、確定申告は不要となる場合があります。その場合も、住民税の申告は必要となる点に注意が必要です。
なお、確定申告を行う場合は住民税も同時に処理されるため、別途住民税の申告は不要です。
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投資の税金を払わなかったらどうなる?
投資の利益に対して課される税金を払わないと、税務署に指摘されて追徴課税を受けるおそれがあります。追徴課税に当たっては、本来の税金に延滞税や無申告加算税・重加算税などが加算され、税負担がかなり重くなってしまうので要注意です。
税務署に指摘されて、追徴課税を受けるおそれがある
税務署は、税務調査等を行う際に金融機関へ照会を行い、対象者の預貯金口座や証券口座の情報を調べることができます。
投資によって多額の利益が生じているのに税務申告を行っていない人を見つけると、不審だと考えて税務調査を実施することがあります。税務調査では、本人に対する質問や資料の確認などを通じて、不正な税逃れが行われていないかどうかがチェックされます。
必要な申告が行われていない場合は、期限後申告を行うように促されます。期限後申告を行った場合は、申告内容に従って所得税を納付しなければなりません。
期限後申告を拒否しても、税務署長によって税額等が決定されて、所得税の納付を命じられます。
住民税についても、期限後申告または税務署長の決定に従って追徴されることになります。
追徴課税は本来の税金よりも多額|延滞税や無申告加算税・重加算税などが加算される
投資の利益を申告していなかった人が、納期限後に追徴課税を受ける場合は、以下の税金がペナルティとして加算されます。
- 延滞税(延滞金)
本来の申告期限の翌日以降、税金を完納するまで1日単位で発生します。 - 無申告加算税(不申告加算金)
申告すべき所得を期限までに申告しておらず、期限後に納税をした場合に課されます。 - 重加算税(重加算金)
所得や税額について仮装・隠蔽があった場合に課されます。無申告加算税(不申告加算金)よりも税率が重くなっています。
※カッコ内は住民税に対して課されるもの
延滞税や無申告加算税・重加算税などが積み重なると、税負担はかなり重くなってしまいます。投資の利益に対する課税を逃れようとすると、かえって多くの税金を支払うことになってしまうので要注意です。
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まとめ
投資の利益に対しては、所得税と住民税が課されます。金融機関によって源泉徴収が行われていない場合は、NISA口座を除き、原則として確定申告が必要です。
投資の利益について申告や納税を怠ると、税務署に指摘されて重い追徴課税を受けるおそれがあります。延滞税や無申告加算税・重加算税などのペナルティにより、本来よりも多額の納税を命じられてしまいます。
税務署は必要に応じて金融機関に対する照会が可能ですので、税務申告と納税を適切に行うことが重要です。
投資によって利益が出たら、源泉徴収が行われているかどうかを確認したうえで、必要に応じて確定申告を行ってください。
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。










