2025年12月時点、食品や日用品、電気代など生活必需品の価格上昇が続き、家計への負担感が強まっています。消費行動にも変化が見られ、将来への不安が高まっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インフレが家計に与える影響や物価がいつ落ち着くのかという疑問に対するヒント、そしてインフレ時代に強い資産の特徴についてわかりやすく解説します。
インフレが家計に与える主な影響
家計へ与える直接的な影響
インフレが家計に及ぼす直接的な影響として、食料や電気・ガスなど生活に欠かせない支出が上がります。
総務省の消費者物価指数では、生鮮食品を除く食料の上昇や、電気代・都市ガス代の上昇幅の拡大が物価を押し上げる要因になります。*1
生活者の実感でも、日本銀行の調査(2025年9月)で、物価が前年より「かなり上がった」69.4%、「少し上がった」25.4%となり、上昇を感じる回答が大半を占めています。*2
支出面では、家計調査(2024年平均)で消費支出が名目では増えても、物価変動を除くと実質で減少しており、同じ生活水準を保つためのやりくりが難しくなります。*3
さらに内閣府は、2022年に物価上昇がなかった場合との差分として家計の負担増加額を、勤労者世帯平均で約13万円と試算しています。*4
内閣府の地域経済報告でも、物価上昇が家計の節約志向を強め、購買行動を慎重にしていると指摘しており*5、生活必需品以外の消費が後回しになり、外食やレジャーなどの支出配分にも変化が生じています。
家計への間接的な影響
インフレが家計に与える間接的な影響として、雇用や賃金の動向が重要です。物価が上昇しても給与が据え置かれれば、実質的な購買力は低下し、自由に使えるお金が減ってしまいます。内閣府の報告によると、賃上げは一部で進んでいるものの、物価上昇に追いついていない現状が指摘されています。*6
そのため、家計は思い切った消費に踏み切れず、将来の支出を抑える傾向が続いています。
一方、賃金アップが進んだ業種や企業では、可処分所得が増え、消費意欲が回復するケースも見られます。2024年の春季労使交渉では33年ぶりの高水準の賃上げが実現し、現役世代の所得が増加したとの分析もあります。*7
しかし、支出を積極的に増やせる層と節約に走る層の二極化が進み、全体の景況感が安定するには時間がかかると考えられます。
また、年金や社会保障制度の将来への不安も消費抑制の一因となっています。高齢者世帯では、年金の安定性や医療費負担の増加を懸念し、貯蓄を優先する傾向が強まっています。*8
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インフレ時に比較的強いとされる資産の特徴
インフレに備えた資産配分
インフレ時代の資産形成では、資産の配分(アセットアロケーション)を見直すことがポイントです。物価が上昇すると、現金だけで資産を保有している場合、実質的な価値が目減りするリスクがあります。
そのため、株式や債券、不動産、金などの金融資産・実物資産をバランスよく組み合わせ、リスクとリターンのバランスを考慮した資産配分が重要です。
近年の経済環境では、単一商品への集中投資はリスクが高まるため、地域や業種を分散したポートフォリオを構築することが推奨されています。インフレ関連銘柄や、物価連動債なども選択肢となります。
また、現預金の比率が高い日本の家計では、インフレ下での購買力低下を防ぐため、NISAやiDeCoなどの制度を活用した長期・分散投資へのシフトが進められています。*9
実物資産と金融資産の検討
インフレ対策として、金や不動産などの実物資産も注目されています。金は景気後退時にも価格が下がりにくく、インフレ時の価値保存手段として一定の役割を果たします。不動産は賃貸収入を得られる可能性があり、物価上昇期には家賃収入が増えることで投資効果が高まる場合があります。
ただし、実物資産への投資には注意点もあります。過度な借入による不動産投資は、金利上昇リスクや空室リスクが家計を圧迫する可能性があります。また、高齢者の消費増加は年金制度の安定性に左右されるため、実物資産が常に安定収入をもたらすとは限りません。*8
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投資信託とインフレへの備え
物価が上がると、同じ金額で買えるモノやサービスの量が減ります。現金を中心に置いたままだと、生活コストの上昇局面で家計の余力が削られやすくなります。こうした局面に備える方法の一つとして、長期の資産形成の枠組みを持ち、投資対象を分散させる選択肢があります。
投資信託を運用する三菱UFJアセットマネジメントは、次のように述べています。「インフレによってモノの値段が上がるということは、同じモノに対して支払う金額が増えるということであり、すなわち「お金の実質的な価値が目減りする」ということを意味します。」
「物価(モノの値段)の上昇する状況において、資産を現金のままで置いておくと、物価上昇分だけ資産価値を減らすのと同じであると考えられます。」。*10
投資信託の注意点
ただし、注意点もあります。投資信託(投信)は、多くの投資家から集めた資金をまとめ、運用会社が株式や債券などに分散して運用する仕組みです。投信は価格(基準価額)が日々変動し、運用成果によっては投資元本を下回る可能性があります。
NISAの案内でも、投資信託を含む有価証券等は価格変動により損失が生じる可能性がある点を前提として整理されています。*11
投信を選ぶ際は、コストと運用方針を具体的に確認します。投信には購入時手数料や信託報酬などの費用があり、金融庁の解説でも、投資判断にあたって費用項目の確認が重要な前提として示されています。*12
投資に回す資金は余裕を持って
また、家計の見通しを立てるうえでは、支出の変化を十分に考慮しなければなりません。例えば後期高齢者の窓口負担割合の見直し(一定所得以上で2割負担など)は、世帯の医療費負担に関わる論点です。*13
家計の支出増に備える場合、投資に回す資金を「いつ使う可能性があるか」「減ると困るか」という観点で切り分け、無理のない範囲に収めます。*11
長期運用と分散投資の実践
インフレ下での資産形成では、長期運用と分散投資が基本です。短期的には価格変動の影響を受けやすいですが、投資信託などへの積立投資を継続することで購入価格を平均化できる効果が期待できます。
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おわりに
インフレ環境下では家計の支出が増えやすくなりますが、賃上げや社会保障制度の改革によっても状況は変わります。物価上昇に所得の伸びが追い付かない場合、生活の厳しさが残ることもあります。だからこそ、家計や資産形成について早めに対策を考えることがポイントです。
*1 出所)総務省統計局 「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)12月分及び2025年(令和7年)平均」
*2 出所)日本銀行「生活意識に関するアンケート調査(第103回<2025年9月調査>)の結果」
*3 出所)総務省統計局 「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」
*4 出所)内閣府 「第2章 個人消費の力強い回復に向けた課題(第一節)」
*5 出所)内閣府 「景気判断理由集(現状)」
*6 出所)内閣府「2024年度日本経済レポート(概要) 」
*7 出所)内閣府「2024年度日本経済レポート」
*8 出所)内閣府 「令和7年度年次経済財政報告から 家計消費の回復に向けた諸課題」
*9 出所)金融庁 「資産運用立国の実現に向けて」
*10 出所)三菱UFJアセットマネジメント 「資産形成の重要性」
*11 出所)金融庁 「NISAを利用する皆さまへ」
*12 出所)金融庁 「教えて虫とり先生(第6回) 投資信託って、どういうものなの?」
*13 出所)厚生労働省 「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」










