ポイント
拾ったお金を勝手に自分のものにすると、遺失物等横領罪によって処罰されるおそれがあります。「どうせバレないだろう」と考えていても、防犯カメラの映像などからバレる可能性は否定できません。
路上などでお金を拾った場合は警察、施設内でお金を拾った場合は施設占有者へ速やかに提出しましょう。
本記事では、お金を拾った場合に届けないとバレるのかどうかや、拾ったお金を警察などへ提出した後の流れなどを弁護士が解説します。
拾ったお金は、勝手に自分のものにしてはならない
路上や施設内などでお金を拾った場合、勝手に自分のものにしてはなりません。警察または施設管理者に提出する必要があります。拾ったお金を着服すると、遺失物等横領罪で処罰されるおそれがあるのでご注意ください。
拾ったお金の提出先|警察または施設占有者
落ちているお金などの遺失物を拾った人は、それを速やかに遺失者(=落とした人)に返還するか、または以下の対応を行わなければなりません(遺失物法4条)。
施設占有者に遺失物を交付する
※施設=建築物その他の施設(車両、船舶、航空機その他の移動施設を含む)であって、その管理に当たる者が常駐するもの
<施設以外の場所で拾った場合>
警察署長に提出する
なお、施設占有者に遺失物を交付した場合は、施設占有者が遺失者に返還するか、または警察署長に提出することになっています(同法13条1項)。
拾ったお金を着服した人に科される罰則|遺失物等横領罪
拾ったお金を勝手に自分のものにすることは「遺失物等横領罪」に当たり、処罰の対象となります。法定刑は「1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料」です(刑法254条)。
遺失物等横領罪を犯すと、逮捕や起訴、有罪判決を受けるリスクが生じます。仮に逮捕や起訴をされなくても、発覚すれば警察に取調べを求められ、多くの時間をとられてしまいます。
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拾ったお金を自分のものにしたことがバレるきっかけは?
拾ったお金を着服したことがバレるきっかけとしては、以下の例が挙げられます。「どうせバレないだろう」などと考えるのは危険で、思いがけないところから発覚する可能性があるので十分ご注意ください。
- 防犯カメラの映像
- 財布に残った指紋
- 預貯金口座への入金
防犯カメラの映像
お金を拾った場面は、防犯カメラの映像に記録されていることがあります。特に施設内でお金を拾った場合は、防犯カメラの映像が残っている可能性が高いでしょう。
落とし主が警察にお金を落としたと申告して、警察が落とし主の行動経路を辿った結果、防犯カメラの映像に行きつくことは十分考えられます。そうなれば、拾ったお金を着服したことが発覚してしまうでしょう。
財布に残った指紋
落ちている財布からお金を抜き取り、財布を放置して立ち去った場合は、その財布に自分の指紋が付着している可能性が高いです。
防犯カメラ映像などから自分が疑われ、検査を行った結果、財布に付着している指紋が自分のものと一致すれば、拾ったお金を着服したことについて言い逃れができなくなってしまいます。
預貯金口座への入金
滅多にないケースではありますが、かなり高額のお金を拾う事例も稀に見られます。
拾ったお金を預貯金口座に入金すると、入金の記録が残ります。普段の収支からは不自然なほど高額の入金の記録は、警察に確認されると不審に思われるでしょう。
特に落としたお金が高額である場合は、少額の場合に比べて、警察が本腰を入れて捜査する可能性が高いと思われます。
徹底的な捜査の結果、自分が疑われて預貯金口座の記録の確認を求められ、拾ったお金を着服したことが発覚してしまうかもしれません。
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拾ったお金が所有者に返還された場合は「報労金」を請求できる
拾ったお金を警察署長に提出するか、または施設占有者に交付した後、落とし主が見つかった場合は、その落とし主に対して「報労金」を請求することができます。
報労金の割合は5%~20%
「報労金」の割合は、以下のとおりとされています(遺失物法28条1項、2項)。
実際の報労金をどのような割合にするかは、拾った人と落とし主の協議によって決めるのが一般的です。協議がまとまらない場合は、訴訟によって裁判所に判断してもらうことも考えられます。
報労金の請求期間は、返還後1か月以内
報労金を請求できるのは、拾ったお金が落とし主に返還された後1か月間です。1か月を経過すると、報労金は請求できなくなります(遺失物法29条)。
報労金は「一時所得」|所得税と住民税が課される
報労金は、税務上「一時所得」に該当すると解されています。
一時所得は、他の種類の所得(給与所得や事業所得など)と合算したうえで、所得税および住民税の課税対象となります。
一時所得の額は、以下の式によって計算します。*1
また、所得税および住民税の額を計算する際には、上記の式によって求めた一時所得の額を2分の1にするものとされています。
たとえば、以下のようなケースを考えます。
道に落ちている1000万円を拾い、報労金として100万円を受け取った。報労金を受け取るための経費として、交通費2000円がかかった。
報労金を受け取ったのと同じ年に、競馬の払戻金として50万円を得た。
上記のケースにおいて、一時所得の計算に用いる「総収入金額」は、報労金100万円と競馬の払戻金50万円の合計150万円です。
報労金を受け取るためにかかった交通費2000円と、特別控除額50万円を150万円から差し引くことができます。その結果、一時所得の額は99万8000円となります。
所得税と住民税は、99万8000円を2分の1にした「49万9000円」と、他の所得を合算した額に対して課されます。
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拾ったお金の落とし主が現れなかったらどうなる?
拾ったお金の提出を受けた警察署長は、警察署内の掲示場に金額や拾った日時・場所などを公告します。
公告が行われた日から3か月以内に落とし主が判明しない場合には、拾ったお金の所有権が拾った人に移ります(民法240条)。
また、落とし主が自ら所有権を放棄した場合も、同様に拾った人がお金の所有権を取得します(遺失物法32条1項)。
上記の場合には、拾ったお金が保管されている警察署に行けば、そのお金を受け取ることができます。
ただし、鉄道施設・空港施設・百貨店・遊園地などで拾ったお金については、施設占有者が保管を続けていることもあります。保管先を警察に問い合わせたうえで、受け取りに行きましょう。
拾ったお金を引き取れるのは、上記の規定によって所有権を取得した日から2か月以内です(遺失物法36条)。
また報労金と同様に、所有権を取得して引き取ったお金も一時所得に当たり、所得税と住民税が課される場合があります。
*1 国税庁「No.1490 一時所得」
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。










