株式や債券などの金融商品の取引が日々行われる東京証券取引所。日本の経済活動を支える重要な金融インフラであるこの場所では、一般の人々も実際の現場を体感できるよう、見学ツアーが数多く用意されています。
小学生から社会人、さらには企業向け講義、株式投資経験まで、対象や目的に応じたプログラムが組まれており、すべて無料。ふだんはなかなか知ることのできない取引所の仕組みや歴史を学べるのが魅力です。
本記事では、東京証券取引所の見学ツアーの内容や、参加する際のポイントについて、わかりやすく解説します。
見学施設「東証Arrows」はこんなところ
まず、見学施設についてみていきましょう。
「東証Arrows」とは
見学できるのは、「東証Arrows」。情報提供スペースとして、投資家に対してはリアルタイムの市場情報の提供を行う場です。また、上場会社に対しては的確な情報開示をサポートしています。*1
市場情報を発信するマーケットセンターなどを見学することができ、株式売買(資産運用)を体験できる株式投資体験コーナーなどもあります。
図1 「東証Arrows」の概観
出所)「東証Arrows見学>東証Arrowsについて」
見学マップ
以下が、見学マップです。*2
図2 見学マップ
出所)「東証Arrows見学>見学マップ」
エリアは3つに分かれています。
それぞれのエリアをみていきましょう。
なお、以下の各施設名の前についている丸数字は、図2の見学マップにある、吹き出しの数字に対応しています。
エリア1
このエリアには、①「証券史料ホール」と②「見学記念品コーナー」があります(図3)。
図3 エリア1の施設
出所)「東証Arrows見学>見学マップ」
証券資料ホールでは、明治時代から昭和までの証券市場のあゆみと、東京証券取引所の歴史を中心に、貴重な史料が展示されています。*3
見学記念品コーナーでは、日本取引所グループのロゴ入りオリジナル・グッズを購入することができます。*4
エリア2
このエリアには、③「株式投資体験コーナー」があり、架空所持金を元手に、架空銘柄の売買ができる株式投資の体験ができます(図4)。*5
図4 株式投資体験コーナー
出所)「東証Arrows見学>見学マップ>③株式投資体験コーナー」
エリア2にはこの他に、新規上場セレモニーで打ち鳴らされる⑥「上場の鐘」(図5)と⑤「マーケットセンター」があります(図6)。*6
図5 上場の鐘
出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>⑥上場の鐘」
直径17メートルのガラスシリンダーで覆われたマーケットセンターでは、マーケット監理業務が行われ、その情報はメディアによって世界中に発信されています。*7
マーケットセンターの上をぐるぐる回っているチェッカーは、1周50mの大きな電光掲示板で、売買が成立した株価が次々に表示されます。
図6 マーケットセンター
出所)「東証Arrows見学>見学マップ」
エリア3
このエリアには、⑦「オープンプラットフォーム」や⑧「プレゼンテーションステージ」などがあります。
中二階にある多目的スペース「オープンプラットフォーム」は、マーケットセンターを一望するポジションにあります。企業と一般投資家のふれあいの場として、セレモニーやセミナーが開催されています。*1
「プレゼンテーションステージ」では、セミナーや企業説明会、記者発表などのさまざまなイ
ベントが実施されています。*8
図7 エリア3の施設
出所)「東証Arrows見学>見学マップ」
エリア3には、この他、⑨「メディアセンター」と⑩「インフォメーション・テラス」があります。
「メディアセンター」は、国内外の報道機関各社がスタジオを構える放送センターで、さまざまな市場情報を発信する情報拠点です。*9
図8 メディアセンター
出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>⑨メディアセンター」
「インフォメーション・テラス」では、東証上場会社からの提出書類や刊行物など、株取引に役立つ書籍・書類などを見ることができます。*10
図9 インフォメーション・テラス
出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>⑩インフォメーション・テラス」
なお、エリア2の④「回廊」からは、マーケットセンターやプレゼンテーションステージ、メディアセンターが一望できます。*11
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さまざまな見学プログラム
東京証券取引所の見学・体験プログラムには、以下の表1のように、さまざまなものがありますが、すべて無料です(表1)。*12
表1 見学・体験コース一覧
出所)「東証Arrows見学>見学・体験の一覧」
「自由見学」・「案内付き見学ツアー」
ここからは、それぞれのコースのポイントをみていきましょう。
- 「自由見学」は10名未満であれば予約は必要ありませんが、他のコースは、それぞれ予約可能期間が決まっていますので、注意が必要です。
- 予約は電話ではできません。ウェブサイトから申し込むことになっています。*13
- 「自由見学」と「案内付き見学ツアー」は、見学できる場所は同じです。「案内付き見学ツアー」には、動画上映とガイドによる説明がついていることだけが違います。
- 「自由見学」の場合、館内では自分のスマートフォンなどで音声ガイドを利用することができます。音声ガイドは、日本語以外にも英語、中国語、韓国語に対応しています。*12
- 「案内付き見学ツアー」は英語の通訳対応が可能なので、依頼したい場合には、事前に相談しましょう。
「企業向け講義」・「大学生等向け講義」
- 「企業向け講義」も「大学生等向け講義」(大学生・大学院生向け)も、東証社員が日本語で担当します。英語対応はありません。
- 「企業向け講義」のテーマは、以下のどちらかを選びます。 ・ 資産形成のススメ
- 「大学生等向け講義」のテーマは、以下から選ぶことができます。 ・会社の見方・調べ方
- 「企業向け講義」「大学生等向け講義」を「案内付き見学ツアー」と合わせて予約する場合には、コース選択画面でまず「案内付き見学ツアー」を選択した後、追加コース選択画面で、「企業向け講義」または「大学生等向け講義」を選択します。
・ エクスチェンジ・ハイライト(取引所の最近の取り組みについて)
・証券市場の基本的な仕組みと機能
・ライフプランとお金の活用
「株式投資体験」
- マウスの操作ができる方(小学校高学年以上を想定)であれば、体験することが可能です。
- 「案内付き見学ツアー」を30名超で予約した団体も参加することが可能です
- 「案内付き見学ツアー」と合わせて予約する場合には、先に「案内付き見学ツアー」の予約を完了してから、改めて「株式投資体験」を新規で予約します。
- 英語の通訳を希望する場合には、まえもって相談する必要があります。
「小中高生向けレクチャーと見学」
- 小学5年生以上が参加でき、小学生、中学生、高校生別に、株式会社のしくみについてレクチャーを受けます。英語対応はありません。
- 申し込みできるのは、学校、消費者センター、商工会議所などの団体のみです。
その他のポイント
- 入館する前には手荷物検査を受けるため、その時間を考え、開始時間の10分ほど前に入館する方が安心です。*13
- 入館の際には身分証明書の提示は必要ありませんが、予約を確認できるメール画面の提示が必要です。
- 見学当日、特別な持ち物は必要ありません。
- 服装に制約はなく、普段着でもだいじょうぶです。
- 館内での食事や施設内への食べ物の持ち込みはできません。
- タクシー・自家用車用の駐車場はありません。団体見学者用のバス駐車場はありますので、利用したい場合には、予約する際にバスの台数を申し込みます。
- 見学者入口にロッカーがありますが、数には限りがあります。基本的に手荷物は持ったまま見学することになっています。
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おわりに
本記事では、東京証券取引所の見学ツアーの内容や参加方法について紹介してきました。
見学を通じて金融の仕組みを理解することは、資産形成や経済ニュースの読み解きに役立つだけでなく、日本経済の成り立ちを肌で感じる貴重な機会です。
証券取引は専門的で難しいという印象がありますが、見学ツアーを利用すれば、楽しみながら学べるでしょう。
興味を持たれた方は、ぜひ一度、参加してみてはいかがでしょうか。
*1 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>東証Arrowsについて」
*2 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ」
*3 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>①証券資料ホール」
*4 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>②見学記念品コーナー」
*5 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>③株式投資体験コーナー」
*6 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>⑥上場の鐘」
*7 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>⑤マーケットセンター」
*8 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>⑧プレゼンテーションステージ」
*9 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>⑨メディアセンター」
*10 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>⑩インフォメーション・テラス」
*11 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学マップ>④見学回廊」
*12 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>見学・体験の一覧」
*13 出所)日本取引所グループ「東証Arrows見学>よくある質問」
*14 出所)日本取引所グループ「アクセス」










