NISAを始めるには、金融機関で専用口座を開設する必要があります。口座開設を申し込む前に、手続きの流れや必要書類などを把握しておくことが重要です。すでにNISA口座を保有している場合は、他の金融機関に変更できるか気になる人もいるでしょう。
この記事では、NISA口座の開設方法と金融機関の変更手続きについて詳しく解説します。
NISAを利用する際のポイント
NISAは税制優遇を受けながら資産形成ができる制度ですが、利用するにあたっていくつかのルールが設けられています。ここでは、口座開設や金融機関変更について押さえておきたいポイントを紹介します。
NISA口座は1人1口座まで開設可能
NISA口座は、すべての金融機関を通じて1人につき1口座しか開設することが出来ません。*1
そのため、NISA口座の申し込みが重複しないように注意する必要があります。
NISA口座を開設する際は、金融機関による本人確認に加え、税務署での確認も行われます。仮に二重口座であった場合には、NISA口座で買付済みの商品については、特定口座又は一般口座に移管されます。*2
つみたて投資枠と成長投資枠は別々の金融機関で利用できない
NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの投資枠が用意されています。両者の違いは以下の通りです。

出所)金融庁「NISAを知る」
つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできません。*3
どちらの投資枠も、同じ金融機関で利用する必要があります。
金融機関は年単位で変更できる
NISA口座の金融機関は年単位で変更できます。ただし、手続きのタイミングは変更したい年の前年10月1日から変更したい年の9月30日までです。*4
たとえば、2025年に金融機関を変更したい場合は、2024年10月1日から2025年9月30日までに変更手続きをする必要があります。*4
金融機関を変更したい年の1月1日~9月30日までにNISA口座でお買い付けがある場合は、同年中の金融機関の変更はできません。したがって、変更できるのは翌年分のNISA口座で、手続きは10月以降となります。*5
NISA口座の金融機関を変更する場合は、手続きを行うタイミングに注意しましょう。
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NISA口座開設の流れ
NISA口座開設の一般的な流れは以下のとおりです。
- NISA口座開設の申し込み
- 必要書類の提出
- NISA口座の仮開設
- NISA口座の本開設
各ステップについて詳しくみていきましょう。なお、こちらは税務署での確認を待たずに取引を開始できるケースです。実際に取引が可能となる日までの期間は、金融機関によって異なります。詳しくは、ご利用の金融機関にお問い合わせください。*2
STEP1.NISA口座開設の申し込み
金融機関のホームページなどからNISA口座開設の申し込みを行います。その前提として、銀行は預貯金口座や投資信託口座、証券会社は証券総合口座の開設が必要です。多くの場合、これらの口座はNISA口座と同時に開設できます。
(実際のNISA口座開設時には、各金融機関の対応をご確認ください。)
STEP2.必要書類の提出
NISA口座の開設では、個人番号確認書類・本人確認書類を提出する必要があります。具体的には、マイナンバーカードや運転免許証などを提出します。(マイナンバーカード以外を提出の場合でも、別途マイナンバーの登録は必要となります。)Webから手続きをする場合は、書類の画像をアップロードするかたちで提出することも可能です。*6
STEP3.NISA口座の仮開設
金融機関でデータ受付後、NISA口座が仮開設されます。税務署での確認を待つことなく、NISA口座で取引を始めることが可能です。ただし、取引後に税務署より開設不可と判定された場合、非課税口座開設前に遡及して買付分は特定口座または一般口座へ移管されます。*7
STEP4.NISA口座の本開設
税務署での審査が終わると、NISA口座が本開設されます。金融機関によって異なりますが、税務署の審査に通常1~2週間程度お時間がかかります。金融機関からの通知を確認しましょう。*7
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NISA口座の金融機関を変更するメリット
すでにNISA口座を保有していても、金融機関の変更を検討するケースは少なくありません。ここでは、金融機関変更で得られる主なメリットをみていきましょう。
商品の選択肢が広がる
NISAでは株式や投資信託などを購入できますが、取扱商品は金融機関ごとに違います。*4
金融機関を変更すれば、より自分に合った商品に投資できる可能性があります。
たとえば、別の金融機関では今よりも低コストの投資信託や運用成績の良い投資信託を取り扱っているかもしれません。商品ラインアップを比較してより良いものがあれば金融機関変更を検討するのも良いでしょう。*4
ただし、金融機関は年単位でしか変更できないため、事前に商品をチェックしたうえで慎重に判断することが大切です。
使い勝手やサービスが向上する
金融機関のWebサイトやアプリは見た目や操作性などが異なりますので、金融機関変更によって今までよりも使い勝手が良くなる可能性があります。*4
また、金融機関によってはポイントを付与するなどのサービスが充実しているところもあります。*4
Webサイトやアプリの操作性、ポイントなどのサービスを比較検討し、気になるところがあれば金融機関の変更を検討してみましょう。
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NISA口座の金融機関変更に関する注意点
NISA口座の金融機関を変更すると、変更前の金融機関で保有している株式や投資信託はそのまま変更前の金融機関で管理され、売却も変更前の金融機関で行うことになります。*8変更後の金融機関に移管することはできません。
NISA口座の金融機関変更を行い、保有商品が複数の金融機関に分散されると管理に手間がかかる可能性があります。
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NISA口座の金融機関変更の流れ
NISA口座の金融機関変更の一般的な流れは以下のとおりです。
- 変更前の金融機関で変更手続き
- 新しい金融機関に必要書類を提出
- 金融機関変更の完了
各ステップの内容を詳しく見ていきましょう。
STEP1.変更前の金融機関で変更手続き
まずは現在NISAを利用している金融機関に申請して、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を取得しましょう。
- 勘定廃止通知書(年単位でNISA口座の金融機関を変更する場合)*9
- 非課税口座廃止通知書(NISA口座を廃止した後、NISA口座を再開設する場合)*9
STEP2.新しい金融機関に必要書類を提出
新しい金融機関に「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を提出しましょう。その金融機関に普通預金口座および投資信託口座(銀行の場合)や証券総合口座(証券会社の場合)を持っていない場合は、口座開設手続きから行います。
STEP3.金融機関変更の完了
税務署での審査完了後、新しい金融機関でNISA口座が開設されます。通常は郵送やメールなどで通知されます。9月までに金融機関の変更ができ、かつ変更前の金融機関で当年分の非課税枠を利用していないお客さまは変更完了後より、10月以降手続きされた方は翌年より取引が可能です。*9
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まとめ
NISAを活用するには口座開設方法や金融機関変更について理解し、スムーズに手続きを進めることが重要です。金融機関によって、NISAの取扱商品やサービスの内容は異なります。
複数の銀行・証券会社を比較検討したうえで、自分に合った金融機関を選びましょう。
*1 出所)三菱UFJ銀行「NISA(少額投資非課税制度)」
*2 出所)金融庁「NISAを知る」
*3 出所)金融庁「よくある質問」
*4 出所)三菱UFJ銀行「NISA口座の金融機関を変更するには?手続きのタイミングやデメリットなど徹底解説!」
*5 出所)三菱UFJ eスマート証券「NISA口座の金融機関変更」
*6 出所)三菱UFJ eスマート証券「NISA口座開設方法」
*7 出所)三菱UFJ銀行「NISA口座の開設方法」
*8 出所)三菱UFJ eスマート証券「NISA口座の金融機関を変更すると、既に購入した株式や投資信託も新しい金融機関のNISA口座に移管できますか?」
*9 出所)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「お申込みの流れ(NISA口座の金融機関変更)」