初めての海外旅行は、多くの人にとって特別な体験です。行き先の選び方や準備の仕方、現地での過ごし方などは人それぞれですが、近年ではその「初めてのタイミング」にも変化が見られます。この記事では、出国者数のデータや人気の渡航先ランキングをもとに、海外旅行の傾向を探りながら、当社社員の体験談を通して、初めての海外旅行についてご紹介します。
日本人出国者の年齢層別の推移

出所)政府統計の総合窓口(e-Stat)「出入国管理統計」より「住所地別 年齢(5歳階級)・性別 出国日本人」(2018年・2023年)を基に三菱UFJアセットマネジメント作成
2018年から2023年にかけての日本の出国者数について、出入国在留管理庁の調査によると、全体の出国者数は減少しているものの、0~9歳、10~19歳、20~29歳、50~59歳、70歳以上の年齢層では、全体に占める割合が増加しています。特に20代以下の若年層においては、出国者の構成比が高まっており、海外渡航の年齢に変化が見られました。
この傾向は、家族旅行や教育目的の渡航など、さまざまな背景が関係していると考えられます。特に若年層の出国者割合が増加していることから、初めての海外旅行を経験する年齢層が以前よりも若くなってきているとみられます。旅行がより身近なものとなり、子どもや学生のうちから海外に触れる機会が増えることは、未来への選択肢が広がるチャンスにもなるのではないでしょうか。
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行ってみたい国として人気な国は?

表1【行ってみたい旅行先 海外旅行】
出所)公益財団法人日本交通公社「旅行年報2024」を基に三菱UFJアセットマネジメント作成
調査時期:2024年5~6月 調査対象:全国18~79歳の男女 1,220名
今後1~2年の間に行ってみたい海外旅行先(国、都市、観光スポット)について、具体的な地名をそれぞれ行きたい順に3つまで自由に回答。ただし、最も行きたい地域を3ポイント、2番目に行きたい地域を2ポイント、3番目に行きたい地域を1ポイントとして、その合計値をランキングにしたもの。
公益財団法人日本交通公社の調査によると、行ってみたい旅行先として人気のある国・地域の1位は「ハワイ」(38.3%)が多くの支持を集めています。続いて「アメリカ合衆国本土」(22.7%)、「韓国」(18.4%)、「イタリア」(18.0%)、「台湾」(17.6%)と続き、アジア・欧米・リゾート地がバランスよくランクインしています。
ハワイは、リゾート地としての安心感や日本語が通じやすい環境、治安の良さが初めての海外旅行者にとって魅力的なポイントです。特に家族旅行や新婚旅行の行き先としても定番で、幅広い世代に支持されています。
韓国や台湾は、距離の近さと食文化の豊かさ、SNS映えする観光地が人気の理由。若年層を中心に「週末海外」や「弾丸旅行」として選ばれることも多く、初めての海外旅行でも挑戦しやすい国です。
イタリアやフランス、イギリスなどのヨーロッパ諸国は、歴史的建造物や美術館、グルメなど「本物に触れる旅」を求める層に根強い人気があります。特にイタリアは、サッカー観戦や世界遺産巡りなど、文化とエンタメの両方を楽しめる国として注目されています。
また、16位以降には「エジプト」「ペルー」「トルコ」など、冒険心をくすぐる国々も登場しており、ユニークな体験を求める層に支持されていることがうかがえます。
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当社社員の初めての海外旅行エピソード
ここからは、当社社員の初めての海外旅行エピソードをご紹介します。
20代男性 初めての海外旅行先:アメリカ
12歳のときに初めての海外旅行で訪れたアメリカ・フロリダ州。私にとってまるで夢の国のような2週間でした。家族や幼馴染と一緒に、アメリカに住む友人のもとに遊びに行きました。
最初の目的地は、世界最大級のテーマパーク「ウォルト・ディズニー・ワールド」でした。広大な敷地に4つのテーマパークが点在し、どこを歩いてもディズニーの世界観で埋め尽くされていました。グリーティングでキャラクターたちと写真を撮り、アトラクションで歓声を上げ、夜には花火が空を彩りました。絶叫マシンで固まってしまい、写真に石像のような顔で写っていたのは、今でも家族の間で語り草です。
旅のハイライトは、ケネディ宇宙センターでスペースシャトルの着陸を見学したことです。轟音とともに空を切り裂くシャトルの姿に、全員が言葉を失いました。着陸の瞬間、幼馴染が「宇宙飛行士になりたい!」と叫び、帰国後もしばらく宇宙の話ばかりしていたのが印象的でした。
2週間の旅は、笑いと驚きの連続でした。時差ボケで寝坊して朝食を逃したり、レストランでとんでもない量を注文してしまったり、ハプニングも盛りだくさん。ただ、そのすべてが今となってはかけがえのない宝物です。
20代女性 初めての海外旅行先:カナダ
私の初めての海外旅行はカナダ。15歳のときに修学旅行で訪れました。当初はトルコへ行く予定でしたが、当時はテロの脅威が高まっており、急遽行き先が変更されカナダへ。不安と少しがっかりした気持ちを抱えて始まった修学旅行でした。
しかし、いざカナダへ着くと、その気持ちは一気にワクワクへと変わりました。飛び交う英語とフランス語、街に漂うメープルシロップの甘い香り、大迫力のナイアガラの滝。何もかもが新鮮で、まるで別世界に来たような感覚でした。そんな私を優しい4人のホストファミリーが温かく迎えてくれました。ホストファミリーとは一緒にトロントタワーに上ったり、Tim Hortonsのドーナツを一緒に頬張ったり、たくさんの思い出を作りました。
帰国の際にホストファミリーがくれた犬のぬいぐるみには、「何かあったらいつでも戻ってきてね」と住所と連絡先が記されている手紙が添えてありました。そのぬいぐるみと手紙は今でも私の宝物です。つたない英語で感謝の気持ちを精一杯伝えました。ホストシスターと最後に交わした「Let’s keep in touch(連絡を取り続けようね)」という約束は今でも守り続けています。
30代女性 初めての海外旅行先:台湾
初めて海外旅行に出かけたのは、19歳のときです。行き先は台湾でした。ジブリ映画作品の『千と千尋の神隠し』が大好きで、作品のモデルになったと言われる九份の街並みにどうしても触れてみたくて、思い切って旅行を計画しました。
しかし、初めての海外だというのに全く下調べをせずに出発してしまい、現地に着いてから「Wi-Fiを借りてない!」と気付くハプニングが…。スマートフォンが自由に使えない状況の中、地図や乗り換え情報は事前にメモをしてなんとか乗り切りました。今思えば、ちょっとした冒険のようで、それも楽しい思い出です。
食事は、街を歩きながら「おいしそう!」と思ったところにふらっと入るスタイル。そんな気ままな選び方でもどこも美味しくて、台湾の食文化の豊かさを感じました。そして何より印象的だったのが、タピオカミルクティー。街のあちこちにお店が並んでいて、日本よりもかなりお手頃価格。気付けば毎日3杯くらい飲んでいて、タピオカ漬けの幸せな旅行でした。
初めての海外旅行は、準備不足も含めてすべてが新鮮で、今でも心に残る大切な体験です。
40代女性 初めての海外旅行先:イタリア
新婚旅行で初の海外旅行。二人ともサッカー観戦が好きだったので、憧れのセリエAを見に行くことに!ローマやフィレンツェ、ミラノまで各地の会場をまわり、現地の人と一緒にサッカーを見る貴重な体験でした。世界遺産を見ながら、おいしいご飯を食べ、夜になったらサッカーの試合を見てまわる旅は一生忘れられないものとなりました。
産業として観光業が有名で、古代ローマ時代の歴史的建築物を巡る中で「コロッセオ」を見たときには、かつて映画で見た舞台を肌で感じることができました。
街に戻ると、高級ファッションブランドやおしゃれなお店がいたるところに存在し、ファッションやデザインに触れる中で、製造業がイタリアの主要産業であることも実感。
総じて楽しい初めてのイタリア旅行。ただ1つだけ後悔したのは「靴」選び。日本には少ない石畳の道を歩きすぎて靴の底が壊れてしまい、足も疲れてしまいました。
旅の事前調査と準備は必要だな…と最終日に靴を買いながら思いました。
初めての海外旅行は、行く前の不安も、現地での驚きも、すべてが特別な思い出になります。そんな旅の始まりに、各国の魅力や旅のヒントが詰まったガイドブックを読むことで、旅のイメージを膨らませながら、旅の準備を始めてみてはいかがでしょうか。