【弁護士が解説】投資詐欺から資産を守ろう どんな事例がある?あったらどうする?

【弁護士が解説】投資詐欺から資産を守ろう どんな事例がある?あったらどうする?

投資を始めたばかりの人は、投資詐欺の被害に遭いやすい傾向にあります。よくある投資詐欺のスキームや勧誘方法を理解し、詐欺被害に遭わないように注意しましょう。

本記事では、投資詐欺から身を守るために知っておくべきことを解説します。

投資の初心者が詐欺被害に遭いやすい理由

投資の初心者が詐欺グループのターゲットになりやすいのは、投資に関する知識が乏しい一方で、早くお金を増やしたいと考えているケースが多いためです。

詐欺グループは「早くお金を増やしたい」という気持ちに付け込んで、あたかも簡単に儲かるかのような甘い提案をしてきます。
知識のある人が見ればおかしな提案でも、十分な知識がない投資初心者はおかしいと見抜くことができません。その結果、詐欺グループにお金をだまし取られてしまいます。

投資詐欺の被害に遭わないようにするためには、投資そのものや投資詐欺についてよく勉強し、知識を備えることが大切です。

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投資詐欺スキームの代表例

投資詐欺にはさまざまな手口がありますが、代表的なスキームとして以下の3つを紹介します。

  1. ポンジ・スキーム
  2. 高額手数料型
  3. 投機的取引型

ポンジ・スキーム

「ポンジ・スキーム」は、参加者から集めたお金を運用せず、別の参加者に配当金として横流しするという、古典的な投資詐欺の手口です。

参加者の間でお金を回しているだけなので、集めたお金の総量が増えることはありません。詐欺グループが手数料などを抜くため、確実にお金は減っていきます。

新規の参加者が集まらなくなると、配当金が支払えなくなります。その結果ポンジ・スキームは破綻し、参加者は大損害を被ってしまいます。

高額手数料型

参加者から集めたお金を運用するものの、主宰者が高額の手数料をとるパターンの詐欺手口も見られます。

正規の投資運用業者がファンドの一任運用を行う場合などに、手数料をとること自体は問題ありません。
しかし、金融庁の登録を受けていない詐欺業者が、異様に高い手数料をとって運用資金を集めているケースが散見されます。

特に、SNSを通じて仕立て上げた「カリスマ投資家」による運用を看板に掲げ、少々手数料が高くても当然だという印象を与えてお金を集める手口などが横行しています。
短期間で巨額の資産を築いたかのように喧伝しているSNSアカウントは、信用せずに疑ってかかるべきです。

投機的取引型

参加者から集めたお金を、高レバレッジによる信用取引やFXなどの投機的取引に回す詐欺手口も見られます。

投機的取引は、短期的には儲かるケースもありますが、長期的には損をしてしまうケースが大半です。
詐欺グループは投機に失敗しても、参加者から集めたお金なので自分たちの懐は痛みません。これに対して参加者は、詐欺グループに預けてしまったお金を丸ごと失ってしまいます。

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投資詐欺のよくある勧誘方法

投資詐欺の勧誘は、以下のような方法で行われるケースがよく見られます。これらの方法で投資の勧誘を受けたら、詐欺ではないかと疑いましょう。

  • SNS
  • 投資セミナー
  • 劇場型

SNS

近年の投資詐欺は、SNSを通じて勧誘が行われるケースが多くなっています。

たとえば「カリスマ投資家」などの虚像を演出して、メッセージを送ってきた人を詐欺スキームに勧誘する例が見られます。
投資に関する投稿をしているアカウントに対して、ダイレクトメッセージを送付して勧誘するケースもあります。

SNS上では「ここだけの話」「必ず儲かる」「すぐに資産が2倍、3倍になる」など、甘い言葉を用いた勧誘が行われることが多いです。
しかし、顔も知らない相手に対して、本当に魅力的な投資話を持ち掛けることはありません。このような甘い言葉で投資を誘われたら、詐欺ではないかと疑いましょう。

投資セミナー

投資セミナーを通じた詐欺スキームへの勧誘もよく見られます。

詐欺グループが投資セミナーを開催する目的は、「みんなでお金を儲けよう」などと参加者の感情を煽り、詐欺スキームにのめり込ませることです。
成功者と称する人の熱い語りなどを聞いているうちに、ある種の集団催眠状態に陥り、詐欺の被害に遭ってしまう人が大勢います。

投資セミナーへの勧誘は、SNSを通じて行われるケースや、知り合い同士の紹介を通じて行われるケースなどがあります。

劇場型

複数の詐欺グループのメンバーがそれぞれ役割を演じ、入れ代わり立ち代わり詐欺スキームへの参加を勧誘する手口は「劇場型」と呼ばれています。

詐欺グループは、たとえば対象者との窓口になる人、詐欺スキームのリーダー、実際に参加して儲かった人などの役割を分担して演じます。
最初は疑問を持っていても、何人もの話を聞いているうちに圧力に負け、詐欺スキームへの参加を承諾してしまう人が後を絶ちません。

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投資詐欺に引っかからないようにするためには?

投資詐欺に引っかかるリスクを抑えるためには、以下のようなポイントを念頭に置きつつ投資対象を選択しましょう。

  • 「早くお金を増やしたい」という気持ちを捨てる
  • 期待利回りと手数料をチェックする
  • 証券会社などを通さない取引はしない

「早くお金を増やしたい」という気持ちを捨てる

詐欺グループは「早くお金を増やしたい」という気持ちに付け込んで、甘い言葉でお金をだまし取ろうとします。

しかし、健全な投資は本来、短期間で大きな利益を挙げるものではなく、長期間にわたって地道に利益を積み重ねるものです。毎月少しずつでも積立投資を行えば、資産は着実に増えていきます。

数か月や1年といった短い期間ではなく、数年から数十年の長い期間での資産形成を意識しましょう。そうすれば、投資詐欺の甘い話に騙されてしまうことはなくなります。

投信に期待する利回りと手数料をチェックする

投資を勧誘されたら、投資に期待する利回りと手数料を必ず確認しましょう。
「東証マネ部!」で実施したインターネットによるアンケート調査では、投資に期待する利回りは、年5%との回答が最も多い結果となりました。*1
これを大幅に上回るような投資における期待利回り、たとえば「1年間で2倍(=年100%)」などを提示されたら、ほぼ確実に詐欺だと考えましょう。

手数料については、プロが運用するアクティブファンドの水準が一つの目安になります。アクティブファンドの販売手数料は資産額の約2~3%程度、信託報酬は資産額に対して約年1~2%程度です。
これらを大幅に上回る手数料を提示されたら、詐欺である可能性が非常に高いので注意しましょう。

証券会社などを通さない取引はしない

投資詐欺の勧誘は、証券会社などの金融商品取引業者を通さずにSNSなどを通じて行われます。証券会社などの金融機関を通じて販売される投資商品は、金融商品取引法などの法規制に基づく審査や監督を受けており、一定の安全性が確保されています。一方で、証券会社などを通さずに販売される商品は、そのような規制の対象外となるため、詐欺的な商品が流通するリスクがあります。
証券会社などを通さない取引を避ければ、投資詐欺に引っかかるリスクは格段に低くなります


*1 出所)東証マネ部「投資に期待する利回りは?

阿部 由羅
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

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