*本記事は内田FMの発言をまとめたもので、内田FM個人の見解であり、個別銘柄の推奨や将来を保証するものではありません
4月25日に開催されました「トランプの関税政策で大揺れの日本株市場を内田が語る」セミナーにつきまして、こちらの記事で一部内容をお届けいたします。今回はトランプ関税に揺れるマーケットについて解説しています。
トランプ政策に翻弄される日本株式市場
世界中の株式が下落した要因としてトランプ関税が挙げられますが、実際にトランプ関税が発表されると、当初予想されていたものよりも税率が大きなものであったので、マーケットの反応も大きな下落につながってしまいました。
日本株の代表的な指数を比べてみたものが以下の図になります。

読売株価指数(読売333)(以下、読売333)が始まった2025年3月24日を100として代表的な指数であるTOPIXと日経225および読売333を比較してみると、トランプ関税により日本株式全体が下落をしている中で読売333が他の指数に比べて下げが小さかったことがわかります。
読売333を簡単にご紹介させていただくと、読売新聞社が算出する指数で新たな指数として誕生しました。TOPIX、日経225との大きな違いは、指数算出方式「等ウェート」にあります。
指数構成銘柄の比率を全て等しく、「等ウェート」で保つことにより、一部の銘柄の値動きに影響されにくいのが特徴です。TOPIXや日経225は大型株や値がさ株の動向に左右されやすいのですが、読売333は銘柄の時価総額の大小による値動きに大きな影響が及ばないのが特徴です。

出所)mattoco+「日本株指数投資の新たな選択肢 eMAXIS Slim国内株式(読売333)」
(目次へ戻る)
トランプ政権の相互関税はインパクトが大きかったのでしょうか?
まず、関税の税率が大きかったことに加え、日本のマーケットに大きな影響をおよぼした原因の一つとして、タイやベトナムへの関税があります。
これまで関税回避のために、中国で生産した製品などをタイやベトナムから輸出している企業は多く、こういった迂回しての輸出へも関税が及んだインパクトが大きいと考えられます。
中国は対抗措置をとっていますが、日本は様子を見ている状況でありながらも、24%の関税を下げようとしており、10%程度を目標としているようです。そこまでの引き下げをするには交渉を重ねる必要があるでしょう。
トランプ大統領は関税の90日間の延期を発表しましたが、こちらはミシガン大学の消費者信頼感指数が下がったことによるものと見ています。ミシガン大学の消費者信頼感指数は大統領の支持率と関連があり、支持率がかなり下がったことで急遽90日間様子を見ることにしたのではないかと考えられます。
通商交渉の一番手が日本でしたが、同盟国のためよく意見を聞いて対応したいという意向があったのでしょう。日本では7月に参議院選挙があり、そこまでにはある程度の筋道をつけたいという現政権の考えがあるものと思われます。
トランプ大統領からは日本はあまり敵対視するような国でもないし、日本との交渉が他の国の参考にもなるので、交渉がやりやすかったのではないでしょうか?
中国から日本への擦り寄りもあるようですが、がっちりタッグを組むようなことはないでしょう。しかしながら、ある程度は中国ともうまくやっていく必要はあると思われます。
(目次へ戻る)
アクティブファンドマネージャーとしてはどう見ているのか?
関税が24%かけられた場合にどれだけ企業業績にインパクトがあるのかを調べてみると、対TOPIXでは、アメリカでの売り上げだけを見た場合には13%程度であり、関税の24%の影響は売り上げの3%程度の影響が考えられます。
EPSでは191円の見通しが180円程度になるのではないかと考えられます。
日本のPERが今まで12倍から16倍で動いていたので、TOPIXで言えば2280ポイントくらいが下値目途になっていました。今回の大きな下落になった時がちょうどそのポイントにタッチして、上昇に転じているので、この下落によっていったん関税ショックを織り込んだと考えていいのではないでしょうか。
株価がリバウンドしてきており、もし10%の関税で着地できたとすると最終利益の4%程度のインパクトになるので、すでに10%の関税は織り込んでいる水準で推移していると考えています。
最悪の24%の税率となる可能性は残ってはいますが、10%程度の関税となるのをマーケットでは見ているのではないでしょうか。
各企業の決算発表を見ても、「どのルートでどれだけの関税がかかるのかがわからない」とのコメントが多く、たとえば、どの部品にいくら関税がかかるのかがはっきりしていないのが現在の状況です。4月-6月の決算では、5月から関税がかかるので、7月末から8月ぐらいに具体的な数値として影響が分かってくると思われます。
ただし、税率決着の行方がまだ見えないのと、関税によるグローバルのマクロに与える影響が不透明なため、企業業績への影響については、もう少し様子をみてみないとわからないところです。
今後のシナリオは?

日本が関税のために貿易国がどこかの国に偏ることはないと思います。
インドをマーケットとして既に進出している企業などは、米国の課す今回の関税の影響はないので安心できているでしょうし、中国マーケット、米国マーケットでの取引の大きい企業では、これまで通りの関係を維持するのではないでしょうか?トヨタのハイブリッド車のアメリカでの生産なども今回の関税によって生まれた話ではなく、既に決まっていた内容ですし、関税によって他の企業が早急に米国生産に移行することは考え難いでしょう。
米国が何を言い出すか不透明な状況で、せっかく投資したものがまた4年たったら変わりかねない(トランプ大統領の任期が4年なので)企業も慎重に投資を考えていると思われます。
ファンドマネージャーが見ているのは?
個別で成長できる企業を見ており、マーケットが大きく下落した中でも、関税による売られ過ぎはいずれ補正されると見ているので、そうした割安な企業を発掘するべく調査をしています。
税率25%を提示された自動車業界は厳しくなる中で、米国での生産が多い企業(トヨタや本田)は価格競争力もあり勝ち組となるでしょう。
また、米国企業であっても米国以外で生産している企業があり、苦しむ企業も出てくると思われます。
企業決算説明会にいくつも参加していると、関税の影響はわからないながらもある程度は織り込んで先行きを計算している企業があります。日本の株価としては、7月以降の軟調になる局面もあるかもしれませんが、その後は来年の業績を見据えながら動くと思われます。トランプ大統領は関税で得たものを減税の原資にする公算なので、減税が米国景気を下支えし、金融政策でも緩和に動くことによって米国経済は底堅く推移すると考えています。リスクとしては、米国の景気が想定以上に悪くなることであり、もしそうなると貿易相手国の経済に影を落とすことになるので、米国景気の動向からは目が離せません。
投資信託にはリスク(投資元本を割り込むおそれ)があり、購入にあたっては手数料等その他の費用がかかります。詳細につきましては、以下のリンク先をご確認ください。
投資信託のリスクと費用
https://app.mattoco-plus.jp/riskAndCost
■東証株価指数(TOPIX):東証株価指数(TOPIX)とは、日本の株式市場を広範に網羅する時価総額加重方式の株価指数で、株式会社JPX総研が算出しています。 同指数に関する知的財産権その他一切の権利は株式会社JPX総研又は株式会社JPX総研の関連会社に帰属します。
■日経平均株価指数(日経225):日経平均株価(日経225)とは、東京証券取引所プライム市場上場銘柄のうち代表的な225銘柄を対象として日本経済新聞社により算出、公表される株価指数です。同指数に関する著作権、知的所有権その他一切の権利は日本経済新聞社に帰属します。日本経済新聞社は本商品を保証するものではなく、本商品について一切の責任を負いません。
■読売株価指数(読売333)、読売株価指数(読売333)(配当込み):読売株価指数(読売333)、読売株価指数(読売333)(配当込み)の知的財産権およびその他一切の権利は株式会社読売新聞東京本社および野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社に帰属します。
なお、株式会社読売新聞東京本社および野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社は、当指数の正確性、完全性、信頼性、有用性、市場性、商品性および適合性を保証するものではなく、指数の利用者およびその関連会社が当指数を用いて行う事業活動・サービスに関し一切責任を負いません。
本資料中の指数等の知的所有権、その他一切の権利はその発行者および許諾者に帰属します。また、発行者および許諾者が指数等の正確性、 完全性を保証するものではありません。各指数等に関する免責事項等については、委託会社のホームページ (https://www.am.mufg.jp/other/disclaimer.html)を合わせてご確認ください。
<留意事項>
mattoco+とは
三菱UFJフィナンシャル・グループの三菱UFJアセットマネジメント株式会社と株式会社スマートプラスが共同で運営する、個人のお客さま向けの投資信託取引サービスです。
三菱 UFJ アセットマネジメント株式会社は、同社が発行するファンドに関する情報等を提供することや、同社のファンドや mattoco+に関してセミナーを開催することなどを担います。株式会社スマートプラスはmattoco+におけるお客さまの口座の管理や設定解約代金の受渡、法定書面等の交付等および、これらに関する情報提供やお問い合わせ対応などのサービス提供を担います。
- 当ページは三菱UFJアセットマネジメントが作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
- 当ページの内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることがあります。また、将来の市場環境等や運用成果等を示唆・保証するものではありません。
- 当ページは信頼できると判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性等を保証するものではありません。
- 当ページに掲載の内容は、お客さまの投資目的、リスク許容度に必ずしも合致するものとは限りません。投資に関する最終決定はお客さまご自身でご判断ください。
【投資信託の勧誘・設定・運用】
三菱UFJアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号 / 一般社団法人投資信託協会会員 / 一般社団法人日本投資顧問業協会会員
【投資信託の勧誘・販売・口座管理】
株式会社スマートプラス
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第3031号 / 加入協会 日本証券業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取引業協会
東京都千代田区九段北一丁目8番10号 住友不動産九段ビル9階
■口座開設・お取引に関するご留意事項
- スマートプラスにてお取引いただくこととなった際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。
- 投資信託のお取引についても基準価額の下落等により損失が生じる恐れがあります。
- スマートプラスにおける各種口座開設に際してはスマートプラス所定の審査があります。
- 資料等の中で個別銘柄が表示もしくは言及されている場合は、あくまで例示として掲示したものであり、当該銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。
- お取引に際してはスマートプラスから交付される契約締結前交付書面、目論見書その他の交付書面や契約書等をよくお読みください。