銀行にはさまざまな種類がありますが、それぞれ特徴が異なります。ご自身のニーズに合った銀行に口座を開設するといいでしょう。
本記事では、銀行の種類やそれぞれの特徴、銀行口座の使い分け方などを解説します。
銀行にはどんな種類がある?それぞれの特徴も解説
銀行の種類については、さまざまな分類の仕方があります。
代表的な分類の仕方は以下のとおりです。
(2)普通銀行(都市銀行、地方銀行、ゆうちょ銀行、ネット銀行など)
(3)信託銀行
(4)外国銀行在日支店(在日外国銀行)
中央銀行(=日本銀行)
中央銀行とは、国家等における金融システムの中核となる金融機関です。日本では、日本銀行が中央銀行に当たります。
中央銀行は、通貨価値の安定化などを目的とした金融政策、市中の銀行からの預金の受け入れ、市中の銀行に対する貸付けなどを担っています。
一般の方は、中央銀行である日本銀行に口座を開設することはできません。
普通銀行
普通銀行とは、銀行法に基づき、免許を受けて銀行業を営む金融機関です。普通銀行の一覧は、金融庁のウェブサイト*1で確認できます。
普通銀行は、その営業形態に応じて以下の種類などに分類されます。
(b)地方銀行、第二地方銀行
(c)ゆうちょ銀行
(d)ネット銀行
など
■都市銀行|大都市部に支店が多い、安心感がある
都市銀行とは、大都市に本店を構え、都市圏を中心に広域展開している普通銀行です。
金融庁の分類*2によれば、以下の4行が都市銀行に該当します。(令和7年2月28日現在)
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- りそな銀行
※日本銀行が統計上用いている定義*3によれば、埼玉りそな銀行も都市銀行とされています。
都市銀行は大都市部に多くの支店を有しているので、大都市部に住んでいる方は便利に利用できます。その一方で、地方部には支店の数が比較的少ないため、支店の近くに住んでいないと店舗を利用しづらいかもしれません。
また、都市銀行は大規模であるため、サービスが安定していて、利用者にとって安心感があるのが大きな特徴と言えます。
■地方銀行・第二地方銀行|地域密着のサービス
地方銀行と第二地方銀行は、特定の地域を営業基盤とする普通銀行です。加盟している協会の種類によって、以下のとおり区別されています。*2
第二地方銀行:一般社団法人第二地方銀行協会の会員である銀行
地方銀行と第二地方銀行の特徴は、地域密着のサービスを提供している点です。特に地方部に住んでいる方や、地方部で営業する事業者などにとっては、支店が近くにある、融資の融通が利きやすいなどのメリットがあります。
その一方で、地元を離れると支店が少ないことや、都市銀行に比べると規模が小さく、大規模な取引には対応できない場合があることなどが難点です。
■ゆうちょ銀行|店舗やATMが多い
ゆうちょ銀行は、日本郵政グループに属する普通銀行です。かつて公営の日本郵政公社が行っていた郵便貯金事業などを引き継ぎ、現在は通常の銀行とほぼ同等のサービスを提供しています。
ゆうちょ銀行の総店舗数は2万3,557店、ATM設置台数は3万1,157台(いずれも2024年3月末時点)*4で、他の銀行に比べて店舗数が非常に多いのが特徴的です。
■ネット銀行|店舗がない分、手数料が安い
ネット銀行は、店舗を持たずにインターネット上での取引を中心として営業する普通銀行です。
ネット銀行の特徴は、店舗を持たないことによって人件費を抑えられる分、顧客に向けて安価なサービスを提供している点です。たとえば、ネット銀行の振込手数料や口座管理手数料などは、店舗のある銀行よりも安価な傾向にあります。
その一方で、きめ細かいサポートを受けたいと考える方にとっては、店舗のないネット銀行は物足りなく感じられるかもしれません。
信託銀行
信託銀行は、銀行業務のほかに、信託業務と併営業務も行っている銀行です。*5
併営業務:相続関連業務(遺言書の保管や執行など)、証券代行業務(株主名簿の管理など)、不動産の売買の仲介業務など
信託銀行では、資産運用に関して、通常の銀行にはない特有のサービスを提供しています。特に、相続に関連する遺言書の保管や執行、不動産仲介などは信託銀行の特徴的なサービスです。
資産運用について手厚いサポートを受けたい場合は、信託銀行を利用するとよいでしょう。
外国銀行在日支店(在日外国銀行)
外国銀行とは、外国の法令に準拠して、外国において銀行業を営む事業者です。外国銀行が日本に置いている支店は、「外国銀行在日支店」または「在日外国銀行」と呼ばれています。
外国銀行在日支店の数や設置地域は限られていますが、海外送金などに関して特徴的なサービスを提供しています。
主に日本に在住する外国人や、外国に口座を保有している方などは、外国銀行在日支店を利用すると便利な場合があります。
銀行以外の民間金融機関
銀行以外にも、以下のような金融機関が市民向けのサービスを提供しています。
- 信用金庫
- 信用組合
- 労働金庫
- 商工組合中央金庫
- 農林漁業金融公庫
- 農林中央金庫
- JAバンク
特に個人事業主や法人が融資を受けたい場合は、地元にある上記の金融機関に相談すれば、柔軟に融資を受けられる可能性があります。
銀行はどのように使い分けるべき?
銀行には、それぞれ異なる特徴があります。ご自身のニーズに応じて銀行を使い分けましょう。
一般的には、サポートの手厚さを求めるなら店舗のある銀行(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信託銀行)、手数料などのコストの安さを重視するならネット銀行が適しています。
また、同じ種類の銀行でも、提供しているサービスには違いがあります。サービスの内容や手数料の水準などをウェブサイトで調べてみましょう。
用途に応じて複数の銀行口座を保有することも考えられます。
例えば個人事業を営んでいる場合は、事業用とプライベート用の口座を分けた方がよいでしょう。会計や税務に関する処理が明確になるためです。
またプライベート用の口座についても、貯蓄用・生活費の支払い用・証券口座の入出金用などと分けている例がよく見られます。
ただし、保有する銀行口座が多すぎると、口座を管理することが難しくなってしまいます。自分自身で状況を把握できる範囲の口座数にとどめましょう。
まとめ
銀行のサービスは各行によって異なります。適切に銀行を使い分ければ便利に資産の管理や運用を行うことができます。
ウェブサイトなどで各銀行の特徴を調べたうえで、自分のニーズに合っているところに口座開設などの相談をしてみましょう。
*1 (出所)金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」
*2 (出所)金融庁「銀行免許一覧(都市銀行・信託銀行・その他)」
*3 (出所)日本銀行「用語の定義」
*4 (出所)ゆうちょ銀行「個人投資家のみなさまへ」
*5 (出所)一般社団法人 信託協会「信託銀行とは?」
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。
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