「なかなかお金が貯まらない」「老後の生活費が足りるか不安」など、お金に関する悩みを持つ人は多いでしょう。お金の勉強をして正しい知識を身につけることは、悩みや不安を解消し、よりよい生活を送ることに役立ちます。
しかし、何から始めたらよいかわからない人は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、初心者の方向けに金融知識を身につける必要性や学ぶべき分野、お金の勉強の始め方を紹介します。
お金の勉強はなぜ必要なのか
まずはお金の勉強の必要性についてみていきましょう。
多くの人が、お金の不安を抱えている
内閣府の調査によると、日常生活で悩みや不安を感じている人は78.2%です。
その悩みや不安のうち、お金に関連する回答の割合は以下のようになっています。*1
- 老後の生活設計について:62.8%
- 今後の収入や資産の見通しについて:58.0%
- 現在の収入や資産について:46.8%
この結果から、多くの人がお金にまつわる悩みや不安を抱えているといえます。
知識を身につければ、お金の不安は解消できる
金融広報中央委員会の調査によると、学校や大学、勤務先で家計管理や生活設計などの金融教育を受けたと認識している人の割合はわずか7.1%です。*2
多くの人がお金の不安を抱えているにもかかわらず、金融教育を受けた人の割合は低水準にとどまっています。
同調査では、金融教育を受けた人のほうが金融知識に関する設問の正答率は高く、正答率の高い人は、金融トラブル経験者の割合が低い傾向がみられます。*2
お金の不安の根底には、「必要な資金が足りない・準備できないかもしれない」という思いがあるのではないでしょうか。勉強してお金の基礎知識を身につけ、将来の必要資金とその準備方法を把握することで、漠然としたお金の不安の解消・軽減が期待できるでしょう。*3
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初心者が学んでおきたい、お金の分野
お金の勉強といってもその範囲は幅広く、さまざまな分野があります。ここでは、初心者が学んでおきたい金融分野の内容を紹介します。
なお、一度にすべての分野を勉強する必要はありません。目的に応じて学びたい分野を選択し、自分のペースで勉強を進めるとよいでしょう。
家計管理*4
将来に向けて貯蓄を増やすには、適切な収支管理を習慣化することが重要です。家計簿アプリなどを活用して現状の収入や支出を把握し、収支のバランスが取れているかを確認しましょう。無駄な支出を抑え、毎月安定的に黒字を確保することで、無理なく貯蓄できるようになります。
生活設計*4
生活設計とは、ライフプランとその資金計画を作ることです。結婚、出産・子育て、住宅購入、子供の進学、自身の老後など、人生にはさまざまなライフイベントがあります。どんな生き方を選ぶのか、それによっていつ、どのようなライフイベントがあるのかを検討することで、資金計画を立てやすくなるでしょう。
預貯金
預貯金とは、銀行などの金融機関にお金を預けることです。金融機関にはお金を預けるだけでなく、振り込みや引き出しなどの機能もあります。また、金融機関によって金利や手数料に違いがあります。比較・検討すべきポイントを知っておくと、自分に合った金融機関を選びやすくなるでしょう。*4
また、お金のトラブルを避けるために、キャッシュカードの管理方法やインターネットバンキングの利用方法などを理解しておくことも大切です。*4
金融商品*4
個人が投資できる代表的な金融商品に、「株式」「債券」「投資信託」があります。
株式は株式会社が活動資金を集めるために、債券は国や地方自治体、会社などが多くの人からお金を借りるために発行するものです。投資信託は投資家から集めたお金を1つにまとめ、専門家が株式や債券などで運用する金融商品を指します。
これらは預貯金とは異なり、どれも元本割れの恐れがあります。投資で資産形成に取り組むのであれば、金融商品ごとの特徴やリスクへの理解を深める必要があるでしょう。
保険*4
保険は、病気やケガ、火災、事故などのリスクに対して金銭面で備えるための仕組みです。公的保険制度だけではカバーできない部分については、民間の生命保険や損害保険を活用する必要があります。
保険には死亡保険、医療保険、個人年金保険、自動車保険、火災保険などさまざまな種類があります。どれも想定する事象に対して掛け金を前払いして、想定事象が発生した際に、保険金が支払われる仕組みです。どんな保障(補償)を受けられるかを理解し、保険料負担とのバランスを考慮して、自分に必要な保険を見極めることが大切です。
クレジット・ローン
クレジットとは、買い物などの代金を後払いにできる仕組みです。カード会社に代金を立て替えてもらうため、クレジットカードを使うことは借金をすることと同じ意味をもちます。*4
ローンとは、銀行などの金融機関からお金を借りることです。*4
使う用途を限った目的別ローンの代表的なものに住宅ローンやマイカーローンなどがあります。一方、使う用途が限られないフリーローンやカードローンなどもあります。
クレジットもローンも複数の返済方法があり、どの方法を選ぶかによって金利や手数料、返済回数などが異なります。*4
また、ご自身の信用状況に応じて、借りられる金額も変わってきます。
借りすぎには十分に注意して、無理なく返済できる範囲で利用することが重要です。
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お金の勉強の始め方
お金の勉強を始める前に、まずは目的を明確にしましょう。「少しでも貯蓄を増やしたい」「住宅を購入したい」など、勉強の目的が明確になると学ぶべき分野を決めやすくなります。*3
学びたい分野が決まったら、以下のような方法で知識を身につけましょう。
お金の本を読む*3
お金の本には十分な情報量があるため、体系的な知識を身につけるのに最適です。空いている時間を活用しながら、自分のペースで勉強を続けられます。
お金の本を読んで勉強する場合は、途中で挫折しないように、自分に合った分野・レベルのものを選ぶことが大切です。書店などで実際に手に取ってみて、読みやすいと感じる本を選ぶとよいでしょう。
初めてお金の勉強をする場合は、初心者向けの本や漫画で解説されているものを利用する方法もあります。
インターネットやアプリで勉強する*3
インターネットで検索すると、お金に関するコンテンツがたくさん見つかるでしょう。その多くは無料で利用できるため、パソコンやスマホがあれば手軽に勉強できます。
ただし、インターネット上の情報は質や正確性に差がある点に注意が必要です。インターネットを活用するのであれば、情報の取捨選択や真偽判断の力がついてくるまで、まずは金融庁やJ-FLEC(金融経済教育推進機構)などの公的機関が発信している公正公平なコンテンツを利用するとよいでしょう。*5
最近では、お金の勉強ができるアプリもあります。情報の正確性を確認したうえでうまく活用しましょう。
セミナーに参加する*3
お金に関するセミナーに参加して、必要な知識を身につける方法もあります。専門家から直接話を聞けるため、勉強へのモチベーションが上がりやすいでしょう。
セミナーによってテーマや難易度が異なるため、勉強したい分野や理解度に応じて、自分に合ったものを選択することが大切です。申し込む前に主催者の信頼性や費用などを確認しておきましょう。
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まとめ
お金の勉強をして正しい知識を身につければ、お金に関する悩みや不安の解消が期待できます。そうすることで、無理なく貯蓄できるようになり、資産運用にも挑戦しやすくなるでしょう。
お金の勉強は範囲が幅広く、さまざまな分野があります。勉強の目的を明確にしたうえで学びたい分野を選び、無理のないペースで知識を身につけていきましょう。
*1 出所)内閣府「国民生活に関する世論調査(令和6年8月調査)」<PDF>
*2 出所)知るぽると「金融リテラシー調査(2022年)のポイント」<PDF>
*3 出所)三菱UFJ銀行「【初心者向け】お金の勉強は何から始める?勉強方法やメリットを解説!」
*4 出所)金融庁「基礎から学べる金融ガイド」<PDF>
*5 出所)J-FLEC(金融経済教育推進機構) 「金融について知りたい>金融を学べる教材一覧」