お金を借りる方法は?種類別の方法と注意点を弁護士が解説

お金を借りる方法は?種類別の方法と注意点を弁護士が解説

お金を借りる方法はたくさんありますが、目的や返済能力に応じて計画的に利用することが大切です。本記事では、お金を借りることができる主な方法や、各方法の注意点などを弁護士が解説します。

比較的手軽にお金を借りる方法|キャッシング・カードローン・消費者金融

比較的手軽にお金を借りることができる方法としては、キャッシング・カードローン・消費者金融などが挙げられます。

キャッシング・カードローン・消費者金融とは

キャッシング・カードローン・消費者金融は、いずれも個人向けの貸付サービスです。

  1. キャッシング
    クレジットカードに附帯されている貸付サービスです。キャッシング枠の限度内でお金を借りることができます。
  2. カードローン
    銀行などが提供している貸付サービスです。契約時に設定された借入限度額の範囲内で、専用のカードを使ってお金を借りることができます。
  3. 消費者金融
    貸金業者が提供している貸付サービスです。キャッシングやカードローンに比べると、審査が緩やかなのが特徴的です。

キャッシング・カードローン・消費者金融を利用する際の注意点

キャッシング・カードローン・消費者金融は、いずれも比較的手軽に利用することができます。即日でお金を借りられることもあるほか、資金使途が限定されていない点も大きなメリットです。

ただし、キャッシング・カードローン・消費者金融の金利は、後述する貸付サービスに比べると高めに設定されています。利用し過ぎると金利の負担が重くなり、返済困難に陥ってしまうおそれがあるので注意が必要です。

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低金利でお金を借りる方法|国・政府系金融機関

国や政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金など)の貸付制度を利用すれば、低金利でお金を借りることができます。

国が提供している主な貸付制度

国が提供している貸付制度としては、主に以下の例が挙げられます。

  1. 生活福祉資金貸付制度*1
    低所得者世帯・障害者世帯・高齢者(65歳以上)世帯を対象とする無利子または低金利の貸付制度です。
    原則として、連帯保証人を立てる場合は無利子、連帯保証人を立てない場合は年利1.5%でお金を借りることができます。
  2. 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度*2
    20歳未満の子どもを扶養している、シングルマザーやシングルファザーなどを対象とする無利子または低金利の貸付制度です。
    資金使途に応じて、借入限度額や償還期間(返済期間)などの条件が設定されています。
  3. 求職者支援資金融資*3
    ハローワークの休職者支援制度を利用して、職業訓練を受ける予定の人を対象とした低金利の貸付制度です。
    職業訓練を受ける予定の月数にわたって、月額5万円または10万円を年利2.0%で借りることができます。(配偶者などの有無により、上限額は異なります)

日本政策金融公庫の貸付制度

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、個人事業主や中小企業を対象として、運転資金などを低金利で貸し付けています*4

また日本政策金融公庫は、子どもの教育費を必要としている人を対象として、原則として350万円まで低金利でお金を借りることができる「国の教育ローン」も提供しています。*5

商工中金の中小企業向け融資

同じく政府系金融機関である商工中金は、中小企業向け融資を提供しています。*6
設備投資の資金や、運転資金などを借り入れることができます。

国や政府系金融機関の貸付制度を利用する際の注意点

国の貸付制度は、主に経済的に苦しい状況にある人を対象にしています。利用に当たっては、国が定める基準を満たしていなければなりません。誰でも利用できるわけではない点にご注意ください。

また、日本政策金融公庫や商工中金の貸付制度は、基本的に事業者を対象としています。一般個人の方は、原則として利用できません(日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、一般個人の方でも利用できます)。

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資金使途を限定してお金を借りる方法|住宅ローン・マイカーローンなど

各金融機関では、資金使途に応じたローン(=目的別ローン)を提供しています。

目的別ローンの主な種類

目的別ローンの種類としては、主に以下の例が挙げられます。

  • 住宅ローン
  • 不動産担保ローン
  • リフォームローン
  • 空き家専用ローン
  • マイカーローン
  • 教育ローン
  • 結婚、出産用ローン
  • 美容、医療用ローン
  • リスキリングローン(スキルや知識の再習得のためのローン)
  • 相続、事業承継向けローン
  • ゴルファー向けローン
  • 楽器購入用ローン
など

目的別ローンを利用する際の注意点

目的別ローンは、資金使途が限定されていないキャッシング・カードローン・消費者金融などに比べると、低い金利でお金を借りられるのが大きなメリットです。

その反面、あらかじめ定められた使途以外に借入金を使うことはできません。資金使途に違反すると契約違反となり、一括返済を求められるおそれがあります。

また、不動産や車などの資産を購入するためのローンについては、購入した資産を担保にとるのが一般的です。返済を滞らせると、購入した資産が引き上げられたり、競売にかけられたりしてしまうので十分ご注意ください。

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お金を借り過ぎてしまうとどうなる?

経済状況に見合わない大きな金額を借りてしまうと、毎月の返済負担が重くのしかかります。
特にキャッシング・カードローン・消費者金融などは、金利が高く設定されている傾向にあります。借入額が大きすぎると、金利ばかりを支払って元本がなかなか減らず、完済が全く見えてこないということになりかねません。

今は何とか借金を返せていても、将来的には病気・失業・転職などにより、収入が大幅に減少する可能性もあります。
ぎりぎりの返済を続けていた場合は、収入の減少によって一挙に返済が困難となり、自己破産に追い込まれてしまうかもしれません。

このような事態を防ぐためには、お金を借りる際に、借入額を自分の資産や収入に見合った水準に抑えることが大切です。
月々の収支を洗い出して、無理なく返済に充てられる金額がどのくらいかを把握したうえで、その範囲内で余裕をもってお金を借りましょう。

万が一、お金を返すことが難しくなってしまったら、借入先に相談してみましょうで。具体的な事情によっては、返済を待ってもらえることがあります。

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まとめ

お金を借りる方法は多種多様ですが、それぞれメリットと注意点の両面があります。目的や経済状況などに応じて、自分に合った方法でお金を借りましょう。

特に、お金を借り過ぎると返済が困難となり、自己破産に追い込まれてしまうケースが少なくありません。お金を借りるとしても、自分の資産や収入などに照らし合わせて、無理なく返済できる範囲内に抑えましょう。

*1 出所)厚生労働省「生活福祉資金貸付制度

*2 出所)内閣府男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

*3 出所)厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内

*4 出所)日本政策金融公庫「中小企業・小規模事業者のみなさまへ 融資のご案内

*5 出所)日本政策金融公庫「国の教育ローン

*6 出所)商工中金「中小企業向け融資

阿部 由羅
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。
https://abeyura.com/
https://x.com/abeyuralaw

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