株価指数の歴史
株価指数の歴史は、各国の経済発展とともに進化してきました。例えば、日本の代表的な株価指数である日経平均株価は、1950年9月7日に「東証株価平均」として算出が始まりました。その後、1971年に「NSB225種平均株価」、1975年に「日経ダウ平均株価」、1985年に現在の「日経平均株価」と名称が変更されました。*1
日経平均株価は、戦後の日本経済の成長とともに上昇し、バブル経済期には史上最高値を記録しました。しかし、バブル崩壊後は長い停滞期を経て、2024年には再びバブル期の最高値を更新しました。
米国指数のはじまり
アメリカの代表的な株価指数であるダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)は、1896年に初めて算出されました。S&P500は、1957年にスタンダード・アンド・プアーズ社によって算出が始まりました。これらの指数は、アメリカ経済の成長とともに進化し、現在では世界中の投資家にとって重要な指標となっています。*2
株価指数は、経済の動向を反映する重要な指標であり、投資家にとって欠かせない情報源です。株価指数の中身を理解することで、経済の変動や市場の動向をより深く理解することができます。
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株価指数の種類
株価指数は、証券取引所全体の株価や特定の銘柄群の株価を、計算式を使って数値化したものです。株価指数には主に「株価平均型」と「時価総額加重型」の2種類があります。
株価平均型は、構成銘柄の株価を足して一定の数で割ることで計算されます。日本では日経225が代表的な株価平均型の指数です。株価平均型のメリットは、株式市場全体の値動きをつかみやすい点です。
一方、時価総額加重型は、構成銘柄の時価総額を合計して、ある時点の時価総額の合計額で割ることで計算されます。時価総額は、株価にその銘柄の上場株式数を掛けて求めます。日本ではTOPIXが代表的な時価総額加重型の株価指数です。時価総額加重型のメリットは、運用成績評価の参考にしやすい点です。
世界的な潮流は「時価総額加重型」へと移っており、米国でも多くの機関投資家はNYダウではなく、S&P500やNASDAQ総合株価指数を使用しています。
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株価指数の変動要因
株価指数の変動要因は、内部要因と外部要因の2つに分けられます。内部要因には、その企業の業績や投資家からの人気などがあります。企業の売上や利益の増加が予想されると、それに伴う配当や一株当たり利益の増加などが期待され、株価は上昇しやすくなります。反対に、赤字続きで配当も払えないような状態に陥ると、その企業の株を買う人が減少し、結果として株価低迷につながります。
外部要因には、金利や外国為替、景気などの動向があります。金利が下がると利息の負担が軽減されるため、企業は資金調達しやすくなります。調達した資金で事業拡大が可能になり、結果として売上や利益が増加します。反対に、金利が上がると利払いが増えて資金調達しにくくなります。そのため、事業を縮小する企業が増加し、結果として売上や利益の減少につながります。
また、外国為替相場の動きも株価を動かす要因です。一般的に円安は輸出企業に、円高は輸入企業にメリットをもたらします。輸出企業は、円安になると円での販売額が増加し、円高になると円での販売額が減少します。
株価指数の変動は、これらの要因が複雑に絡み合って決まります。例えば、2024年12月の米消費者物価指数(CPI)の発表により、米株式市場は警戒感を強め、ナスダック総合株価指数は5日続落しました。米長期金利の不安定な動きを受け、CPIが上振れすれば目先は株買いに動きにくくなるとの懸念がくすぶりました。
このように、株価指数の変動は多くの要因によって影響を受けます。投資家はこれらの要因を総合的に判断し、投資戦略を立てることが重要です。
投資判断をするためには、個別銘柄の値動きだけでなく、株式市場全体の動向を把握することが必要です。
NISAの「つみたて投資枠」で資金が流入しているインデックス型投資信託は、何らかの株価指数に連動する投資効果を目指す運用を行っています。
投資判断の指標
株価指数とは、指数構成銘柄の値動きをあらわす指標で、いわば指数構成銘柄全体が上がったか下がったかを見る物差しといえます。*3
株式投資には、投資判断が欠かせません。その際、個別銘柄の値動きを把握することも重要ですが、それと同時に、株式市場の大きな動きを把握することも不可欠です。
株価指数は、株式市場の動きをあらわす指標として、投資判断を行ううえで欠かせない要素の1つです。
ベンチマークとしての役割
株価指数は、資産運用においては、「ベンチマーク」という重要な役割を果たしています。*3
ベンチマークとは、運用成績を評価する際の基準となる指標のことです。
たとえば、日本株を投資対象とする投資信託(以下、投信ということがあります)で、1年間の騰落率が130%だった投信Aと、150%だった投信Bがあったとします。どちらの投信の運用成績も良かったように見えますが、実際はどうでしょうか。
TOPIXの動きと比較して運用成績を評価すればそれがわかります。
この場合、TOPIXの上昇が140%だったとすると、投信Aの運用成績はTOPIXの上昇と比べると下回っていることがわかります。一方、投信Bの運用成績はTOPIX の上昇を上回っていることがわかります。
TOPIXは、日本の株式市場全体の動きをあらわしているため、上の例のようにTOPIXの動きと比較することによって、その投信の運用成績が「株式市場の標準」を上回っているのか下回っているのかを把握することができるのです。
実際に、機関投資家などは、このようにTOPIXの動きと照らし合わせて、自身や他社の日本株運用成績の良し悪しについて評価を行っています。
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株価指数を活用した取引
株価指数は、複数の上場銘柄の動きを総合的にあらわすものです。そのため、特に年金運用や投資信託の運用など、多額の資金を多くの銘柄に分散投資する際の運用の対象・目標に活用されています。*1
インデックス型投信
投資家には、株式市場全体の動きに連動する商品を購入したいというニーズもあります。そこで運用会社各社は、こうしたニーズに応えるために、さまざまなインデックス型投信を設定しています。
インデックス型投信とは、TOPIXなどの株価指数に連動する運用成果をめざす株式投資信託です。たとえばTOPIX連動型ファンドは、「大きな値上がりは望まないけれど、株式市場全体の標準並みの運用成果は確保したい」という投資家向きのものです。
インデックス型投信のメリット・デメリット
- 低コスト: インデックス型投信は、特定の株価指数に連動することを目指して運用されるため、運用コストが低く抑えられます。これは、アクティブファンドに比べて運用管理費用等が少ないためです。
- 分散投資: インデックス型投信は、特定の株価指数に含まれる多くの銘柄に分散投資するため、リスクを分散することができます。これにより、個別銘柄のリスクを軽減し、市場全体の動向に合わせた運用が可能になります。
- 透明性: インデックス型投信は、連動する株価指数が公開されているため、投資家はどの銘柄に投資しているかを容易に把握できます。これにより、投資の透明性が高まります。
- 長期的なリターン: 株式投資信託は、長期的に運用することでプラスリターンを得る確率が高いとされています。*4市場全体の成長に合わせて資産を増やすことが期待できます。
- 市場全体のリスク: インデックス型投信は市場全体の動向に連動するため、市場全体が下落すると投資信託の価値も下がります。個別銘柄の選択によるリスク回避ができないため、市場全体のリスクを負うことになります。
- 個別企業の株価下落リスク: 対象指数に組み入れてある個別企業または業種全体の株価が低迷した場合にはインデックス型投信の価格に影響を及ぼすことがあります。
- 配当金の減少: インデックス型投信に組み入れている構成銘柄の業績悪化などから配当金が減配されることがあり、基準価格にも影響することがあります。
- 運用の柔軟性の欠如: インデックス型投信は特定の株価指数に連動することを目指しているため、運用の柔軟性が制限されます。市場の変動に対して迅速に対応することが難しい場合があります。
これらのメリットとデメリットを考慮して、投資の目的やリスク許容度に応じた投資判断を行うことが重要です。
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まとめ
株価指数は株式市場全体の値動きが分かるので日々のマーケットの値動きの確認ができます。株価指数の動向を把握することで、投資判断をより的確に行うことができます。
株価指数は投資判断において重要な役割を果たしており、その動向を把握することが投資成功の鍵にもなるでしょう。
*1 出所)日本経済新聞「採用銘柄数、227から225に」
*2 東証マネ部「ダウ平均とS&P 500 米国市場を代表する2大指数」
*3 出所)JPX 日本取引所グループ「よくあるご質問(株価指数関連)>株価指数の仕組み等」
*4 出所)投資信託協会「第3回 長期投資のメリットとは」