日本株の魅力とは?株主還元を中心に解説

日本株の魅力とは?株主還元を中心に解説

日本の証券取引所に上場している「日本株」の存在感が増しています。
上場企業の2024年3月期の株主還元総額は2年連続で過去最高となりました。
また、新しいNISAの成長投資枠でも、株式の買付額をほぼ国内株が占めています。

日本株の魅力、投資動向、株主還元の状況、株価の推移についてわかりやすく解説します。

日本株の特徴

「日本株」には、どのような特徴があるのでしょうか。

株主の権利

株式を購入し、企業に出資して資金面で応援する人、つまり資金の出し手である「株主」は、その発行企業に対して、出資額に応じた権利である「株主権」をもちます。*1
株主権は、以下の4つです。

図1【株主権】
出所)日本証券業協会「投資入門」p.10

日本株の魅力

株式投資には、以下のようなメリットがあります。

図2【株式投資のメリット】
出所)日本証券業協会「投資入門」p.7

株式投資のメリットとして挙げられるのは、まず、購入した株式が値上がりした場合、「購入時よりも高い価格で売る」ことによって生じる利益「キャピタル・ゲイン」が得られることです。

次に、企業が事業活動によって得られた利益の一部を配当金として株主に還元することがあり、この配当金による収入「インカム・ゲイン」が受け取れることもメリットの1つです。
インカム・ゲインは、キャピタル・ゲインのように売買を行わなくても得られる収入なので、「投資の楽しみ」と捉える投資家もいます。

値上がり益と配当金は外国株にも共通するメリットですが、株式を所有しているだけで「株主優待」として会社の製品やサービスの提供を受けられるのは、日本株ならではの魅力です。*2

たとえば、洗剤などの日用品やお米などの食品、化粧品や飲食店の割引券、スーパーの買い物券など、株主優待にはさまざまな種類があります。こうした商品やサービスを提供している銘柄を選べば、株主優待が家計の一助になります。

また、株式投資には、企業に出資して資金面で応援する楽しみや、企業を育てて、経済や企業の発展に貢献するという、社会的意義もあります。*1

日本株の場合には外国株に比べ、身近な企業が多く、社会情勢に関する情報へのアクセスも容易であることから、投資判断がしやすいという点も日本株のメリットです。

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日本株の株主還元をめぐる状況

ここでは、日本株の株主還元に着目します。
株主還元とは、税金などの支払い後に残った純利益や、過去の利益の蓄積の一部を株主に還元することです。

株主還元には、現金を支払う「配当」と、企業が自社の株式を買い戻す「自社株買い」の2つの方法があります。

配当総額の増加

図3【TOPIXの1株当たり配当総額推移】
出所)MUFG 三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信」p.10


また、自社株買いの一例ですが、三菱UFJフィナンシャル・グループでは、下図のようにこれまでの自己株式の取得の状況を公開しています。

                     自己株式の取得状況

図4【自己株式の取得状況】
出所)三菱UFJフィナンシャル・グループ「株主還元方針

海外からも注目される日本株市場

日本株は海外からも注目されています。*3
海外投資家は2023年3月末頃に、買い越しに転じました。

図5【投資部門別株式売買状況 東証プライム[金額]全51社】
出所)JPX「投資部門別売買状況」<PDF>

2023年4月、アメリカの著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が来日し、5大商社株の買い増しを明らかにするとともに、日本株に前向きな立場を示したことも海外勢の関心を高める要因になりました。
バフェット氏は今後も日本株への投資を検討すると明言しており、日本株に関心を持つ投資家が増加する可能性があります。

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株価変動の可能性

ただし、日本株に限らず、株式投資には、元本が保証されないというリスクがあります。
日本株は8月に大幅に下落しました。日経平均株価は9月に入ってからも1日の値幅が1,000円以上の大幅な値動きをみせる日もあり、価格変動には注意が必要です。

株価変動の要因

株式投資で期待する運用成果が得られるかどうかは、株価(株式の価格)の変動によって決まります。*1
株価の基本的な変動要因は企業の業績ですが、それ以外にも以下のようなものがあります。

図6【株価の変動要因】
出所)日本証券業協会「投資入門」p.10

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おわりに

近年、存在感を増している日本株は、企業業績が好調であることに加え、東京証券取引所が2023年3月に全上場企業を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請をしたことによって、資本効率を意識した経営や株主還元の拡充をする企業が増えたり、海外投資家からの注目度が高まるなど、好材料に恵まれています。
ただし、上述のように、株価はさまざまな要因によって変動します。日本株に投資する際には、好材料ばかりに目を奪われることなく、俯瞰して株価変動要因に注意を向ける必要があるでしょう。

*1 出所)日本証券業協会「投資入門」p.7,10

*2 出所)東京証券取引所 東証マネ部!「見逃せない株主優待と配当!おトクに活用、日本株」(2024年5月15日)

*3 出所)JPX「投資部門別売買状況」<PDF>

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