結婚助成金は、自治体が結婚に伴う費用を補助する制度です。結婚を機に夫婦として新生活を始めるタイミングでは、挙式・披露宴や新婚旅行、新居への引っ越しなどにまとまったお金がかかります。結婚助成金によって経済的な負担が軽減されれば、安心して新生活を始められるでしょう。
この記事では、結婚助成金の概要や受給条件、申請方法、注意点を解説します。
結婚助成金とは
結婚助成金とは、夫婦として新生活をスタートする世帯に対して、自治体が経済的支援を行うために補助金を支給する制度です。「結婚新生活支援事業補助金」と呼ばれることもあります。「地域少子化対策重点推進交付金」の交付を受けた自治体が、「結婚新生活支援事業」として実施しています。
地域少子化対策重点推進交付金とは、少子化対策に取り組む自治体を支援するために国(こども家庭庁)が交付する交付金です。*1
令和6年度は、全国842市区町村が地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)の交付決定を受けています。*2
結婚新生活支援事業は2つのコースがある
結婚新生活支援事業では、次の2つのコースが設けられています。*3
- 都道府県主導型市町村連携コース(補助率:2/3)
- 一般コース(補助率:1/2)
補助率とは、こども家庭庁の交付金によって自治体が補助される割合です。結婚新生活支援事業でかかった経費のうち、補助率に相当する部分は地域少子化対策重点推進交付金を利用し、残りの部分は自治体が負担する仕組みになっています。
この2つのコースは、国から自治体への補助率や事業運営の仕組みが異なるだけです。住んでいる自治体がどちらのコースであっても、新婚世帯に対する支援内容に違いはありません。
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結婚助成金の受給条件・補助上限額
結婚助成金を受け取るには、以下の受給条件を満たす必要があります。
出所)こども家庭庁「令和6年度 一般の方向けチラシ【結婚新生活支援事業】」をもとに三菱UFJアセットマネジメント作成<PDF>
実際の補助額や対象世帯・対象費用の範囲は自治体によって異なります。また、自治体独自の要件が定められている場合もあります。詳しくは、自治体のホームページなどでご確認ください。
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結婚助成金の注意点
結婚助成金の申請を検討している場合は、以下の点に注意しましょう。
申請できない自治体がある
結婚助成金を実施しているのは、こども家庭庁の地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)の交付決定を受けた自治体です。令和6年度に交付決定を受けたのは全国842市区町村であり、すべての自治体で実施しているわけではありません。*2
先ほど紹介した受給条件を満たしていても、住んでいる自治体が実施していなければ申請できず、結婚助成金はもらえないので注意が必要です。
結婚助成金を実施している自治体は、こども家庭庁のホームページで確認できます。
また、住んでいる自治体のホームページや窓口で実施状況を確認してもいいでしょう。
年齢や所得、対象費用に制限がある
結婚助成金は、「夫婦ともに婚姻日の年齢が39歳以下」という要件があります。*4
夫婦のどちらかが39歳以下であっても、もう一方が40歳以上の場合は申請できません。
また、「世帯所得500万円未満」という要件もあります。*4
収入ではなく、所得で判断される点に注意が必要です。所得は、給与収入の人(会社員など)は「額面年収-給与所得控除」、自営業者は「収入-必要経費」で計算します。
対象費用については、補助対象となる費用の範囲を確認しておくことが重要です。
たとえば、新居の家賃は補助対象ですが、駐車場代や鍵交換代などは基本的に対象外です。引っ越し費用は業者を利用して行った荷物の移動・運送費用が対象となるため、自らレンタカーを借りて引っ越した場合にかかった費用や不用品の処分費用は対象外となるのが一般的です。
結婚助成金の対象費用に含まれるか判断できない場合は、自治体の担当部署に確認しましょう。
申請期間の途中で受付終了の可能性がある
結婚新生活支援事業の予算には上限があります。申請期間の途中であっても、予算上限に達した場合は途中で受付終了となる場合があります。
結婚助成金の受給要件を満たしている場合には、早めに申請手続きを行いましょう。
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結婚助成金の申請方法
結婚助成金を受け取るには、結婚後に住む地域の自治体へ申請が必要です。ここでは、結婚助成金の申請手続きの流れと必要書類を紹介します。
申請手続きの流れ
結婚助成金の申請手続きの流れは以下の通りです。
- 自治体へ申請書と必要書類を提出する
- 審査に通過すると交付決定通知書が届く
- 自治体へ結婚助成金の請求書を提出する
- 結婚助成金が指定口座に振り込まれる
申請から結婚助成金が振り込まれるまで、通常は1ヵ月程度かかります。手続きの詳細は、申請する自治体のホームページなどで確認しましょう。
申請時の必要書類*5
結婚助成金の申請手続きでは、主に次の書類を提出する必要があります。
- 申請書・誓約書
- 婚姻を証明する書類(戸籍謄本、婚姻届受理証明書)
- 所得証明書
- 税金の滞納がないことを証明する書類
- 新居に関する契約書(売買契約書、賃貸借契約書)
- 対象費用の確認書類(領収書など)
必要書類は自治体によって異なります。事前に自治体のホームページなどで確認し、余裕をもって準備を進めることが大切です。
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まとめ
結婚助成金をもらえれば、結婚に伴う新生活の費用の負担軽減が期待できます。申請期間の途中でも予算上限に達して受付終了となる可能性もあるので、早めに申請手続きを行うことが大切です。まずは、結婚後に住む自治体で結婚新生活支援事業を実施しているかを確認しましょう。
*1 出所)こども家庭庁「地域少子化対策重点推進交付金」
*2 出所)こども家庭庁「令和6年度 地域少子化対策重点推進交付金 交付決定済自治体一覧」 <PDF>p.5
*3 出所)こども家庭庁「令和6年度 地域少子化対策重点推進交付金の概要」<PDF>
*4 出所)こども家庭庁「令和6年度 一般の方向けチラシ【結婚新生活支援事業】」<PDF>
*5 出所)三菱UFJニコス「結婚助成金とは?申請すればもらえるお金の支給条件を解説」