新NISAで高配当株に投資する魅力とは?銘柄選びのポイントやリスクを抑える方法を紹介

新NISAで高配当株に投資する魅力とは?銘柄選びのポイントやリスクを抑える方法を紹介

新しいNISA制度がスタートし、高配当株に注目する個人投資家が増えています。NISAでは運用益に課税されないため、株式の保有中は非課税の配当金を継続して受け取ることが可能です。ただし、高配当株はメリットだけでなく、特有のリスクもあります。そのため、NISA制度や高配当株の特徴を理解したうえで投資判断を行うことが大切です。

今回は、NISAで高配当株に投資する魅力や銘柄選びのポイント、リスクを抑える方法を紹介します。

新NISAで高配当株が注目される理由

NISAとは、株式や投資信託などの利益にかかる税金を負担しなくて済む制度です。金融商品の利益には、通常20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座で取引すれば税金はかかりません。

NISAを利用して高配当株に投資を行い配当金を得た場合には、課税口座(特定口座など)で投資を行うよりも非課税分の手取り額が増えるため、配当金を年金の足しにするなどの目的で活用できます。

新NISAで高配当株投資をするときに押さえておきたいポイント*1

NISA制度の概要は以下の通りです。

引用)金融庁「NISAを知る

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがありますが、上場株式に投資できるのは成長投資枠のみです。高配当が期待できる個別銘柄に投資するなら、成長投資枠を利用することになります。

成長投資枠は年240万円まで投資可能です。NISAの非課税保有限度額(総枠)は1,800万円で、このうち成長投資枠は1,200万円までとなっています。1,800万円の枠を使い切るにはつみたて投資枠を利用する必要があります。つみたて投資枠の対象商品は長期・分散・積立投資に適した一定の投資信託に限定されています。

また、NISA口座で株式の配当金を非課税にするには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にする必要があります。NISA口座を開設する金融機関で確認しましょう。なお、NISA口座で購入した投資信託の分配金については、このような手続きは不要です。*2

そもそも高配当株とは?

高配当株とは、配当利回りが高い株式のことです。配当利回りは次の計算式で求められます。

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷株価×100

たとえば、1株1,000円、年間配当金額30円の銘柄の場合、配当利回りは3%(30円÷1,000円×100)になります。

2024年6月末時点の東証プライム市場の株式平均利回り(有配会社平均利回り)は2.20%です。*3
この水準を上回る銘柄は、相対的に利回りが高いといえるでしょう。

高配当株投資のメリット

高配当株投資には次のようなメリットがあります。

銀行預金金利よりも魅力的な水準の配当収入が期待できる

高配当株投資は、定期的に配当収入を得やすいのがメリットです。日本株の場合、配当金の支払いは年2回(半年ごと)の銘柄が多くなっています。

日本は低金利が続いており、2024年6月現在、一般的な銀行の普通預金金利は0.02%です。*4
高配当株投資であれば、銘柄によっては配当利回りが年4%以上となる銘柄もあるため、資金の投資先としては魅力的な水準といえます。

さらにNISA口座を利用すれば配当金に課税されないため、より有効に運用できるでしょう。

時間や手間がかからない

高配当株投資は、減配や無配にさえならなければ株式を保有している間は定期的に配当金を得られます。配当金を目的に長期保有する投資スタイルであれば、毎日株価の値動きを気にする必要もなく、時間や手間がかかりません。忙しくてなかなか時間のとれない人でも取り組みやすいでしょう。

速やかに現金化できる

高配当株は、急に資金が必要になった場合にも速やかに現金化できます。売却注文を出すと3営業日または4営業日後に現金化され、証券口座から資金を引き出すことができます。満期日まで引き出しができない定期預金などと比べると、急にお金が必要になっても、比較的短期間で資金を引き出すことが可能です。

高配当株投資のデメリット

一方で、高配当株投資には以下のようなデメリットもあります。

減配や株価下落のリスクがある

高配当株の配当利回りは、あくまでも直近の配当実績や予想値に基づくものです。将来にわたって約束されているわけではなく、配当が減少する「減配リスク」があります。

また、配当利回りの高さに注目して買われていた銘柄は、減配になると投資家が失望して売却し、株価が下落する可能性があります。投資後に予期せぬ減配が実施された結果、配当収入を上回る損失が生じる恐れもあるため注意が必要です。

たとえ長期保有が前提であっても、時間があるときには投資先企業の業績や配当方針などは確認しておく必要があるでしょう。

投資銘柄の見極めが難しい

高配当株投資では、配当利回りが高ければ高いほどよいとは限りません。

配当利回りが極端に高い銘柄は、株価が下がった影響で利回りが上がっている可能性があります。株価が下がったということは、業績悪化など何らかの課題を抱えているのかもしれません。業績の変動が大きく、たまたま配当利回りが高くなっているだけの銘柄もあるので注意が必要です。

高配当株の銘柄を探すときは、配当利回りの高さだけでなく業績や事業内容、将来性、過去の配当実績なども確認して、安定した配当が期待できる銘柄を選ぶことが大切です。

新NISAで高配当株投資をするならETFや投資信託も選択肢

高配当株に興味はあっても、「投資銘柄を選ぶのが難しい」と感じる人もいるでしょう。その場合は、高配当株に着目したETFや投資信託を活用するのも選択肢の一つです。

ETFや投資信託は1本で複数の銘柄に分散投資ができるため、リスク軽減が期待できます。また、比較的少額から投資できるのもメリットです。*5,6

投資信託は積立投資に対応しており、一度設定すれば毎月一定額を自動的に購入してくれるため、初心者の方でも続けやすいでしょう。*6

投資信託ならつみたて投資枠を使える可能性も

NISAで高配当株(個別株)に投資する際は、成長投資枠を活用することになります。しかし、高配当株が投資対象の投資信託を活用すれば、つみたて投資枠を使えるものもあります。つみたて投資枠を活用することで、NISAの非課税保有限度額1,800万円の枠を使い切ることが可能になります。

つみたて投資枠の対象商品は金融庁のホームページに掲載されているため、確認してみるといいでしょう。*7

まとめ

高配当株投資は、定期的に配当収入を得やすいのがメリットです。NISA口座を利用すれば配当金に課税されないため、課税口座で投資するよりも収益性を高められます。ただし、配当利回りが高ければよいとは限らないため、投資銘柄の業績や将来性、過去の配当実績なども確認する必要があります。

高配当株投資で銘柄を選ぶのが難しいと感じる場合は、高配当株に着目したETFや投資信託の活用を検討するといいでしょう。

*1 出所)金融庁「NISAを知る

*2 出所)日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項

*3 出所)日本取引所グループ「その他統計資料 株式平均利回り(2024年5月)

*4 出所)三菱UFJ銀行「円預金金利

*5 出所)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「ETF(イー・ティー・エフ)/上場投資信託(じょうじょうとうししんたく)

*6 出所)三菱UFJ信託銀行「投資信託とは?

*7 出所)金融庁「つみたて投資枠対象商品

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