株式投資で知っておきたい経済指標とは?株価への影響やポイントを紹介

株式投資で知っておきたい経済指標とは?株価への影響やポイントを紹介

株式投資を行う際には、経済指標について知っておく必要があります。経済指標の中には、国内外の景気動向を示す重要な指標も公表されているため、投資判断に役立つからです。経済指標の結果によっては、株価に影響を及ぼすことがあります。

この記事では、経済指標の概要や株価への影響、株式投資で知っておきたい重要指標について解説します。

経済指標とは

経済指標とは、内閣府や各省庁、日銀などの公的機関が公表している経済状況に関する統計データの総称です。
世の中のお金や財産の動きを表したもので、GDPや消費者物価指数などさまざまな種類があります。

経済指標は、生産量や売上などの実際の経済活動のデータを集計した「ハードデータ」と、調査機関が実施するアンケートなどの結果に基づいた「ソフトデータ」に分けられます。基本的に、ハードデータは経済活動の結果を確認するもの、ソフトデータは数値化しづらい市場心理などを反映した指標で、景気の先行きを読む材料となります。

経済指標が株価に与える影響

株価の変動要因の一つに企業の業績があげられます。
同様に、景気が良いと考えられる材料があれば一般に株価は上昇し、景気が悪いと考えられる材料があれば一般に株価は下落する傾向があります。
経済指標はこうした景気の動向を示す様々な数値が、国内外で定期的に発表されているため、株価の変動に影響を与えることがあります。

株式投資で想定外の損失を被る可能性を抑えるためにも、経済指標の結果をチェックすることが大切です。

経済指標と株価指標の違い

経済指標と似た言葉に「株価指標」があります。

株価指標とは、株式市場の動向や個々の企業の価値を数値化したものです。企業の株価が割高なのか割安なのかを判断したり、企業の配当水準や収益力を評価したりする際に活用されます。

株価指標には様々な種類があり、代表的なものには以下のようなものがあります。

  • PER(株価収益率)
  • PBR(株価純資産倍率)
  • ROE(自己資本利益率)
  • 配当利回り

株式投資で売買判断を行うときは、経済指標と株価指標の違いを理解したうえで、うまく併用する必要があるでしょう。

株式投資で知っておきたい経済指標

ここでは、株価との関係が強い経済指標を紹介していきます。

GDP*1

GDP(Gross Domestic Product)とは、国内で一定期間に新しく生産された商品・サービスの付加価値の合計です。「国内総生産」とも呼ばれており、その国の経済規模を示す指標となります。付加価値は、商品・サービスの販売価格から原材料や流通費用などを差し引いたものです。

GDPの推移を確認することで、その国の経済成長の度合い(経済成長率)を知ることができます。

一般的にはGDPが成長していれば、経済活動が活発化していると判断できるため、企業業績の向上への期待感から株価上昇につながる可能性があります。

消費者物価指数*2

消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)とは、消費者が購入するモノやサービスなどの総合的な価格の変動を示す指数です。基準年を100として指数が算出されています。すべてのモノやサービスを総合した「総合指数」、「生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)」などがあります。

消費者物価指数は、一般消費者が使えるお金の価値がどの程度変化したかを把握するための基準になります。たとえば、1年前に比べて賃金が2%上がっても、物価が3%上がると実質的には生活は苦しくなったといえます。

消費者物価指数を見る際は、後述する実質賃金指数も併せて確認すると、お金の価値の実質的な変化をより正確に把握できます。今後の景気動向を予測する際にも役立つでしょう。

実質賃金指数

実質賃金指数とは、名目賃金指数(現金給与総額)を消費者物価指数で除して100を乗じたものです。*3
厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」で確認できます。*4

たとえば、前月比または前年比で実質賃金指数が下がっている場合、モノやサービスを購入できる量や自由に使えるお金は減少していることを表します。言い換えれば、消費に回るお金が全体的に減ることで、景気後退の要因になるため、株価にはマイナス材料になると考えられます。

日銀短観*2

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは、日本銀行が年4回調査(3、6、9、12月)、発表(原則4、7、10、12月)している経済指標です。景気の現状と先行きについて約1万社の企業を調査し、その集計・分析結果をもとに日本経済を観測します。回答率が高く、速報性があるのが特徴です。

調査項目の中で、「業況判断DI」は企業の景況感などの判断を指数化した経済指標です。景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて算出し、一般的に、DIがプラスであれば景気は良い、マイナスであれば景気は悪い、と判断されます。
3ヵ月前の調査結果と比較すれば景気動向を予測しやすくなるため、株式投資に活用できるでしょう。

鉱工業生産指数

鉱工業生産指数とは、国内の鉱業と製造業における生産に関連する活動状況を示した指数です。
基準年と比較して、どの程度の水準にあるかが指数で示されます。

景気が良いときは需要が拡大し、メーカーは生産量を増やすため、鉱工業生産指数は伸びる傾向にあります。景気動向を反映しやすい特徴があるため、株価の動きを予測する際に役立つでしょう。

米国雇用統計

米国雇用統計とは、米国の雇用情勢を調査した経済指標です。原則、毎月第1金曜日に発表されており、項目の中でも「非農業部門就業者数」と「失業率」は特に注目されています。

FRB(米国連邦準備制度理事会)の金融政策では、一般的に雇用統計の改善は政策金利を引き上げる材料となります。その一方で、雇用統計が悪化すれば景気が悪化したと判断し、政策金利を引き下げる材料となるため、雇用統計を重要視しています。

米国雇用統計で景気の底堅さを確認できれば、株価は上昇する傾向にあります。一方で、雇用統計の結果が市場予想を下回ると、株価下落につながる可能性があるでしょう。

株式投資で経済指標を活用する際の注意点

株価が変動する要因は経済指標だけではありません。株価を決める要因は、その会社の売上や利益などの業績や金利、為替や景気などが株価に影響を与えることがあります。*5

株式投資で経済指標に注目することは大切ですが、その他の要因にも目を向けて投資判断を行う必要があるでしょう。ただし、市場動向を正確に予測することは非常に難しいため、慎重な投資を心がけることが重要です。

まとめ

GDPや消費者物価指数、日銀短観などの経済指標は景気動向を判断する材料になるため、株式投資における投資判断にも役立ちます。外国株への投資にあたっては米国雇用統計など、海外の経済指標に目を向けることも大切です。

株式投資を行う際には、株価との関係が強い経済指標の種類と内容を押さえておきましょう。

*1 出所)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「用語解説(GDP(国内総生産)とは?)

*2 出所)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「解説!知っておきたい経済指標

*3 出所)東京都の統計「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)

*4 出所)厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要

*5 出所)日本証券業協会「株価を動かす要因ってなに?

関連記事

人気ランキング