インフラ投資とは? メリットや将来性を含めて簡単に解説

インフラ投資とは? メリットや将来性を含めて簡単に解説

インフラストラクチャー投資(以下、「インフラ投資」)とは、インフラ施設やその運営会社などに投資することです。なお、インフラとは市民生活の向上のための「社会インフラ(学校 病院 通信ネットワークなど)」や産業活動を営む上で基盤となる設備「産業インフラ(交通・発送電施設、道路など)があります。
ここでは世界的なインフラ投資についてみていきます。

投資家のニーズの高まりとともに市場が拡大し、投資対象のインフラ資産にも変化が生じています。

インフラ投資の特徴とメリットとはどのようなものでしょうか。

インフラ投資の種類と市場

インフラ投資とはインフラ施設やその運営会社への出資や融資を行うことによってリターンを獲得する運用手法で、非上場インフラや不動産への投資が典型的な例です。
他資産クラスとの値動きの相関性の低さ、インフレヘッジ効果を期待できるなどの特徴があります。*1

インフラ投資の種類

インフラ投資は、以下の3つに分類されます。

(1)直接投資
インフラ運営企業に直接、投資するもの。
業績次第で、リターンが得られます。

(2)インフラ・エクイティ投資
非上場インフラファンドなどを通じて、間接出資する投資。*2
次のインフラ・デッド投資と比べると大きなリターンが期待できます。しかし、相対的にリスクも大きく、新型コロナ禍のように世界的に不況となる場合などにはマイナスのリターンとなることもあります。
インフラファンドとは、投資家から集めた資金で再生可能エネルギー発電設備や公共施設の運用権あるいはインフラ資産を取得し、そのインフラ資産から生じる利益を投資家に分配するものを指します。*3

(3)インフラ・デット投資
インフラ運営企業向けの融資や債券などを投資対象とするもの。*2
インフラ運営企業の業績にかかわらず、当初決められた条件でのリターンが約束されているため、インフラ・エクイティ投資と比べるとリターンは大きくないものの、相対的にリスクが低いという特徴があります。

また、あらかじめ期限が定められているため、為替変動リスクヘッジつきのデット投資は、日本の年金基金などにも人気があります。*2

投資件数と投資額

インフラ投資は投資家のニーズが高まっており、そこに商機を見出した資産運用会社が毎年、市場に新規参入しています。*2

従来インフラ投資の中核を担ってきた政府や地方自治体などの公的セクターは、財政面での制約から莫大なインフラ資産への投資のすべてを担うことが困難になってきており、民間資金導入の必要性が高まっています。*4

インフラ投資の特徴

インフラ投資の特徴は、投資対象であるインフラ資産の特徴が反映しています。
それはどのようなものでしょうか。

インフラ資産とは

公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構は、インフラ投資について「社会にとって必要不可欠なサービスを提供する施設、設備、ネットワークなどの総称」と定義しています。*4

その特徴には以下のようなものがあります。

  • 人々が生活し、社会的もしくは経済的活動を行ううえで欠かせない存在である
  • 規制や制度、あるいは多額な初期投資の必要性から独占的性格を持つ
  • 長期的な利用を目的とした実物資産である

インフラ資産には「公共財」という側面があるため、すべてを民間に委ねることにそぐわない業務もあり、投資においては「官」と「民」との役割分担、リスク負担の切り分けはていねいに検討されるべき事項だとされています。

投資の対象となるインフラ資産の広がり

インフラ投資の対象となるインフラ資産は広がりをみせています(表1)。

表1【インフラ投資の対象となるインフラ資産】
出所)公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構「インフラ投資に関する調査研究(2020 年版)」p.3

伝統的なインフラ資産は、空港や道路、トンネルなどの輸送セクター、送配電や上下水道などの公益セクター、火力発電やガスパイプラインなどのエネルギーセクター、学校や病院、刑務所などの社会インフラセクターなどでした。*2

しかし、最近では、地球温暖化対策への注目もあり、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーセクターが人気を集め、投資額が拡大しています。

また、スマートフォンや通信技術の普及にともない、データセンターや通信タワー(基地局)、光ファイバー網などの通信セクターへの投資も拡大しています。

非上場インフラファンドなどの資産運用会社は、投資家の期待リターンを確保するため、新たな投資対象の発掘に注力し、これまでインフラ資産の定義を満たす新たな事業やセクターを模索してきました。

その結果、新しい時代のインフラ資産は、学生寮やヘルスケア施設、データセンターや通信タワーなどのデジタルインフラなどにまで広がっています。

インフラ投資のリスク・リターン

インフラ投資は、中リスク/中リターンの投資と捉えられることが多いのですが、個々の投資対象やインフラファンドのリスク/リターンにはさまざまな特性があります。 *4

その特性は、インフラ資産のセクターや事業、開発ステージ、所在国などの違いによって異なります。*2

以下の図1は、インフラ資産のタイプ別にリスク・リターンを表したものです。

図1【インフラ資産の主なタイプ別リスク・リターン】
出所)三菱UFJ信託銀行「拡大するインフラ投資」p.5

「社会インフラ」や「規制型インフラ」は公的機関が民間と連携して事業を推進します。そのため、契約体系は保守的な傾向が強く、収益構造も主に需要や価格変動リスクが限定的であることが多いことから、リスク・リターンは比較的低いのが特徴です。

一方、「需要変動型インフラ」や「需要・価格変動型インフラ」は需要や価格変動リスクを伴う収益構造になっているため、リスク・リターンは比較的高いという特徴があります。

ただし、「需要変動型インフラ」は新たな投資対象資産の広がりにもつながりやすいことから、上述のように、データセンターや学生寮、ヘルスケア施設といった新たな「需要変動型インフラ」が登場してきました。

同じセクターで同じ事業のインフラ資産であっても、スキームや契約内容などが異なればリスク・リターンも異なる可能性が高くなります。
なお、図1はあくまでも一般的な例であり、実際にはさまざまな要素でリスク・リターンが変動するため、必ずしもこの図の通りにはなりません。

おわりに

「公共財」として社会を支えるインフラ資産への投資にはESGが要求され、社会的意義があります。

投資家はインフラ投資にあたって、その目的、リスク許容度や要求リターンの水準などを考慮し、何を重視し何をリスクとして許容することができるのかなどを慎重に検討することが必要です。

*1 出所)MUFG 三菱UFJ信託銀行「用語解説 インフラ投資

*2 出所)三菱UFJ信託銀行「拡大するインフラ投資

*3 出所)日本証券業協会「インフラファンド

*4 出所)公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構「インフラ投資に関する調査研究(2020 年版)

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