「インド株投資への魅力を当社エコノミストが解説」インドセミナー採録記事

「インド株投資への魅力を当社エコノミストが解説」インドセミナー採録記事

6月7日に「インド株投資への魅力を当社エコノミストが解説」と題したセミナーが開催され、当社の入村エコノミストがインドに出張した体験もふまえてインド事情について解説いたしました。当日は多くの方にご視聴いただき大変好評でしたので、セミナーにて入村エコノミストが解説したインドの現状について、こちらの記事でもお届けいたします。インドに興味のある方、インドに投資してみようと考えているけど良く分からないという方などは、ぜひご参考にしていただければ幸いです。

※セミナー内容を抜粋しております

①堅調に拡大するインドの景気について

固定資産投資にけん引され拡大する景気

インドの今年の1月から3月の実質GDP成長率は+7.8%で、去年の10月から12月の+8.6%からは減速はしているものの高い成長率となっています。
成長の要因は政府によるインフラ投資や民間による住宅投資が好調で固定資本投資が押し上げられたためです。
一方、民間消費の伸び率は+4%で前期と変わらずでした。天候不順に起因する物価上昇が低所得者層の消費の低迷につながっていることが要因と考えられます。(図1)

(図1)実質GDPの推移(前年同期比増減率/支出項目別)

次に、生産側からみてみると、製造業の伸び率が+8.9%と高くなっています。次いで建設が+8.7%、サービス業が+6.7%と高い成長となっています。サービス業は金融、不動産、流通などが牽引しています。唯一農林漁業が低調ですが、天候不順の影響が大きいと考えられます。インドの人口の三分の二が農村部に居住しているので、農業が低迷すると消費停滞を招いてしまいます。(図2)
天候不順の問題が解決し、大多数を占める低所得者層の消費が活性化するかどうかが景気の行方に影響することとなりそうです。

(図2)部門別実質生産の推移(前年同期比増減率)

②改善する経常収支 競争力の高いサービス部門

経常赤字は足元で縮小

昨年の経常収支は-0.9%と赤字ではあるものの、インドルピーが急落した2013年半ばには経常収支が-5.0%であったことを思えば、かなり安定的な水準にあると言えると思います。経常収支が改善した要因としては、サービス収支の黒字が増えていることと貿易収支の赤字が少しずつ減ってきていることが挙げられます。サービス収支は2023年には対GDP比で+4.6%の黒字であり、2019年のコロナ前の+3.0%と比べると順調に改善されてきています。(図3)

(図3)経常収支の推移(対GDP比)

サービス輸出のすそ野が拡大

インドはITが進んでおり、IT分野が強いイメージがあります。背景には、毎年IT人材が50万人生まれるためと言われています。
インド国内の発展を受けて、最近ではインド国内で開発した技術や人材などが国外に流出することが少なくなり、リモートワークが発展したことによって先進国企業を相手とする専門・経営コンサルティングの分野が伸びてきています。(図4)

(図4)サービス収支の推移(対GDP比)

③安定的なルピー相場、利下げ時期を探る当局

近年、安定的に推移するルピー相場

2023年からルピー相場は、対米ドルでほぼ横ばいで推移しており、高金利通貨のなかでは比較的安定した推移となっています。(図5)
前項で述べたように経常収支が安定したことと、当局による為替介入が奏功し、為替の安定を実現しています。外貨準備の増減が為替介入の有無を物語っています。

(図5)為替相場と外貨準備

鈍化するコア消費者物価

インドはインフレのイメージがありますが、少しずつ落ち着いてきています。
4月の総合消費者物価指数が+4.8%と未だに高めではありますが、去年の7月の7.4%、12月の5.7%に比べるとインフレ率は低下してきています。(図6)
コア物価の水準も商品の物価を政府がコントロールすることによって安定してきました。
しかしながら、まだ食品物価は高い水準であり、天候不順の悪影響解消にはもうしばらく時間を要す見込みです。(図7)

(図6)消費者物価の推移(前年同月比増減率)

(図7)食品物価の推移(前年同月比増減率)

利下げ開始の時期を慎重に探る当局

2022年5月から2023年2月にかけて+4%であった政策金利を、現状では+6.5%まで引き上げています。コロナを経てインフレが加速したのでインフレを抑えるために急ピッチでの利上げに踏み切りました。(図8)現状では物価は安定してきているので来年の半ばにかけて4回くらいの利下げを予想しています。
今後の利下げについては、景気が悪くなって行う利下げではなく、インフレが落ち着いてきたことによる利下げなので株式市場には好感される方向であると考えています。

(図8)政策金利と銀行間金利(日次)

堅調な上昇を続けるインドの株価

新興国株式全体の株価推移に比べて、インド株式は恵まれた経済環境を背景に企業収益が好調なため上昇してきています。(図9)
また、先進国企業はいままで中国投資が多かったものの、中国景気の減速や政治リスクなどにより生産設備を他国に移す動きがでてきています。その中でインドも注目されており、生産拠点をインドに移す動きが活発になってきています。
アップルのiphone生産拠点がインドに誕生しており、現在iphoneの輸出国では、中国の輸出比率67%に次いで第2位の輸出国となっています。

(図9)インドと新興国の株価指数

総選挙を経て第3次モディ政権が発足

ここまでみてきたように、インドは高い経済成長率を維持し、株価も堅調に推移してきていましたが、6月4日にインドの総選挙が行われ、総選挙の結果をうけてNifty50指数は選挙翌日にマイナス8.5%と急落しました。これは、モディ政権率いるBJP(インド人民党)が過半数割れになったことによる影響と考えられます。ただ、政権交代には至らず、NDA(国民民主同盟)と合わせると与党が過半数の議席を維持できています。(図10)
BJPの単独過半数でなくなったのは、農村部の貧しい人たちが投票に行かなかったり別の党に投票したりしたことによるのではないか考えられています。
第3期モディ政権では、今後の連立政権とうまくかじ取りをしながら予算成立をすみやかに行うことが重要で、特段波乱がなければ堅調な経済環境に目が向き株式、債券、為替についても底堅く推移すると考えています。

(図10)下院総選挙結果:議席数

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本記事は注目されているインドについて現地取材をした入村エコノミストの解説をまとめたものです。mattocoセミナーでは、インドのほか米国市場の見通しや、世界経済についての解説、ファンドマネージャーが登壇するセミナーなども開催しております。
今後も皆様のお役にたてるようなセミナーを開催していきたいと思いますので、ぜひmattocoセミナーにご期待ください。

【本資料で使用している指数について】
■新興国:MSCI エマージング・マーケット インデックス
MSCI エマージング・マーケット インデックスとは、MSCI Inc.が開発した株価指数で、世界の新興国で構成されています。 MSCI エマージング・マーケット インデックスに対する著作権およびその他知的財産権はすべてMSCI Inc.に帰属します。
■インド:MSCI インド インデックス
MSCI インド インデックスとは、MSCI Inc.が開発したインドの株価指数です。 MSCI インド インデックスに対する著作権およびその他知的財産権はすべてMSCI Inc.に帰属します。

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