- 2024.05.27
- mattoco Life編集部
コア・サテライト戦略とは?特徴や新NISAにおける投資イメージを紹介
コア・サテライト戦略は、攻めと守りを組み合わせた資産運用方法です。2024年以降の新しいNISA制度(以下新NISA)では、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になったことから、コア・サテライト戦略への注目度が高まっています。
今回は、コア・サテライト戦略の特徴と、新NISAにおける投資イメージを紹介します。
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コア・サテライト戦略とは
コア・サテライト戦略は、一般的に、資産をコア資産(守りの資産)とサテライト資産(攻めの資産)に分け、それぞれの目的に沿った運用商品を選択して運用する戦略として認識されています。
コア資産では相対的に中長期で安定的な運用成果を目指し、サテライト資産ではコア資産と比べリスクの高い商品で運用して積極的にリターンを狙うのが特徴です。
投資資金の7~9割をコア部分、残りの1~3割をサテライト部分で運用することが一般的なコア・サテライト運用と言われています。
コア資産
コア資産には、サテライト資産と比べ、相対的に価格変動の少ない資産を用います。具体的には、次のような運用商品が一例としてあげられます。
- 預貯金、定期預金、金銭信託
- 個人向け国債・米国債
- 投資信託(インデックス型、バランス型、債券型など)
預貯金のようなローリスクの商品のほか、世界中に幅広く投資を行うインデックスファンドなどもコア資産として活用するケースがあります。
なお、金銭信託とは、信託銀行などが利用者にかわってお金を管理・運用する金融商品です。資金を信託財産として預け、信託銀行などがあらかじめ決められた方針に沿って運用します。利用者は、その収益(利息、配当金)を受け取る仕組みになっています。*1
サテライト資産
サテライト資産は、コア資産に比べ価格変動の大きい資産を用いてより積極的な運用を行い、高いリターンを目指します。具体的には、次のような運用商品が一例としてあげられます。
- 国内外の個別株式
- 投資信託(アクティブ型、テーマ型、新興国など)
コア部分に比べると、ハイリスク・ハイリターンな攻めの運用を行うのが特徴といえるでしょう。
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コア・サテライト戦略のために知っておきたい投資の基礎知識
個人の資産形成でコア・サテライト戦略をうまく取り入れるには、いくつか理解しておくべきことがあります。ここでは、知っておきたい投資の基礎知識を紹介します。
投資に回すお金の割合の考え方
保有資産のうち、いくら投資に回せるかを把握する必要があります。まずは、自分のお金を次の3つに整理してみましょう。
- 日々の生活に必要なお金(医療費など急な出費のための予備費も含む)
- 数年以内に使い道が決まっているお金(車の購入、教育費、旅行費用など)
- 当面使う予定がないお金
投資は元本保証ではないため、1と2のお金で投資をすると、日々の生活や将来の予定に影響が出てしまう可能性があります。投資は、3の当面使う予定がないお金で行うことが大切です。*2
金融商品ごとのリスクとリターン
金融商品のリターンとは、運用によって得られる収益のことです。リスクとは、「危険」という意味ではなく、「リターンが不確実である(予測できない)」ことを表します。
一般的に、リスクとリターンの関係は以下のとおりです。
引用)日本証券業協会「リスクとリターン」
リスクを低く抑えようとするとリターンは低下し、高いリターンを得ようとするとリスクも高まります。
したがって、「リスクがなく(低く)、リターンが高い=ローリスク・ハイリターン」の金融商品は存在しません。*3
リスクの大きい商品と小さい商品を組み合わせ、自身のリスク許容度(詳細は後述)に合わせた運用を行うことが大切です。
リスク許容度*4
リスク許容度とは、保有資産額や属性、投資に対する考え方などに応じて、どの程度リスクを受け入れられるかの度合いです。
リスク許容度は人によって異なり、一般的には次のような項目に左右されます。
- 年齢
- 保有資産(余裕資金)
- 年収
- 投資経験・知識
- 性格
たとえば、保有資産や年収が多い人ほど、リスク許容度は高い傾向にあります。
ただし、リスクに対する感じ方・状況は人それぞれ異なるので、当然リスク許容度は人によって異なります。年齢、収入、運用資産といった定量的なものや投資知識/経験で目安を測れますが、性格・気持ちによっても左右されます。
新NISAにおけるコア・サテライト戦略の投資イメージ
2024年1月からスタートした新NISAでは、年間投資枠や非課税保有限度額の拡大、非課税保有期間の無期限化など、旧NISA制度に比べて利便性が大きく向上しています。
引用)金融庁「新しいNISA」
ここでは、新NISAを活用したコア・サテライト戦略の投資イメージを紹介します。
コア部分は「つみたて投資枠」で運用する
コア部分は、新NISAのつみたて投資枠で運用することが考えられます。
つみたて投資枠の対象商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されており、たとえばコア資産として、世界各国の株式市場に幅広く分散投資ができる投資信託などが選択肢となります。*5
サテライト部分は「成長投資枠」を活用する
一方、サテライト部分は、新NISAの成長投資枠を活用する方法が考えられます。成長投資枠では、つみたて投資枠では売買できない個別株式など、リスクは大きいものの大きなリターンが期待できる商品に投資することができます。
たとえば、配当利回りの高さに注目して投資銘柄を選ぶことも選択肢の一つです。ただし、業績悪化などにより、一時的に配当利回りが高くなっている可能性もあります。コア部分よりもリスクは高まるため、業績などを十分に確認したうえで投資判断を行う必要があるでしょう。
まとめ
リスクをコントロールしながら一定の収益を目指して運用したい場合は、攻めと守りを組み合わせた「コア・サテライト戦略」が選択肢となります。自身のリスク許容度に応じて、コア部分とサテライト部分の割合や運用商品を十分に検討することが大切です。
新NISAを利用する場合は、コア部分を「つみたて投資枠」、サテライト部分を「成長投資枠」で運用することを検討してみてはいかがでしょうか。
*1 出所)全国銀行協会「金銭信託」
*2 出所)日本証券業協会「資産運用とは?」
*3 出所)日本証券業協会「リスクとリターン」
*4 出所)三菱UFJ信託銀行「リスク許容度とは?~自分に合う投資対象・投資金額を考えよう~」
*5 出所)金融庁「新しいNISA」