- 2024.05.24
- mattoco Life編集部
「エシカル消費」とは 買い物や商品の選び方、マークの種類を含めて簡単に解説
エシカル消費とは、より良い社会に向けた消費行動のことです。
社会の持続可能性を高め、より良い社会を構築するためには、企業が環境や社会に対して配慮することが不可欠です。
そして、そのためには、消費者と投資家からの働きかけが重要な意味をもちます。
エシカル消費が拡大すれば企業はエシカル商品開発に努力するようになるでしょう。
また、投資家がエシカル消費を意識した投資をすれば、企業もそれに沿った取り組みを重視するようになります。
エシカル消費のコンセプトと意義、国際認証ラベル、エシカル消費に関する消費者と投資家の役割について解説します。
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「エシカル消費」のコンセプトと意義
エシカル消費とはどのようなものでしょうか。
「エシカル消費」とは
エシカル消費とは、直訳すると「倫理的消費」です。*1
では、「倫理的」とは何を指すのでしょうか。
それは、より良い社会を実現するために、人や社会、環境に配慮すること。エシカル消費とは、そうした配慮に基づく消費行動のことを指します。
何を買うかの尺度
次に、エシカル消費の具体例をみていきましょう。
エシカル消費に配慮する分野は、環境、社会、人、地域、生物多様性と多岐にわたります。
エコ商品を選んだり、被災地の商品を買うなど、何を買うかを考えるときの尺度の1つです。(図1)
図1【エシカル消費の具体例】
出所)消費者庁「エシカル消費ってなぁに?」p.2
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どんな商品を選べばいいのか
選ぶ商品の例や消費行動を、分野ごとにみていきましょう。
商品選択のポイント
認証ラベル
社会の持続可能性の実現につながるサステナブル製品やサービスを認証する「認証ラベル」は、さまざまな商品に付けられています。
図2【認証ラベルを探してみよう!】
出所)消費者庁「みんなの未来にエシカル消費」p.9
日本では生産から廃棄にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる「エコマーク」などもあります。
エコマークは、様々な商品(製品およびサービス)の中で、「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。
エコマークは日本で唯一のタイプⅠ環境ラベルです。*3
タイプⅠ環境ラベルとは、ISO14024 Environmental labels and declarations-Type Ⅰ environmental labeling-Principles and procedures(JIS Q 14024 環境ラベルおよび宣言-タイプⅠ環境ラベル表示-原則および手続)に準拠し、①第三者機関が、②『資源の採取から廃棄まで』の全ライフサイクルにおける環境影響を考慮して、③複数の基準に基づいて商品・サービスを認定する制度です。
タイプⅠ環境ラベル制度は、世界の50以上の国や地域で実施されています。*4
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エシカル消費を促進するESG投資
これまでエシカル消費に関わる消費行動についてみてきましたが、ここではエシカル消費を促す投資について考えていきましょう。
「ESG投資」拡大に至る流れ
エシカル消費とESG投資の関係について。
ESGのEは環境(Environment)、Sは社会(Social)、Gはガバナンス(Governance)を指し、環境保全や女性活躍、人権配慮など企業のCSR(社会的責任)活動を示す言葉としても使われています。
ESG投資の拡大を決定づけたのは、国連が2006年に「責任投資原則(PRI)」を提唱したことが始まりです。*5
PRIは投資家に対して、企業分析・評価を行う際に、ESG情報の視点を組み入れる。投資対象に対し、ESGに関する情報開示を求めることなどを原則としています。*5
投資家は従来、財務情報や企業業績などを基にして投資判断をしてきましたが、「ESG 投資」は財務情報などだけではなく、企業の環境・社会・ガバナンスの側面も考慮する投資です。
一般的にESG評価の高い企業は、事業の社会的意義や持続可能性が高いと評価されます。日頃からESG課題に取り組む経営をしていれば、脱炭素社会へ向けての法改正や規制による事業環境悪化リスク、その他倫理的問題等のビジネスリスクが少なく、長期にわたって事業を継続しやすい企業であると考えられるからです。この「長期的に安定したリターンの獲得が期待できる」という点がESG投資の最大の魅力です。また、投資を通じて社会貢献に寄与できる点も、個人投資家にとっては大きなポイントといえるでしょう。
また、持続可能な開発目標(SDGs)の推進「エシカル消費」は、2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)のゴール12「つくる責任 つかう責任」などに関連する取組として推進されています。*6
ESG投資の世界市場規模は、2016年時点で22.9兆米ドルだったものが、2020年には35.3兆米ドルにまで拡大しています。*7
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おわりに
消費者が消費市場でエシカル消費を意識した消費行動をとれば、エシカル商品の需要が増します。
また、投資家が金融市場において、企業のエシカル化の評価をしたり、エシカル市場への資金供給を行えば、企業行動のエシカル化を加速させることができます。
エシカル製品の供給を推進するのは、消費者の消費行動と金融による働きかけが重要です。
消費者は日々の買い物を通じ、世界に影響を与えることができます。世界で今起きているさまざまな深刻な問題を「消費者として解決する」うえで、自分が与え得る影響について、しっかり考える必要があります。
*1 出所)消費者庁「エシカル消費ってなぁに?」p.1, p.2
*2 出所)消費者庁「エシカル消費とは?」p.2, p.3, p.4, p.5
*3 出所)公益財団法人 日本環境協会エコマーク事務局「エコマークとは? 」
*4 出所)公益財団法人 日本環境協会エコマーク事務局「世界エコラベリング・ネットワーク(GEN) 」
*5 出所)三菱UFJ銀行「今、注目のESG投資とは?」
*6 出所)消費者庁「エシカル消費の普及・啓発に関する取組み」
*7 出所)財務省「ESG投資について」