5Gとは簡単に言うとどんな技術?経済効果やポスト5G・Beyond5Gの動向を解説

5Gとは簡単に言うとどんな技術?経済効果やポスト5G・Beyond5Gの動向を解説

日本は現在、世界最高水準の5G(第5世代移動通信システム)の通信環境を実現させつつあり、5Gは日本の競争力の核となる可能性の高い技術として期待されています。
4Gに⽐べてより⾼度な5Gは、各国での商⽤サービスが普及しつつありますが、さらに機能が強化された「ポスト5G」は、⼯場や⾃動運転など多様な産業⽤途への活⽤が見込まれています。
また、Beyond5G(6G)の導入も視野に入ってきました。
5G技術にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
企業活動への影響や経済への貢献などについて解説します。

目次へ戻る

5Gとは

5Gとは、第5世代移動通信システムのことを言います。5Gの特徴は「高速・大容量(超高速)」「低遅延(超低遅延)」「多数接続(多数同時接続)」の3つです。この新しい通信技術により、リアルタイムなコミュニケーションや、マルチアングル映像など、私たちのくらしがより便利になっていきます。
まず、5G登場の背景と5Gの普及、5G技術の概要をみていきます。

電波利用のこれまでと5Gの普及状況

1950年代の電波利用は、公共分野におけるVHF帯等の低い周波数帯の利⽤が中⼼でした。*1
その後、1985年の電気通信業務が⺠間に開放されたのをきっかけとして、移動通信分野を中⼼に電波利⽤ニーズが急速に拡⼤し、現在に至ります。

2023年3月時点の携帯電話・PHS・BWAの契約数は、2億1,084万に上ります。
このうち5Gの契約数は、前期比+10.5%の6,981万です。*2

図1【移動系通信の契約数推移】
出所)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和4年度第4四半期(3月末))別紙

図2【3G・LTE・5G・PHS・BWAの各契約数の推移(単純合算)】
出所)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和4年度第4四半期(3月末))別紙

多様な電波利用

移動通信分野の進展に伴い、多くの免許不要局(無線LAN、特定⼩電⼒無線局、発射する電波が著しく微弱な無線局等)が開設され、無線局が爆発的に増加したため、多様な電波利用が進みました。*1

世界のIoTデバイス数やAI市場規模は今後も拡大し、インターネットトラヒック(通信量)や5G普及によるデータ流通量も増加する見込みです(図3)。

図3【社会のデジタル化】
出所)総務省「デジタル変革時代の電波政策について」p.4

5Gの性能

では、5Gの性能はどのようなものでしょうか。

5Gの主要性能は、超高速、超低遅延、多数同時接続です(図4)。

図4【5Gの特徴】
出所)総務省「デジタル変革時代の電波政策について」p.14

5Gは、現在の移動通信システムの100倍速い超高速のブロードバンドサービスを提供します。2時間の映画をダウンロードするのに必要な時間は、LTEが5分なのに対して、5Gはわずか3秒です。
遅延(タイムラグ)を意識することなく、リアルタイムで遠隔地のロボットを操作・制御することも可能で、ロボットなどの精緻な操作はLTEの10倍の精度です。
そして、LTEがスマホやPCなど数個の端末にしか接続しないのに対して、5Gは自宅部屋内の約100個の端末・センサーをネットに接続することが可能です。

目次へ戻る

5Gと経済活動

次に、5Gは経済活動にどのように寄与するのかみていきましょう。

産業構造の変化

4Gの対象領域は移動通信携帯電話サービスに限られていました。*3
一方、IoT時代には、5Gによって、自動車分野、産業機器分野、ホーム・セキュリティ分野、スマートメータ分野、その他のIoT分野と、その対象は驚異的な広がりをみせています。

図5【IoT時代の産業構造の変化】
出所)総務省「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」p.6

5Gによる通信環境整備

基盤も着々と整っています。
携帯電話事業者4社の計画を合わせると、2024年4月時点の5G基盤展開率は98%で、日本全国の事業可能性のあるエリアほぼ全てに5G基盤が展開されます 。*1
政府は充実した5Gサービスが全国で提供される環境を速やかに整備するため、各種施策を積極的に展開しています。2024年4月時点で、当初計画の4倍となる約28万局の基地局整備を図り、世界最高水準の5Gの通信環境を実現させる予定です。*1

ローカル5Gの整備

ローカル5Gの重要性も増しています。
ローカル5Gとは、以下のようなものを指します。*1

地域や産業の個別のニーズに応じて地域の企業や自治体等の様々な主体が、自らの建物内や敷地内でスポット的に柔軟に構築できる5Gシステム。

携帯事業者の5Gサービスと比較して、ローカル5Gには、次のような特徴があります。

  • 携帯事業者によるエリア展開が遅れる地域でも、先行してシステムを構築することが可能
  • 使用用途に応じて、必要な性能を柔軟に設定することが可能
  • 他の場所の通信障害や災害などの影響を受けにくい

また、Wi-Fiと比較して、無線局免許に基づく安定的な利用が可能です。
このように優れた特徴をもつローカル5Gは、地域や産業に多くのメリットをもたらします(図6)。

図6【ローカル5Gの活用】
出所)総務省「デジタル変革時代の電波政策について」p.18

目次へ戻る

ポスト5GとBeyond5G

現在は、ポスト5G、Beyond5G(6G)の技術開発や製造基盤強化も視野に入ってきました。

ポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化

5Gよりさらに機能が強化された5Gを「ポスト5G」と呼びます。

ポスト5Gは、今後、スマート工場や自動運転など多様な産業用途への活用が見込まれており、日本の競争力の核となり得る技術だと期待されています。
ポスト5Gに対応した情報通信システム(以下、「ポスト5G情報通信システム」)の中核となる技術を開発することで、我が国のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化を目指しています。
 具体的には、ポスト5G情報通信システムや当該システムで用いられる半導体を開発するとともに、ポスト5Gで必要となる先端的な半導体を将来的に国内で製造できる技術を確保するため、先端半導体の製造技術の開発にも取り組んでいます。*4

Beyond5G(6G)の技術開発

2030年代には、誰もが活躍でき、持続的に成長し、安心して活動できる社会の実現が期待されています。*5

このような社会を実現するために目指すべきBeyond5Gには、以下のような機能が必要となります。

図7【Beyond5Gに求められる機能】
出所)総務省「Beyond 5G推進戦略 ー6Gへのロードマップー」 p.7

まず、5Gの特徴的機能を更に高度化させ、あらゆる場所からの膨大なデータを瞬時に正確に処理できるようにする必要があります。

また、それに加え、「自立性」「拡張性」「超安全性・信頼性」「超低消費電力」という、新たな機能が必要になります。

このようなBeyond5Gを実現するためには、政府と民間とが協働し、国際的な連携の下、戦略的に取り組むことが重要であると指摘されています。*5

目次へ戻る

おわりに

高機能の5Gは、AI・IoT時代のICT基盤として重要な役割を担いつつあり、経済貢献も期待されています。今後さらに進化した、ポスト5G、Beyond5Gの登場も視野に入ってきました。
5G市場は将来的に驚異的な規模拡大が見込まれています。
今後も5G市場の動向が注目されています。

関連記事

人気ランキング