デジタル証券とは?メリットやデメリットを不動産投資を例にわかりやすく解説

デジタル証券とは?メリットやデメリットを不動産投資を例にわかりやすく解説

近年、「デジタル証券」という言葉を目にする、耳にする機会が増えてきた方も多いのではないでしょうか。

本記事では、デジタル証券とはそもそもどのようなものであるか、仕組みを含めて解説します。さらに、デジタル証券が注目されている理由や、個人投資家から見たメリット・デメリットについても紹介します。
基本的な情報を押さえ、投資を検討する際の参考にしてください。

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デジタル証券とは

デジタル証券は、ブロックチェーン(分散型台帳)の技術を使って、デジタル化され電子的に発行された有価証券を指します。広くは、セキュリティ・トークン(ST)とも呼ばれています。
2019年5月31日に成立した「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」に基づく金商法に係る改正法(2020年5月1日施行)において、「電子記録移転有価証券表示権利等」および「電子記録移転権利」という概念が導入され、デジタル証券の金商法上の取扱いが明確化されました。
これによりデジタル証券の発行や取り扱いが明確化されたため、金融機関で取り扱われるようになりました。ここ数年でデジタル証券を耳にする機会が増えたのはこの法改正のためです。*1

従来の電子化された有価証券との違いは?

では、デジタル証券と「従来の株式・投資信託等のオンライン上の取引」とは何が違うのでしょうか。一般的な株式や投資信託等への投資においても、紙の証券を扱う機会は少なく、電子化された証券をオンライン上で取引しています。

従来の電子化された証券は、紙で発行された証券をそのままデジタルデータにしたものです。一方、デジタル証券はブロックチェーン技術により有価証券の権利を証票(トークン)に表示しています。生成される方法が根本的に異なると捉えればわかりやすいのではないでしょうか。*2

デジタル証券を支える技術「ブロックチェーン」とは?

デジタル証券に使用されるブロックチェーンとはどのようなものなのでしょうか。ブロックチェーンとは、取引記録を暗号技術によって残す分散型の台帳です。各取引の情報をブロック、そのブロックが連結され、鎖(チェーン)のように繋がる状態をイメージしてみてください。

ブロックチェーンは分散型台帳ともいわれるように、1つの管理者が情報を管理するのではなく、連携するシステム同士がデータを共有します。万が一、一部のシステムにトラブルや改ざんがあった場合も、同じ記録を持つ他のシステムがその異常を検知・修正できるという高いセキュリティを持つ技術です。お互いにデータを照合しあって修正を行うため、過半数のシステムのブロックチェーンが正常であれば、もとの正しいデータに書き戻される仕組みになっています。*2

デジタル証券の取引実例

法改正により金融機関で取り扱いが可能になったデジタル証券ですが、具体的にどのような商品が販売されているのでしょうか。

例えば、2022年6月には丸井グループがエポスカードの会員向けにデジタル社債を販売したところ、募集額約1億円に対し20倍の申し込みがありました。当時は法改正から1~2年ですが、投資家からの関心の高さが窺える事例です。*3

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個人投資家から見たデジタル証券のメリット

注目の集まるデジタル証券ですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、個人投資家が実感しやすい主なメリットを2つご紹介します。

投資単位の小口化により少額投資ができる

デジタル証券は従来の有価証券と異なり、投資口数を増やして細かく分割したとしても発行者側のコストはほとんど変わりません。そのため、例えばこれまで1口1,000万円を対象にしていた金融商品を、1口1,000円以上で発行することも可能になります。
そうなると、個人投資家が少額から投資することも可能になります。*3*4

実際に、一般に1口100万円など大口になることが多い社債の発行について、取引実例で紹介した丸井グループのデジタル社債は1口1万円で発行されました。*3

まとまった投資資金の用意が難しい場合や、複数の商品に分散したい個人投資家にとって、小口化されたデジタル証券は投資しやすい対象となるでしょう。また、デジタル証券独自の新たな商品ではなく、従来から存在する社債を小口で購入できる点は大きなメリットといえるでしょう。
これまでは大口販売のみで、プロの投資家しか買えなかった商品が、個人投資家にとっても手に届く金額の小口販売となるのは、とても意義深いことです。

小口化と分散投資の具体的事例

デジタル証券はそのメリットを生かし、不動産投資への活用が進んでいます。特定の不動産への投資を、少額からできるようにするスキームです。*4

従来の不動産投資においては、現物不動産かREIT(不動産投資信託)への投資が一般的でした。ただ、現物不動産は特定の単一不動産に投資できるものの、まとまった資金を必要とする大口投資であるため、個人投資家にとってはハードルが高いのが現状です。REITでは小口投資ができますが、複数の不動産により構成された投資信託であるため、特定の単一不動産への投資は基本的にできません。

現物不動産投資とREITのメリットを併せ持つのが、不動産のデジタル証券です。単一もしくは少数の不動産がデジタル証券化されており、個人投資家は少額で特定の不動産に投資ができるのです。
不動産の賃料から分配金が出るため、投資の仕組みは従来の不動産投資と変わりません。これまでは1棟買いをして賃料収入を得ていたプロの不動産投資家と同様の投資を、小さい規模で行えるのが大きな魅力です。

多様な資産への投資ができる

様々な資産に投資できる点もデジタル証券のメリットの1つです。企業側が資金調達手段としてデジタル証券を活用することで、個人投資家は従来以上に多様な資産へ投資できるようになります。

デジタル証券化が活発な不動産の他にも、代替エネルギー・美術品・航空機・映画、さらには馬・ワイン・ウイスキー等あらゆるものへの投資について可能性があるでしょう。 株式投資であれば企業全体への投資ですが、デジタル証券では特定のモノに投資することが可能です。そのため、非金銭的なリターンを目的として、興味のある分野や思い入れのあるモノに投資をする、といった可能性も広がります。

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個人投資家から見たデジタル証券のデメリット

メリットの目立つデジタル証券ですが、個人投資家にとってのデジタル証券のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

1つは流動性が低い点です。日本国内において、デジタル証券の流通市場(取引所)が確立されておらず、デジタル証券を売買したい場合、証券会社との店頭取引に限定されています
また、デジタル証券取引に参入している投資家が一般的な投資商品に比べて少ない点も流動性が低い要因です。一般的な株式や投資信託に比べると、購入や現金化がしにくいことは知っておく必要があります。

2つ目は2024年から始まった新しいNISAの非課税メリットを、現時点では活用できない点です。
NISAの対象となるのは上場株式・投資信託等であり、流通市場が確立されていないデジタル証券は2024年2月現在、その対象になっていません。
デジタル証券で得た利益に対しては所定の税金がかかりますので、新しいNISAを活用して投資を検討している人にとってはデメリットになってしまうでしょう。*5 *6

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今後の成長に向け情報収集を

少額から多様な資産に投資できるデジタル証券ですが、売買流通市場が発展途上の現在は利用しにくいデメリットも存在します。しかし、三菱UFJ信託銀行から独立したProgmat.incによるデジタル証券プラットフォームの運用開始*7や、企業によるデジタル証券での社債発行等、徐々に身近なものになってきています。仕組みを理解した上で、自分にとって魅力的な投資先があるのか、今後の市場成長も見越した情報収集が大切ではないでしょうか。

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