NFTとは?注目を集めている理由やメリット、リスクについてわかりやすく解説

NFTとは?注目を集めている理由やメリット、リスクについてわかりやすく解説

NFT(Non-Fungible Token)と呼ばれるデジタルデータが、主にアートや音楽、ゲームなどのクリエイティブ分野で注目を集めています。NFTはビットコインなどの暗号資産とは異なり、唯一無二で代替不可能であるのが特徴です。今後はさまざまな分野での活用が期待される一方で、リスクや課題もあります。

今回は、NFTの仕組みや注目される理由、活用例などについてわかりやすく解説します。

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NFTとは

NFTとは、ブロックチェーン上で発行される、固有の値や属性を持たせた代替性のないデジタルトークンです。*1

ブロックチェーン上で発行されるため、ビットコインなどの暗号資産と同様に改ざんが困難で、取引履歴を追跡できる機能を有しています。また、中央管理者を必要とせずにトークン取引が処理されます。*1

通貨のように機能する暗号資産は、トークンに個性がなく代替可能です。一方、NFTは個々のトークンに固有の値や属性を持たせているため、替えが効きません*1

このような特徴を持つNFTは、デジタルデータに唯一無二性を付与できます。デジタルデータは簡単に複製できるため、希少性を持たせるのは困難とされてきました。しかし、替えが効かないNFTを紐づけることで、デジタルデータが原本か複製かを識別できるようになった結果、デジタルコンテンツに希少性を持たせることが可能になりました。*1

NFTが注目を集めている理由

NFTが活用され始めた2017年末当初はゲームでの利用が中心でしたが、2021年にオークションでNFTアートが約75億円で落札されたことが話題を呼び、NFTが注目されるようになりました。*2

その後も、デジタルアート作品や収集品が数億円・数十億円を超える高額で取引される事象が生じたことで、NFTの注目度は世界に広がっていきました。*2

NFTの市場規模

NFTの市場規模は、2019年は1億4,000万ドル程度でしたが、2020年には約3億3,800万ドルに拡大します。2021年には第2四半期までで約25億ドルに達するなど、短期間で急成長しました。*2

投機的な思惑もあり、2021年から2022年にかけては高騰したNFT市場ですが、2022年後半からは失速し、バブルのような状況は落ち着きつつあるのが現状です。*2

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NFTの利用状況

NFTの購入経験者を対象としたアンケート調査結果をもとに、NFTの利用状況を紹介します。
所有したことがあるNFTのジャンルは、アート・イラストが50.6%で最も多く、次いで音楽の40.2%、スポーツとゲームがそれぞれ35.1%となっています。収集を目的とするコレクティブルも30%を超えています。*3
また、NFTの所有目的は、コレクションや値上がり益による利益、NFTを活用したサービスの利用が上位を占めています。発行者(クリエイター)の応援を目的にNFTを所有する人も一定数いるようです。*3

NFTの入手方法は、国内事業者のサイトでの購入が多数を占めています。少数ですが、「自身で発行した」「知人等から贈られた」との回答もありました。*3
NFT1つあたりの購入金額は、1万円未満が全体の50%以上を占めており、
NFTの購入代金の支払方法は、クレジットカードや暗号資産が上位を占めています。*3

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NFTの主な活用例

出所)国民生活センター「ウェブ版 国民生活(2023年10月号)」<PDF>p.2をもとに作成

NFTの活用はゲームやデジタルアートが主流でしたが、最近では仮想空間内の不動産など、デジタルコンテンツ全般に広がっています。*2

また、デジタルコンテンツだけでなく、現物資産や不動産利用権、地方創生といった分野でもNFTが活用されています。例えば、「現物資産にNFTを紐づけて真正性を担保する」「地方自治体の意思決定に参加できるNFT付きのデジタル住民権を発行する」といった事例が登場しています。*2

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NFTのメリット

NFTには、次のようなメリットがあります。

デジタルコンテンツに希少性を持たせることが可能

NFTを発行しても、デジタルコンテンツの複製ができなくなるわけではありません。しかし、NFTを発行することによって、そのデジタルコンテンツの保有者を検証できるようになります。結果として、デジタルコンテンツに希少性を持たせることが可能になります。*2

インターネットを通じて自由に移転・取引できる

NFTは、ブロックチェーン上で発行されるトークンです。そのため、ビットコインなどの暗号資産と同じように、インターネットを通じて自由に移転できます。また、NFT取引用のセカンダリーマーケットも存在するため、デジタルコンテンツの流動性の向上や、スマートコントラクト等によるプログラム可能性、クリエイターに対する収益の還元可能性といった特徴を持っています。*2

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NFTの課題・リスク

NFTには多くのメリットがあり、活用例も多様化している一方で、次のような課題やリスクもあります。

法整備が進んでいない

日本の法令において、NFTは特に定義されていないのが現状です。十分に法整備が進んでいないため、NFTやNFTに紐づけられるコンテンツの法的性質については個別に分析・検討する必要があります。*2

値上がりするとは限らない

NFTは必ず値上がりするものではなく、値下がりすることもあります。また、買い手が必ず現れるとは限らず、すぐに売買できない可能性もあります。投資目的でNFTを購入する場合は、損失発生のリスクがあることを理解しておくことが大切です。*4

個人情報の漏洩や詐欺のリスクがある

NFT取引を行う際は、セキュリティ対策としてIDやパスワード、秘密鍵などを厳重に管理し、他人に知られないようにすることが大切です。*4

NFTを巡っては、偽サイトなどを利用したフィッシング詐欺も発生しています。「サイトのURLを注意深く確認する」「メールやSNSに記載されたリンクを不用意にクリックしない」などの対応も必要です。*4

購入した覚えのないNFTが送りつけられ、不正プログラムが仕組まれているケースもあるため注意しましょう。*4

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まとめ

NFTはデジタルアートなどの取引で注目を集め、今後はさまざまな分野での活用が期待されています。一方で、現状では法的な位置づけはなく、投資目的の取引では損失が発生する可能性もあります。個人がNFT取引を行う場合は、仕組みやデメリットを理解しておきましょう。

*1 出所)国立国会図書館「NFT の動向と課題」<PDF>

*2 出所)国民生活センター「ウェブ版 国民生活(2023年10月号)」<PDF>

*3 出所)消費者庁「NFTの利用状況に関するアンケート調査」<PDF>

*4 出所)消費者庁「NFTの動向整理」<PDF>

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