- 2023.12.22
- mattoco Life編集部
リバースモーゲージとは?仕組みや注目される理由、メリット・デメリットを解説
リバースモーゲージは、自宅に住み続けながら、その自宅を担保に融資を受けられるローン商品です。返済負担を抑える仕組みがあることから、老後資金を確保する手段として注目されています。
老後資金を貯蓄や資産運用で準備する人は多くいらっしゃるかもしれませんが、住宅を所有していて老後の生活費が不足する場合にはリバースモーゲージが選択肢の一つになるかもしれません。今回は、リバースモーゲージの特徴やメリット・デメリット、注意点について解説します。
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージとは、「リバース=逆」と「モーゲージ=抵当権」を合わせた言葉です。一般的には自宅を担保に融資を受け、最終的に自宅を売却して元本を返済するローン商品を指します。*1
通常の住宅ローンとは逆に、自宅を担保に一括などで融資を受け、最終的に家を売却して元本を返済することから「リバースモーゲージ」と呼ばれています。
リバースモーゲージでは、契約期間中は毎月利息のみを支払い、利用者が亡くなったときに担保物件(自宅)を売却して返済するか、自宅を売却せずに相続人が一括返済するかを選択するのが一般的です。ただし、商品内容や条件は取扱金融機関によって異なります。*1
リバースモーゲージが注目される背景
リバースモーゲージが注目される背景には、以下のような理由があります。
- 雇用環境の変化
- 高齢化
- 核家族化
定年後の住宅ローン返済やリフォームなどは、貯蓄や退職金でまかなうのが一般的でした。しかし、終身雇用や定期昇給の廃止といった雇用環境の変化により、まとまった退職金が期待できないケースが増えています。*2
高齢化の進展により、貯蓄や退職金を使ってしまうと、老後の生活費や医療・介護費などが不足するおそれもあります。
リバースモーゲージをうまく活用することで、老後の住まいや生活資金の確保に役立てることも可能になります。
リコース型とノンリコース型
リバースモーゲージは、相続人の返済義務の有無によって「リコース型」と「ノンリコース型」の2種類に分けられます。*3
利用者が亡くなった後、相続人が元本を返済する際に住宅価格が下がっていると、担保物件を売却しても元本を完済できない可能性があります。
担保物件の売却後に元本が残った場合、リコース型は相続人が残債を返済する必要があります。一方、ノンリコース型は相続人に残債の返済義務は生じません。*3
ノンリコース型は、リコース型に比べて金利が高くなるのが一般的です。住宅金融支援機構の提携金融機関が提供する「リ・バース60」では、ノンリコース型が申込件数の約99%を占めています。配偶者や子どもなどの相続人に、返済負担をかける心配がないのが理由だと考えられます。*3
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リバースモーゲージの利用条件
リバースモーゲージは、持ち家の人なら誰でも利用できるわけではなく、金融機関ごとに条件が設定されています。一般的な利用条件は以下の通りです。
対象者
対象年齢は55歳以上や60歳以上など金融機関によってさまざまです。取り扱い金融機関の商品によっても条件等は変わります。また、商品ごとに融資上限があります。
対象物件
多くの場合、不動産の立地は首都圏・関西圏・主要都市などに限定されていることが多く、一定の評価額の戸建て住宅が中心です。*4
マンションも対象となる場合はありますが、土地と建物を切り離せないため、戸建て住宅と比較して床面積や築年数などに細かい審査条件が設定されます。*4
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リバースモーゲージのメリット
リバースモーゲージのメリットは以下の通りです。
自宅に住み続けながら、自宅を担保に融資を受けられる
自宅を売却することなく、持ち家を活用してまとまった資金を調達できます。老後の生活費は年金型、リフォームや介護費用などが必要な場合は一括融資型など、ニーズに合わせて利用できるのも強みです。
月々の返済負担が少ない
リバースモーゲージは利息のみを返済するため、家計への負担が軽く済みます。金融機関によっては、利息分を借入残高に組み入れて返済を不要とすることも可能です。*1
本人が亡くなったときは配偶者が契約を引き継げる
利用者本人が亡くなったときは、配偶者が契約を引き継いで自宅に住み続けることができるプランもあります。本人が亡くなった後も、配偶者の住まいを確保できます。*5
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リバースモーゲージのデメリット・注意点
一方で、リバースモーゲージには以下のようなデメリット・注意点があります。
利用できる物件に条件がある
リバースモーゲージは、利用できる物件にエリアや評価額などの条件が設定されています。どんな物件でも融資を受けられるわけではなく、金融機関によって条件が異なる点に注意が必要です。
本人と配偶者以外に同居人がいると利用できない
リバースモーゲージは、基本的には、本人と配偶者以外に同居人がいると利用できません。将来子どもと同居する可能性がある場合は、事前に話し合っておく必要があるでしょう。*6
亡くなったときに家を残せない
リバースモーゲージは、一般的には、利用者が亡くなったときに自宅を売却して元本を返済するため、相続人に家を残せません。相続トラブルを避けるためにも、家族の合意を得ておくことが大切です。
金利変動リスクがある
リバースモーゲージの多くは変動金利型で、借入金利が年に2回見直されるのが一般的です。金利が上昇すると、毎月の利息の支払いが増加するリスクがあります。*4
生存中は利息を払い続けることになり、元本は減らないため、長生きすると利息と元本の合計額が一般的な住宅ローンより多くなる可能性もあります。*4
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まとめ
持ち家で老後の生活費や介護費用などが不足する場合、リバースモーゲージを活用すれば自宅を担保に融資を受けられるかもしれません。毎月の返済が利息のみで、利用者が亡くなった後に自宅を売却して元本を返済するしくみのため、高齢者が利用しやすいローン商品といえます。
リバースモーゲージを利用する場合にはメリット・デメリット、各商品の違いを考慮し、家族とも十分に話し合いをするなど、慎重に検討するようにしましょう。
*1 出所)知るぽると「老後を豊かに過ごすために ─リバースモーゲージという選択肢─(リバースモーゲージの仕組み)」
*2 出所)知るぽると「老後を豊かに過ごすために ─リバースモーゲージという選択肢─(利用が増加した背景)」
*3 出所)知るぽると「老後を豊かに過ごすために ─リバースモーゲージという選択肢─(リコース型とノンリコース型の違い)」
*4 出所)知るぽると「老後を豊かに過ごすために ─リバースモーゲージという選択肢─(利用する際の注意点)」
*5 出所)日本FP協会「多様化するリバースモーゲージ」
*6 出所)三菱UFJ銀行「リバース・モーゲージ型 住宅関連ローン」