子育て世帯が利用できる支援制度とは?教育費の負担を減らすために有効活用しよう

子育て世帯が利用できる支援制度とは?教育費の負担を減らすために有効活用しよう

国や自治体は、子どもの年齢や保護者の就業状況などに応じて、さまざまな子育て支援制度を用意しています。子育ての経済的・精神的な負担を軽減するには、どんな支援制度があるかを把握し、うまく活用することが大切です。今回は、経済的な支援を中心に、子育て世帯が利用できる各種支援制度を紹介します。

出産・育児休業中の支援制度

まずは、出産や育児休業中に受けられる支援制度について見ていきましょう。

出産手当金

出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のために会社を休み、その間に給与の支払いがなかった場合に支給される手当です。原則として、出産の日以前42日から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象に支給されます。出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間も支給対象です。*1

<1日あたりの支給額>
支給開始日以前12ヵ月間の各標準報酬月額の平均額÷30日×2/3 *1

申請手続きについては、勤務先の担当部署に確認しましょう。

出産育児一時金

出産育児一時金は、健康保険や国民健康保険の被保険者が出産したときに支給される一時金です。令和5年4月より、支給額が42万円から50万円に引き上げられました*2
※妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合は、支給額が48.8万円となります。

支給方法として「直接支払制度」を選択すると、出産育児一時金を出産費用に充てることが可能です。希望する場合は、医療機関に直接支払制度利用の申出を行いましょう。*3

育児休業給付金

雇用保険の被保険者が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合、一定の要件を満たすと育児休業給付金が支給されます。*4

<1ヵ月あたりの支給額>
休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日間)×67%(育児休業開始から181日目以降は50%)*4

<支給日数が30日の場合の支給上限額>
  • 310,143円(給付率67%)
  • 231,450円(給付率50%)*4

受給資格の確認や支給申請手続きは事業主が行うため、勤務先の担当部署に確認しましょう。*4

出生時育児休業給付金

雇用保険の被保険者が、子の出生日後8週間の期間内に合計4週間(28日)を限度として「産後パパ育休(出生時育児休業)」を取得した場合、一定の要件を満たすと出生時育児休業給付金が支給されます。*4

産後パパ育休とは、男性の育児休業取得を推進するために、令和4年10月にスタートした制度です。*5

<支給額>
休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×67%*4

受給資格の確認と支給申請手続きは事業主が行うため、勤務先の担当部署に確認しましょう。*4

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子育て世帯への支援制度

次に、子育て世帯が利用できる支援制度について説明します。

児童手当

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している場合は、児童手当が支給されます。*6 お住いの市区町村に認定請求書を提出することで、支給を受けられます。(支給には所得制限限度額・所得上限限度額があります。)
<支給額>

出所)内閣府「児童手当制度のご案内」をもとに三菱UFJアセットマネジメント作成

原則として、毎年6月、10月、2月にそれぞれ前月分までの手当が支給されます。子どもが生まれたときや他の市区町村から転入したときは、現住所のある市区町村に「認定請求書」の提出が必要です。*6

子どもの医療費の援助制度

すべての都道府県および市区町村が、乳幼児などの医療費の援助を行っています。対象年齢や所得制限、自己負担の有無など、援助の内容は自治体によって異なりますので、住所地のある自治体に確認しましょう。*7
援助制度をうまく活用すれば、子どもの医療費の負担を軽減できるでしょう。

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教育費の負担軽減に利用できる制度

子どもが大きくなるにつれて、学校の授業料や教材費などが必要になってきます。ここでは、教育費の負担を減らすために利用できる制度を紹介します。

幼児教育・保育の無償化

令和元年10月から「幼児教育・保育の無償化」がスタートしています。*8

幼稚園や保育所、認定こども園などを利用する、3~5歳のすべての子どもたちの利用料は無料です(幼稚園は月額2.57万円が上限)。住民税非課税世帯については、0~2歳の子どもたちの利用料も無料となります。*8

通園送迎費、食材料費、行事費などは保護者の負担です。ただし、年収360万円未満相当世帯の子どもたち、すべての世帯の第3子以降の子どもたちについては、副食(おかず、おやつなど)の費用は免除されます。*8

就学援助制度(小中学生)

就学援助制度とは、経済的な理由で就学困難と認められる児童生徒の保護者に対して必要な援助を行う制度です。学用品や給食費、修学旅行費など幅広い品目が補助対象となります。認定基準や援助費目などは市区町村によって異なるため、住所地のある自治体に確認しましょう。*9

高等学校等就学支援金制度(高校生)

高等学校等就学支援金制度とは、高校等(高専、高等専修学校等を含む)の教育費の負担軽減を図るための制度です。国公私立を問わず、高校等に通う所得要件を満たす世帯に対して、授業料に充てるための就学支援金が支給されます。所得要件は、家族構成によって変わってきます。*10

両親、高校生、中学生の4人家族で両親のどちらか一方が働いている場合、世帯年収が約910万円未満なら年額11万8,800円が支給されるため、国公立高校の授業料は実質0円となります。同じ家族構成で年収が約590万円未満の世帯は、私立高校なら最大年額39万6,000円が支給されます。年収は目安であり、所得に応じて支給額が変わる点に注意が必要です。*10

入学時に学校から案内があるため、受給に必要な申請手続きを行いましょう。*10

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大学進学費用の準備は早めに始める

教育費の中でも、大学4年間は特にまとまったお金がかかります。文部科学省の資料によれば、大学4年間でかかる学費の平均額は以下の通りです。

2021年
  • 国立大学:242万5,200円
  • 公立大学:253万6,757円
  • 私立大学:396万9,723円 *11

短期間で用意するのは大変なので、子どもが小さいうちから準備を始めるといいでしょう。

給与天引きの「財形貯蓄」、銀行の「自動つみたて定期預金」を利用して収入の一定額を毎月貯金すれば、無理なくお金を準備できます。*12

より多くのお金を準備したい場合は、投資信託の積立投資という選択も一手です。毎月1万円を18年間積み立て、利回り3%で運用できた場合、元本216万円に対して18年後の資産額は284万8,160円となります(手数料、税金等は考慮外)。*13

ただし、投資信託には元本割れリスクがあるため、無理のない金額で運用することが大切です。

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まとめ

出産や子育て、教育にはお金がかかりますが、国や自治体の支援制度をうまく活用すれば、経済的な負担の軽減が可能です。特に大学4年間ではまとまったお金がかかるため、各種積み立て制度や投信による積立投資を活用して早めに準備を始めましょう。

*1 出所)全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき

*2 出所)厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について

*3 出所)全国健康保険協会「子どもが生まれたとき

*4 出所)厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」<PDF>

*5 出所)厚生労働省「産後パパ育休(出生時育児休業)が10月1日から施行されます

*6 出所)内閣府「児童手当制度のご案内

*7 出所)厚生労働省「令和2年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」について」<PDF>

*8 出所)内閣府「幼児教育・保育の無償化に関する説明資料」<PDF>

*9 出所)文部科学省「就学援助制度について

*10 出所)文部科学省「高等学校等就学支援金制度」<PDF>

*11 出所)文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します
出所)文部科学省「(参考2)国公私立大学の授業料等の推移

*12 出所)文部科学省「財形貯蓄制度
出所)全国銀行協会「積立定期預金

*13 出所)三菱UFJアセットマネジメント「つみたて投資シミュレーション」で試算

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