介護休業の条件は?給付金はいくらもらえる?制度内容を知って仕事と介護を両立しよう

介護休業の条件は?給付金はいくらもらえる?制度内容を知って仕事と介護を両立しよう

もし両親などの家族が要介護状態となった場合、仕事と介護の両立をどうすべきか?との問題が生じます。

介護のために離職すると、収入が減少して生活に支障が出る恐れがあります。介護休業制度を利用すれば、給付金を受け取りながら介護を行うことが可能です。

そこで今回は、介護休業制度の概要や介護休業給付金の支給要件などを解説します。

介護休業とは

介護休業は、労働者が要介護状態にある家族を介護するために休業できる制度です。

要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。*1
具体的には、介護保険制度において要介護2以上、または座位保持(10分間一人で座っていることができない)等の状態が継続すると認められることなど、所定の判断基準が定められており、この基準に従って判断されることになります。*2

雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合は、介護休業期間中に「介護休業給付金」*3が支給されます。介護休業を利用すれば、離職することなく仕事と介護を両立できる体制を整えることが可能です。

介護休暇との違い

介護休業とは別に「介護休暇」という制度もあります。

介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や世話をするための休暇です。介護休暇は通院の付き添いなど、短時間の休みが必要なときに取得することを想定しています。

介護休暇は、対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで取得できます。手続き方法は書面の提出に限定されておらず、口頭での申出も可能です。労働基準法の年次有給休暇とは別に取得できますが、有給か無給かは会社の規定によって異なります。*4

「介護休業」と「介護休暇」は別の制度であることを理解しておきましょう。

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介護休業制度の概要

ここでは、制度の対象となる労働者や家族、利用期間など、介護休業制度の概要を確認していきましょう。

対象となる労働者

介護休業を取得できるのは、対象家族を介護する労働者(日々雇用は除く)です。次の要件を満たす場合は、パートやアルバイトでも取得できます。*1

  • 取得予定日から起算して、93日経過する日から6ヵ月を経過するまでに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

労使協定を締結している場合、以下の労働者は介護休業の対象外となります。*1

  • 入社1年未満の労働者
  • 申出日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

介護休業を取得できるか判断できない場合は、勤務先の担当者に確認しましょう。

対象となる家族

介護休業制度の対象となる家族の範囲は以下の通りです。*1

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟

上記の家族が要介護状態となった場合は、介護休業を取得できます。

利用期間・回数

介護休業は対象家族1人につき3回まで、通算93日まで利用できます。取得例は以下の通りです。*1

取得例
  • 例1:休業(1)(30日)、休業(2)(30日)、休業(3)(33日)※合計93日
  • 例2:休業(1)(93日)

短期間で3回取得した場合、日数が残っていても以降は取得できなくなるので注意が必要です。介護のために短い休暇をとる場合は、介護休業ではなく介護休暇を活用するといいでしょう。

利用方法

介護休業を利用する場合は、休業開始予定日の2週間前までに書面等で事業主に申し出ます。介護休業の申出があった場合、事業主は労働者に対して、介護休業開始予定日および終了予定日などを所定の様式にて速やかに書面等で通知しなくてはなりません。*1

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介護休業期間中は「介護休業給付金」が支給される

通常、介護休業期間中は会社から給与は出ませんが、一定の要件を満たすとハローワーク(公共職業安定所)から介護休業給付金が支給されます。*5
ここでは、介護休業給付金の支給対象者や給付額、支給例を紹介します。

支給対象者

介護休業給付金の支給対象者は、雇用保険の被保険者で、介護休業開始の直近2年間に給与をもらった月が12ヵ月以上ある人です。この要件を満たせば、正規雇用・非正規雇用による支給要件の違いはありません。*5

支給要件には細かな要件があるため、勤務先の担当部署に支給要件を満たしているのか確認しましょう。

給付額

介護休業給付金の給付額は「介護休業開始時の賃金日額×支給日数×67%」です。賃金日額は、介護休業する直前6ヵ月分の賃金を180で割って計算します。支給日数は93日が限度です。*5

介護休業期間中に就業して賃金(給与)を受け取ると、その賃金の額に応じて介護休業給付金の支給額が調整される仕組みになっています。支払われた賃金が休業開始時賃金月額の80%以上の場合、給付金は支給停止となります。*5

介護休業を1ヵ月間取得した場合の支給例

介護休業期間中に賃金の支払いがない場合、介護休業給付金の支給額はおおむね以下の通りです。

図1【介護休業給付金の概算支給額(月額)】
出所)厚生労働省「Q&A~介護休業給付~ Q6介護休業給付は、例えば1か月間の介護休業を取得した場合、どの程度もらえるのか、だいたいの金額を教えてください。

正確な支給額は、ハローワークに提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」をもとに決定されます。

なお、介護休業給付金は課税の対象外です。*6

給付金の受給手続き

介護休業給付金を申請する場合は、事業所を管轄するハローワークに以下の書類を提出します。*5

  • 介護休業給付金支給申請書
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金証明票

提出期限は、介護休業終了日の翌日から2ヵ月後の月の月末です。

本人に代わって会社が提出してくれることもあるので、まずは勤務先の担当者に相談しましょう。

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介護休業制度の注意点

介護休業給付金は、休業終了後の職場復帰を前提に支給されるものです。そのため、介護休業中に退職を予定している場合は支給対象外となります。*7

また、介護休業給付金を93日分受給した後は、同じ対象家族の要介護状態が変わっても、再度給付金を受給することはできません。*8

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まとめ

家族が要介護状態になった場合、介護休業を利用すれば、給付金を受け取りながら地域包括センターへの相談や介護サービスの手配を行えます。仕事と介護を両立できるように、介護休業と介護休暇、および給付金について理解しておきましょう

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