【令和5年度税制改正】贈与税は何が変わる?変更点や生前贈与・相続への影響を解説

【令和5年度税制改正】贈与税は何が変わる?変更点や生前贈与・相続への影響を解説

令和5年度税制改正において、贈与税の課税方法の見直しが盛り込まれました。2024年から暦年課税や相続時精算課税の制度内容が変更になります。贈与税の改正は、私たちの生活にどんな影響を与えるのでしょうか。

今回は、令和5年度税制改正における贈与税の変更点について解説します。

贈与税はどんなときにかかる?

贈与税とは、個人から財産をもらったときにかかる税金です。*1
預貯金だけでなく、投資信託や不動産も贈与税の課税対象に含まれます。また、次のような場合には贈与によって取得したとみなされ、贈与税がかかることがあります。

<みなし贈与>
  • 自分が掛金を負担しないのに、生命保険や損害保険の保険金を受け取った場合
  • 著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合
  • 対価を払わないで、借金を免除してもらった場合
  • 対価を払わないで、不動産や株券の名義を自分に変更してもらった場合
  • 返済能力もないのに、親兄弟などからあるとき払いの催促なしで多額の借金をした場合

法人から贈与によって財産を取得したときは、贈与税ではなく所得税がかかります。扶養義務者相互間での生活費や教育費、通常の見舞金や香典、贈答などは贈与税の課税対象外です。*2

贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。*1
それぞれの課税の仕組みについては後述します。

令和5年度税制改正における贈与税の変更点について確認していきましょう。

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暦年課税の相続前贈与の加算期間を7年に延長

暦年課税とは、1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の合計額をもとに贈与税額を計算する方法です。暦年課税には基礎控除があり、贈与額が年110万円までは贈与税がかかりません。*1

暦年課税の仕組みを利用した「暦年贈与」は生前贈与で活用されることが多く、暦年課税申告人員は平成25年以降40万人を超える水準で推移しています。*3

現行制度では、贈与者の死亡前3年以内の贈与額は、相続財産に加算して相続税を計算します。

しかし、令和6年1月1日以後の贈与については、相続財産に加算する期間が現行の3年から7年に延長されます。延長された4年間に受けた贈与のうち、総額100万円までは相続財産に加算されません。*4

今回の改正は、早いタイミングでの生前贈与を促し、若年層への資産移転を進めやすくする狙いがあると考えられます。

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相続時精算課税制度に基礎控除110万円を創設

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに財産を贈与した場合に選択できる課税方法です。

累計贈与額が2,500万円までは、贈与税が非課税となります。2,500万円を超えた部分については、一律20%の税率で課税されます。暦年課税との選択制で、いったん相続時精算課税を選択すると暦年課税に変更することはできません。
相続時精算課税制度を適用した贈与財産は、贈与時の時価を相続財産に加算して相続税を計算します。*5

現行制度では、相続時精算課税に暦年課税のような基礎控除はありません。しかし、今回の改正で、年110万円の基礎控除の創設が盛り込まれました。令和6年1月1日以後の贈与から適用されます。*4
適用以降は毎年110万円まで贈与税がかからず、相続税の課税価格にも算入されません。

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教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置を3年延長

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置とは、教育資金の一括贈与を受けた場合に1,500万円まで贈与税がかからない特例です。

祖父母など(受贈者の直系尊属)が30歳未満の子や孫の口座を開設し、教育資金管理契約に基づいて行う贈与が対象です。金融機関を経由して「教育資金非課税申告書」を提出することにより、贈与税が非課税となります。

口座から払出しや教育資金の支払を行った場合は、その支払の事実を証明する書類を金融機関に提出する必要があります。(詳しくはお取引金融機関にお問合せください。)

2023年3月末までの時限措置でしたが、今回の改正で、適用期限が2026年3月末まで3年間延長されます。*6
本特例を活用することで、贈与税の負担を軽減しながら教育資金の援助を受けることが可能になります。

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結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置を2年延長

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置とは、結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合に1,000万円(結婚資金は300万円)まで贈与税がかからない特例です。

父母など(受贈者の直系尊属)が18歳以上50歳未満の子や孫の口座を開設し、結婚・子育て資金管理契約に基づいて行う贈与が対象です。金融機関を経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出することにより、贈与税が非課税となります。
口座から払出しや結婚・子育て資金の支払を行った場合は、その支払の事実を証明する書類を金融機関に提出する必要があります。(詳しくはお取引金融機関にお問合せください。)
2023年3月末までの時限措置でしたが、今回の改正で、適用期限が2025年3月末まで2年間延長されます。*7

本特例を利用することで、贈与税の負担を軽減しながら結婚・子育て資金の援助を受けることが可能です。経済的要因から結婚・出産に踏み切れない若年層への活用が期待されます。

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まとめ

令和5年度税制改正では、生前贈与の課税制度が大きく見直されました。預貯金や投資信託などを贈与する場合は、制度内容を理解しておくと税負担の割合が変わってくるかもしれません。
今回の贈与税の改正内容を確認して、生前贈与などをうまく活用しましょう。

*1 出所)国税庁「財産をもらったとき

*2 出所)知るぽると(金融広報中央委員会)「10.贈与税はどんなときにかかるか

*3 出所)国税庁「報道発表(令和3年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について)」<PDF>P12

*4 出所)財務省「 令和5年度税制改正(案)のポイント(令和5年2月) 資産課税」<PDF>

*5 出所)国税庁「 No.4103 相続時精算課税の選択

*6 出所)文部科学省「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」<PDF>(教育資金非課税措置Q&A第17弾(令和5年4月1日現在)P1 P6 P44)

*7 出所)財務省「税制改正の概要(令和5年度 税制改正の大綱の概要)」<PDF> P2

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