つみたてNISAは今から始めても遅くない?2024年の新NISAを待つ?

つみたてNISAは今から始めても遅くない?2024年の新NISAを待つ?

令和5年(2023年)度税制改正大綱において、NISA制度の見直しが盛り込まれ、関連法案が3月28日の参議院本会議で可決され成立しました。2024年からは新しいNISA制度が始まる予定です。*1

2023年度にて、つみたてNISAを利用していない場合は、新NISAを待つべきか、それとも現行のつみたてNISAを今からスタートしたほうがいいのでしょうか。

今回は、つみたてNISAを今から始めた場合のメリットや注意点について解説します。

つみたてNISAの概要

つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。現行のつみたてNISAの制度概要は以下のとおりです。

出所)金融庁「つみたてNISAの概要」をもとに三菱UFJ国際投信作成

投資信託の譲渡益・分配金には通常20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAなら非課税です。年40万円を上限に20年間非課税で運用できるため、長期の資産形成で活用できます。

つみたてNISAの投資対象商品は「販売手数料ゼロ」「信託報酬が一定水準以下」など、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されています。*2

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2024年スタートの新NISAとは

2024年からスタート予定の新NISAの概要は以下の通りです。

出所)金融庁「新しいNISA」をもとに三菱UFJ国際投信作成

新NISAでは制度が恒久化され、非課税保有期間が無期限化されます。また、年間投資枠や非課税保有限度額も大幅に引き上げられます。つみたて投資枠の投資対象商品は、現行のつみたてNISAと同様です。

現行つみたてNISAの役割

2024年から新NISAが始まるため、現行のつみたてNISAで新規投資できるのは2023年末までです。

2023年末までに現行制度で投資した商品は、新制度の外枠で現行の非課税措置が適用されます。例えば、2023年につみたてNISAで投資した商品は、2042年まで(最長20年間)非課税で保有できます。

つみたてNISAの保有商品は、非課税期間終了後に特定口座や一般口座などの課税口座に非課税期間終了時の時価で払い出されることになるので、つみたてNISA勘定で保有していた間の値上がり分には課税されません。*3
また、現行制度から新制度へのロールオーバーは不可となっています。ロールオーバーとは、NISA口座の非課税期間が終了した後に金融商品を翌年の非課税投資枠へ移管することです。*4

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つみたてNISAを今から始めても遅くない理由

つみたてNISAを今から始めても遅くない理由は以下の通りです。

新NISA開始後も非課税で保有できる

前述の通り現行のつみたてNISAは、新NISAの外枠で管理されるため、2024年に新NISAが始まった後も、つみたてNISAで保有している商品をすぐに売却する必要はありません。2042年まで非課税での保有が可能です。

非課税で投資できる金額を増やせる

今からつみたてNISAを始めることで、新NISAの非課税保有限度額のほか、2023年分のつみたてNISAの非課税枠(年40万円)を使うことができます。非課税で投資できる金額が増えるため、メリットが多くなります。

新NISAの開始手続きに手間がかからない

現行のNISA制度(つみたてNISA、一般NISA)を利用している場合は、新制度開始時に新しいNISA口座が自動的に設定される予定です。手続きが複雑にならないように手当されているため、今からつみたてNISAを始めることで、スムーズに新NISAを始められます。*5

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つみたてNISAを始めるときの注意点

今からつみたてNISAを始める場合は、以下の点に注意が必要です。

元本割れリスクがある

つみたてNISAは長期の資産形成に適した制度ですが、投資信託で運用を行うため、元本割れリスクがあります

運用がうまくいけば利益を得られ、税金がかからない分だけ手取り額も増えます。しかし、値下がりすると損失が発生し、運用益が非課税になるメリットも得られません。

つみたてNISAを始めるなら、短期の値動きを過度に気にすることなく、資産や地域を分散した積立投資を長く続けてリスク低減を図ることが大切です。*6

非課税枠を使い切りたい場合はボーナス設定などを活用する

つみたてNISAの非課税枠は年40万円、毎月の積立金額は3万3,333円が上限となります。

40万円÷12ヵ月=月3万3,333円(少数以下切り捨て)

※積立金額の単位は金融機関によって異なる

年の途中でつみたてNISAを始める場合、毎月同じ金額を積み立てるだけでは年40万円の非課税枠を使い切れません。

金融機関によっては、ボーナス月などの特定月に増額設定が可能です。無理をする必要はありませんが、つみたてNISAの非課税枠を使い切りたい場合はボーナス設定をうまく活用するといいでしょう。

現行一般NISAとの併用不可

既に一般NISAを利用している場合には新たにつみたてNISAを利用することはできません。ただし、その年に一般のNISA勘定で買付けを行っていない場合、一般のNISA勘定を設定している金融機関に、「金融商品取引業者等変更届出書(勘定変更用)」を提出することで、その年中に一般のNISA勘定からつみたてNISA勘定へ切り替えが可能です。*7

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新NISAを待つ必要なし!今すぐつみたてNISAを始めよう

今からつみたてNISAを始めれば、新NISAとは別に非課税で投資できる金額が増えます。また、2023年までにつみたてNISAで投資した商品は、新NISAがスタートした後も非課税で保有可能です。

つみたてNISAは2023年までの制度です。新NISAを待たずに非課税投資が行えるのであれば、今年の利用枠の活用を検討してみましょう。

*1 出所)財務省「令和5年度税制改正(案)のポイント(個人所得課税)」<PDF>

*2 出所)金融庁「つみたてNISAの概要

*3 出所)金融庁「つみたてNISA Q&A」Q22

*4 出所)金融庁「用語集(ロールオーバー)

*5 出所)金融庁「新しいNISA

*6 出所)金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック

*7 出所)金融庁「つみたてNISA Q&A」Q12

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