- 2023.01.16
- mattoco Life編集部
高利回りが魅力のハイイールド債とは?特徴やメリット、リスク、投資方法を知っておこう
個人の資産形成において、ハイイールド債への投資は選択肢となるのでしょうか。また、実際に投資する場合はどんな点に注意すればよいのでしょうか。
今回はハイイールド債の特徴やメリット、リスク、投資方法について解説します。
ハイイールド債とは
ハイイールド債とは、信用格付けが低い高利回りの債券です。「投機的格付債」「ジャンク債」と呼ばれることもあります。具体的には、格付け機関が行う信用格付けがBBやBa(ムーディーズ)以下の債券を指します。
ハイイールド債は信用リスクが高い分、利回りが高格付けの投資適格債と比べて高く設定されているのが特徴です。うまく運用できれば高い収益が期待できますが、投資資金を回収できず、損失が生じるリスクも高いため、経験者向けの金融商品といえるでしょう。*1
債券の格付けについて
格付けとは、債券の信用力をアルファベットなどで示したものです。*2
債券には信用リスクがあり、発行体が財政破綻や経営破綻に陥ると、利払いや元本の遅延や債務不履行(デフォルト)が発生する可能性があります。*3
そのため、投資家が債券の信用力を判断できるように、格付け機関がそれぞれの調査に基づいて評価しています。
格付けの表示例は以下の通りです。
<格付けの表示例>
出所)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「債券投資のはじめ方(信用力を確認するには?)」
ハイイールド債は、信用格付けにおいては投機的水準と判断されるため、相対的に信用リスクは高くなります。
ただし、格付けはあくまでも格付け機関の評価です。債券の信用リスクを判断する材料にはなりますが、債務履行を保証するものではありません。
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ハイイールド債のメリット
ハイイールド債のメリットは以下の通りです。
高い利回りが期待できる
ハイイールド債は、投資適格債に比べて高い利回りが期待できるのが魅力です。利付債は定期的に利子が支払われ、デフォルト等がなく満期まで保有すれば原則として元本が返還されます。利回りが高ければ、その分高い収益を得られる可能性があります。
途中売却も可能
ハイイールド債は、満期を迎える前に途中売却する場合には、売却時点での価格で取引されます。購入時より高い価格で売却できれば、値上がり益を得ることが可能です。ただし、売却のタイミングによっては元本割れの可能性もあります。
一般的に、発行後に市場金利が上がると債券価格は下がり、市場金利が下がると債券価格は上がります。*4さらに、ハイイールド債から投資適格債へ格上げされる等により格付けが改善することによっても債券価格は上昇します。また、ハイイールド債から投資適格債へ格上げされる等により格付けが改善することによっても債券価格は上昇し、逆に格付けが悪化することによっても債券価格は下落します。
満期を迎える前にハイイールド債を売却する可能性がある場合は、市場金利の動向や投資先の格付けを注視しておくといいでしょう。
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ハイイールド債のデメリット・リスク
一方で、ハイイールド債には以下のようなデメリット・リスクが存在します。
信用リスクが高い
ハイイールド債は、投資適格債に比べて信用リスクが高くなります。利回りが高くても、満期を迎える前に発行体の破綻等により、デフォルトとなる可能性があるので注意が必要です。格付けが下がれば下がるほどデフォルトの確率が高くなります。
ハイイールド債に投資する際は、一般的な債券投資以上に、格付けを確認して発行体の信用リスクを見極めることが大切です。
為替変動リスクがある(外貨建ての場合)
外貨建てのハイイールド債に投資する場合は、為替変動リスクがあります。
為替変動リスクとは、為替相場の動向によって外貨建て資産の円換算額に損益が生じる可能性があることです。満期を迎えたときや中途で売却したときに、購入時より円安なら為替差益を得られますが、円高の場合は為替差損が生じます。*5
ただ、外貨で利益があっても為替相場によっては円に換算すると損失になることもありますのでご注意ください。
たとえば、額面1万米ドルの新規発行ハイイールド債(期間1年、額面金額の100%で償還)に投資するケースについて確認しましょう(為替取引コスト等は考慮外)。
「1米ドル=100円」のときに投資すると、購入資金は100万円です。満期時の為替レートが「1米ドル=120円(円安)」であれば、償還金額は120万円で20万円の為替差益を得られます。しかし、「1米ドル=80円(円高)」の場合、償還金額は80万円で20万円の為替差損が生じます。*6
出所)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「債券投資のはじめ方(為替変動リスクって何?)」
このように、外貨建てのハイイールド債は、為替の動きによって円換算後の損益が変わる点に注意しましょう。
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ハイイールド債への投資方法
個人がハイイールド債へ投資する場合は、「個別銘柄」と「投資信託」の2つが選択肢となります。それぞれの特徴を確認していきましょう。
個別銘柄
債券の個別銘柄に投資する方法は、債券を取り扱う証券会社で口座開設します。国債や社債などへの投資が可能となり、投資対象銘柄の信用格付けがBB以下であれば、ハイイールド債に該当します。
個別銘柄に投資する場合は、格付けや利回りを確認して投資判断を行いましょう。また、1つの銘柄に集中投資をするとリスクが高まるため、複数の銘柄に分散させることが大切です。
投資信託
ハイイールド債が投資対象の投資信託を購入する方法です。投資信託は複数の投資家から集めた資金を1つにまとめ、専門家がさまざまな銘柄で運用を行います。少額から購入でき、個人でも分散投資がしやすいのがメリットです。
ハイイールドに投資する投資信託では、多数の銘柄に投資することで信用リスクを分散しているものもあります。レポート等で投資銘柄数等を確認するのも有効です。
ファンドによって投資対象銘柄や運用コストが異なるため、目論見書などで運用方針を確認してから投資判断を行うことが大切です。
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まとめ
ハイイールド債は、高い利回りが期待できるのが魅力です。一方で、信用格付けが低く、債務不履行となるリスクが高いデメリットもあります。
ハイイールド債に投資する場合は、少額から分散投資ができる投資信託を活用するのも有効です。特徴やメリット・リスクを理解した上で、ハイイールド債への投資を検討しましょう。
*1 出所)auカブコム証券「ハイイールド債」
*2 引用)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「債券投資のはじめ方(信用力を確認するには?)」
*3 引用)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「信用リスク」
*4 引用)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「債券投資のはじめ方(途中売却の注意点は?)」
*5 引用)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「為替変動リスク」
*6 引用)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「債券投資のはじめ方(為替変動リスクって何?)」