法人口座で投資信託を運用するメリット・デメリットは?課税上の注意点を解説

法人口座で投資信託を運用するメリット・デメリットは?課税上の注意点を解説

運用商品の一つである「投資信託」は、個人口座だけでなく、法人口座でも取引を行うことができます。

投資信託を法人口座で取引する場合、課税に関する取扱いなどが異なる点に注意が必要です。個人口座・法人口座のどちらで投資信託を取引すべきかについては、資産・収入の状況などに応じてご検討ください。

今回は、法人口座で投資信託を取引することのメリット・デメリットなどを解説します。

投資信託とは?

「投資信託」とは、資金の運用を専門家に任せることのできる金融商品です。

多数の投資家から集められた資金は、資産運用の専門家であるファンドマネージャーが運用します。
商品内容によって運用の方針は決まっており、リスクの少ないものからハイリスクのものまで多種多様です。
ファンドの運用実績に応じて、投資信託の基準価額や分配金額が変動し、運用による利益や損失は投資家に帰属します。
投資信託のメリットは、資産運用の専門家の知見を活用できる点や、少額から手軽に分散投資ができる点などです。

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投資信託は法人口座でも取引できる

法人口座では、株式や債券などのほか、投資信託についても取引ができます。取引の方法は、基本的に個人口座と同じです。

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投資信託を法人口座で取引するメリット

投資信託を法人口座で取引することには、主に以下のメリットがあります。

法人の内部留保(余剰資金)を活用できる

法人の内部留保(余剰資金)は、銀行口座に入れておくだけではなかなか増えないので有効活用したいという考え方もあるかもしれません。

もし法人に内部留保(余剰資金)があり、長期での使途が特段ない場合には、法人口座を開設して投資信託を購入し、資産運用に回すことも選択肢のひとつです。

必要経費を計上できる

個人の場合、投資に関する書籍の購入代金やセミナーへの参加費用、取引に用いる電子機器(PCなど)の購入などに費用を要しても、個人ではこれらの費用を必要経費に計上することができません(個人事業主を除く)。

一方法人の場合は、上記の各費用を必要経費に計上し、利益を圧縮するなど法人税等を軽減できるメリットがあります。

10年間の損失繰越が認められる

投資信託の運用について損失が生じた場合、個人であれば、税務申告において損失を繰り越すことができるのは3年間です。*1
これに対して法人の場合は、最長で10年間の損失繰越が認められます。長期的な視点で利益を出していきたいと考えている場合は、法人に対する損失繰越の税制が有利になることもあるでしょう。*2

他の法人所得との損益通算が認められる

個人の場合、投資信託の売買損益は、上場株式等の譲渡所得や配当所得などとは損益通算が可能ですが、他の所得とは通算することが認められていません。
他の所得がマイナスであっても、投資信託の売却益には課税されます。また、他の所得がプラスであっても投資信託の売却損との損益通算はできません。

これに対して法人の場合は、投資信託の売買損益について、事業所得等様々な他の所得との損益通算が広く認められています。
たとえば、退職金などを支払って大幅な赤字となった事業年度に、投資信託を売却して利益を確定させれば、損益通算が可能です。*3

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投資信託を法人口座で取引するデメリット

投資信託を法人口座で取引することには、以下のデメリットがある点にも注意が必要です。

個人で取引するよりも税率が高くなる場合がある

個人の場合、投資信託の売却益に対しては、計20.315%の税率が適用されます(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税:5%)。
また、NISA口座で取引している投資信託については、売却益が非課税となります。

これに対して、法人口座における投資信託の売却益には、他の法人所得と合算したうえで法人税等が課されます。

法人税等の実効税率は所得額に応じて変わりますが、おおむね25%~35%程度です。したがって、法人の所得がプラスの場合は、投資信託の売却益に対する税率が、個人の場合よりも高くなる点にご注意ください。*4

損益の計算・税務申告を自分で行う必要がある

個人の場合、特定口座で投資信託を取引すれば、年間の取引実績を金融機関がまとめてくれます。

これに対して法人の場合、特定口座を開設することはできませんので、証券会社に取引実績をまとめてもらえません。損益の計算や税務申告をすべて自身で行う必要があります。

新規に会社を設立するには費用がかかる

資産管理会社を新たに設立する場合、株式会社であれば30万円程度、合同会社であれば15万円程度の費用がかかります。*5
また、仮に利益が出なくても、毎年法人住民税の均等割を支払わなければなりません(年7万円~)。常勤役員は厚生年金保険・健康保険への加入義務があるため、社会保険料の負担が増えることにも注意が必要です。

さらに、会社の税務申告は税理士に依頼するケースが多く、その場合は税理士費用も発生します。

このように、会社を設立・維持するためには、一定の費用が必要となることを理解しておきましょう。

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法人口座で投資信託を取引する際の注意点

法人口座を用いた投資信託の取引をご検討中の方は、以下の各点に十分ご注意ください。

法人は税務申告が大変|新規に設立する場合は要注意

法人の税務申告は、個人の確定申告と比べると非常に大変です。提出すべき書類は非常に多く、計算方法や記載方法も複雑になっています。

また、法人は特定口座を開設できないため、投資信託の損益を自分で計算しなければならない点にも注意が必要です。

税理士に依頼すれば、税務申告の手間はかなり軽減されますが、税理士費用を支払わなければなりません。特に、投資用の会社を新規に設立しようと思っている方は、本当に会社を設立するメリットがあるのか、熟考の末で判断したほうが良いでしょう。

黒字法人の場合は税負担に注意|利益確定タイミングの調整を

法人の場合、損益が黒字の事業年度に投資信託の利益を確定すると、個人よりも税率が高くなります。高率の課税を避けたい場合は、事業上の赤字が出たタイミングに合わせて投資信託を売却するなどの工夫が必要になるでしょう。

ただし、売却のタイミングに制約が生じることに伴い、投資信託の売り時を逃してしまうリスクもあるのでご注意ください。

運転資金を確保して、余裕を持った資産運用を

投資以外にも事業を行っている法人の場合、当然ながら運転資金を常に確保しておく必要があります。

投資信託は比較的短期間で売却・換金できますが、それでも数日のタイムラグが生じます。余剰資金をすべて投資信託に回してしまうと、運転資金の支払い準備が間に合わないといった事態になりかねません。

法人口座で投資信託を取引する場合には、必要な運転資金を現預金で確保したうえで、余裕を持った運用を心がけましょう。

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