【2022年度版】大きく変わる住宅ローン控除 今、家を建てると得する?損する?

【2022年度版】大きく変わる住宅ローン控除 今、家を建てると得する?損する?

住宅ローン控除は、住宅ローン年末残高の一定割合を所得税から控除できる制度です。

2022年(令和4年)度税制改正によって制度が見直され、控除率や控除期間、適用要件などが変更されました。住宅ローンを組んでマイホームを購入する予定がある場合は、変更内容を理解しておくことが大切です。

今回は、2022年以降の住宅ローン控除の変更ポイントと注意点を解説します。

【2022年度税制改正】住宅ローン控除の主な変更ポイント

2022年度税制改正により、住宅ローン控除は適用期限が4年間(2022〜2025年)延長されました。控除率や控除期間が変更されており、住宅の環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置の新設も盛り込まれています。主な変更ポイントは以下の通りです。

控除率は0.7%、控除期間は最長13年へ

住宅ローン控除の控除率は1%から0.7%に引き下げられました。*1
低金利の影響で、住宅ローン金利は低下傾向にあります。住宅ローンの控除額が支払利息を上回る状況を是正するため、控除率が見直されたと考えられます。

一方で、新築住宅と買取再販住宅の控除期間は、原則10年から原則13年に変更されました。*1
中古住宅については、これまでと同じく原則10年です。

買取再販住宅とは、宅地建物取引業者が中古住宅を買い取り、リフォームを実施したうえで販売する住宅のことです。一定の要件を満たす買取再販住宅は、新築住宅と同様の取り扱いとなります。*2

控除率は引き下げられましたが、新築住宅と買取再販住宅の控除期間が延びたため、借入金額によってはこれまでより控除額が増える可能性があります

対象住宅の種類が細かく区分された

2022年から、住宅ローン控除の対象住宅の種類が細かく区分されました。

環境問題の改善やエネルギー政策の観点から、国は脱炭素や再生可能エネルギーの普及に取り組んでいます。環境性能等に優れた住宅の普及拡大を推進するため、控除対象の住宅を以下4つに区分しています。

  • 認定住宅(長期優良住宅、低炭素住宅)
  • ZEH水準省エネ住宅
  • 省エネ基準適合住宅
  • その他の住宅(上記以外の住宅)

長期優良住宅は、長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅です。低炭素住宅は、二酸化炭素の排出を抑制するための対策がとられた住宅になります。

ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」を略した言葉です。ZEH水準省エネ住宅は、高性能設備や再生可能エネルギーの導入により、一次エネルギー消費量の年間収支をゼロにすることを目指した住宅を意味します。

※ 環境省「地球環境・国際環境協力

省エネ基準適合住宅は、一定の省エネ基準を満たす住宅です。

中古住宅を含め、環境性能等に優れた住宅を取得する場合は借入限度額の上乗せ措置があります(詳細は後述)。

借入限度額と控除額

2022年以降の住宅ローン控除は、住宅の種類によって借入限度額が異なります。新築住宅・買取再販住宅の借入限度額は以下の通りです。*3

新築住宅と買取再販住宅については、「2023年までの入居」と「2024年以降の入居」で借入限度額が変わります

たとえば、2023年までに認定住宅に入居すれば、13年間で最大455万円が控除されます。一方、2024年以降に入居する場合は、最大控除額は13年間で409.5万円です。*4

その他の住宅でも、2021年までは借入限度額が4,000万円ありましたが、2022〜2023年は3,000万円に減額されています。*5
また、2024年以降は省エネ基準に適合していることが要件となるため、2023年までに建築確認を受けないと控除を受けられません。

これから新築住宅を購入する場合は住宅メーカーと相談のうえ、住宅ローン控除の対象となる住宅を選ぶ必要があるでしょう。

一方、中古住宅の借入限度額は以下の通りです。*3

中古住宅は、新築住宅や買取再販住宅ほど細かく区分されていません。借入限度額は認定住宅などが3,000万円、その他の住宅は2,000万円です。たとえば、省エネ基準適合住宅を取得する場合は10年間で最大210万円が控除されます。*4

中古住宅については、2021年まで「耐火住宅は築25年以内」「非耐火住宅は築20年以内」という築年数要件がありました。2022年以降は築年数要件が緩和され、「昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)」であれば控除対象となります。*1

その他の要件

住宅ローン控除には所得要件と床面積要件もあります。

適用対象者の所得要件は、従来の3,000万円から2,000万円に引き下げられました。合計所得金額が2,000万円を超えると住宅ローン控除を受けられません

住宅ローン控除は、原則として床面積50㎡以上の住宅が対象です。しかし、新築住宅については、2023年までに建築確認を受けたものは40㎡以上に緩和されます。ただし、合計所得金額が1,000万円以下の人に限られます。*1

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住宅ローン控除の利用手順

住宅ローン控除を受ける場合、初年度は会社員であっても確定申告が必要です。

売買契約書や登記事項証明書、住宅ローンの年末残高証明書などの必要書類を準備して、期限までに確定申告を行います。必要書類や手続きで不明点があれば、住宅メーカーや税務署、税理士などに相談しましょう。

会社員であれば、2年目以降は年末調整で控除を受けられます

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すでに住宅ローン控除を受けている場合は?

すでに住宅ローン控除を受けている場合は、2022年からの制度変更による影響はありません。これまでと同じように、住宅ローン年末残高の1%が所得税から控除されます。控除期間や借入限度額についても変更はありません。

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まとめ

住宅ローン控除は2022年から控除率が引き下げられ、対象となる住宅の種類も細かく区分されています。新築住宅と買取再販住宅については、2024年以降は借入限度額が減額される点にも注意が必要です。

住宅ローン控除を最大限活用したい場合は、制度内容を理解したうえで取得する住宅の種類や入居時期を検討しましょう。

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