- 2022.03.29
- mattoco Life編集部
早期リタイアで自分らしく生きる「FIRE」 実現に必要な「4%ルール」って?
昨今「FIREムーブメント」という考え方が注目を集めるようになってきました。
FIREとは経済的自立(Financial Independence)と早期リタイア(Retire Early)の頭文字をそれぞれ組み合わせた言葉です。
今回ご紹介するFIREにおける4%ルールとは、資産をなるべく減らさず運用益だけを取り崩して生活していく考え方であり、そのシンプルさからも多くの賛同を得ています。
ただ、運用益と比べて取り崩し額が大きいと資産は徐々に先細りになってしまうなど、実際には考えておくべきポイントが多くあります。本記事では4%ルールの解説と、実践するうえでの注意点を挙げていきます。
どうして4%なの?
FIREにおける4%ルールとは、「生活費を投資元本の4%以内に抑えることで、資産を目減りさせずに暮らす」というものですが、その実現には「いくらまで資産を積み上げるか」が非常に重要です。
資産総額が少ないと運用益も少なくなり、FIRE後の生活維持が難しくなる可能性が出てきます。
逆に多くの資産を構築しようとするとそれだけ時間がかかり、FIREにおけるRE(早期リタイア)を逃してしまうでしょう。
まずはどうして4%なのか、というところから考えてみましょう。
もしも運用の年間リターンをそのまま1年間の生活費にできたらどうでしょうか?
1年間のリターン = 1年間の生活費
夢のような話ですが、(理論上は)資産を減らさずにずっと運用益で生活が続けられることになります。
ではこの関係が成り立つには資産総額は生活費の何年分あればよいでしょうか?人それぞれに必要と考える生活費の水準は異なりますが、答えは想定する運用リターンによって変わってきます。
- 年2%を想定していれば生活費の50年分。
- 年3%を想定していれば生活費の33年分。
- 年4%を想定していれば生活費の25年分。
- 年5%を想定していれば生活費の20年分。
- 年10%を想定していれば生活費の10年分。
「4%ルール」の数値自体は、米国株の年間成長率7%から米国のインフレ率3%を引いた値として使われることが多いですが、実は4%でなければならない特別な根拠はなく、上記の組み合わせから「リターン4%:生活費25年分」(これをルールでは、投資元本の4%以内に生活費を抑えると言い換えています)が最も現実味があるとして選ばれやすいからといえるでしょう。
想定する運用リターンが4%より低くなると、想定リターンをクリアできる確率が上がる反面、より多くの資産総額が必要となりFIRE達成までの道のりが長くなってしまいます。一方、想定リターンが4%より高くなると資産総額が少なく済み、FIREまでの道のりが短くなる反面、想定リターンをクリアできる確率が低くなってしまいます。
主な金融商品における平均リターンや配当などの利回りから、FIREを実現するために必要となるのは何%ルールとなりそうか、ぜひ考えてみてください。
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FIRE実現にあたり注意すべき3つの点
4%ルールはFIRE実現における骨組みであり、実用レベルに落とし込むには各自で詳細なルールやポリシーを肉付けしていく必要があります。
実用レベルへの落とし込みに際し、注意が必要な点を3つ解説します。
税制改正による手取りリターン減に注意
NISAなど一部例外を除き、運用益には税金が課せられます。
株式を例にすると譲渡益と配当金には税率20.315%が課されるため、手取りリターンは運用上のリターンのおよそ2割減となります。(税率は2022年2月時点)
手取りリターン4%を想定するのなら運用上はおよそ5%のリターンが必要です。
このように税金はFIRE実現後の手取りリターンを考えるうえで非常に大きな影響を与えます。そのため今後何らかの税制改正がなされる可能性も一種のリスクとして考えておきましょう。
もし税率が30%まで上がった場合、手取りリターン4%を維持するには運用上はおよそ5.7%のリターンをあげなければなりません。
よりハードルが高くなったとき、以下の2つの方向性が考えられるでしょう。
- 資産を今より高リスクの投資対象に移し、高リターンを期待する。
- 現状以上の運用リターンは望まず、手取りリターン減を受け入れる。
1の選択肢はうまくいけば税率アップの影響を吸収できる反面、リスクを取っているため、うまくいかないと資産総額のマイナスをかえって広げる結果となりかねません。
2の選択肢は生活水準の引き下げにもつながり、FIRE後の生活を窮屈に感じてしまう可能性があります。
もしくは税制改正で慌てる前に、あらかじめ少し高めの税率でプランニングするか、もしくは資産を多めに蓄えておけば、ある程度の税率アップは織り込み済みとして乗り越えられるかもしれません。
年間の生活費を詳細に把握する
先述の通り、4%ルールでFIREを実現するには計算上25年分の生活費が目安です。
そのため年間の生活費を把握しないことにはその25年分、つまりFIRE達成のゴールラインが見えません。
現在の年間生活費を把握したうえで、まずは節約の余地がないかを検討してみましょう。
固定費など長期にわたり効果が望める節約に成功すればそれだけ25年分の生活費も圧縮でき、FIRE達成のゴールラインも近づきます。
節約の有無によってゴールラインが近づきも遠のきもすると理解すれば、それだけ前向きに節約を検討できるのではないでしょうか。
次にFIRE実現後の年間生活費は現在(FIRE実現前)と比べて上がるか、変わらないか、下がるかを可能な限り詳細に考えてみましょう。
自由な時間が増える分お金を使う機会が増えるのか、逆にシンプルな暮らしを志すようになりお金を使う機会が減るのか。
ここは性格や生活スタイルによる部分がかなりあるので明確な正解はありません。
加えて、変動費についてはある程度優先順位をつけておくと良いでしょう。リターンの低下や税制改正の際など生活水準の引き下げを余儀なくされる場合に、優先順位の低い順から支出を削るなど柔軟な対応ができるかもしれません。
バックアッププランを考える
4%ルールで想定しているリターンはあくまで期待リターンに過ぎず、実際のリターンは毎年大きく変動します。運用していれば4%に満たない年も、不幸にもマイナスで終わる年もあり、不確実性に満ちています。
不確実なのは運用面だけでなく生活費も同様で、環境変化・病気・その他さまざまな事情によって当初の想定より支出が膨らんでしまう可能性があります。
FIREも状況次第では継続が難しくなり、再就職が必要になるシナリオも想定しておいた方が良いでしょう。
再就職が必要となったとき、就職の足掛かりになるようなスキルや人脈をFIRE後も手放すことなくキャッチアップしていられればFIRE失敗へのリスクヘッジとなり得ます。
最善を望みつつ最悪を覚悟する姿勢で多くの可能性を考え、適切なバックアッププランを備えておくことこそFIREに必要なリスクマネジメントといえるでしょう。
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まとめ
FIRE実現のキーポイントとなる「4%ルール」について解説しました。
FIREは家計管理といった内的要因と、市場・税制・物価などの外的要因が絡み合っています。
きわめてシンプルな4%ルールを骨子として、それらの要因を可能な限り肉付けすることで納得感のあるFIREプランを練り上げてみてはいかがでしょうか。