副業でも注目されるシェアリングエコノミーは利用しても大丈夫?

副業でも注目されるシェアリングエコノミーは利用しても大丈夫?

近年、シェアリングエコノミーはますます注目されるようになっており、日々の生活において触れる機会も多くなっています。
一般社団法人シェアリングエコノミー協会の推計によると、2020年度における市場規模は2兆1,004億円で、2030年度にはこれが14兆1,526億円にも拡大すると見込まれています。*1

シェアリングエコノミーは事業者だけでなく、個人も収入を得ることができる仕組みで、しっかりと理解した上で上手に利用していきたいところです。
今回はこのシェアリングエコノミーについて、基本的なところから丁寧に解説を行っていきます。

シェアリングエコノミーとは?

出所)消費者庁「平成29年版消費者白書(第1部2章1節(4))」p.80

シェアリングエコノミーとは、「個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸し出しを仲介するサービス*2のことを指します。
上図のように個人(提供者)は、保有する資産を他の個人(利用者)にシェアすることで利用料金を受け取ります。
事業者は、個人と個人をつなげることで仲介手数料を得るというのが大まかなイメージです。

シェアリングエコノミーの事業者は、主にインターネット上にマッチングプラットフォームを構築してサービスを提供します
インターネットが普及したことで、多数の個人が必要な情報にいつでもアクセスできるような環境が整ったことが、シェアリングエコノミーの拡大を後押ししていると言えるでしょう。

シェアの対象となる資産の主要なものを、シェアリングエコノミー協会は以下の5つに分類しています。

出所)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究(平成30年)」p.31

このように、シェアリングエコノミーの対象となる資産は、非常に幅広いことが分かります。
多くの人が何らかのシェアできるものを保有していると思われ、シェアリングエコノミーは非常に身近な存在と言えるでしょう。

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身近にあるシェアリングエコノミー

私たちにとって身近になってきているシェアリングエコノミーですが、その実例をいくつか紹介していきます。

民泊仲介サイト

民泊仲介サイトでは、空き家や空き部屋を保有する個人と宿泊を希望する個人とをマッチングして、両者の間での貸し借りの仲介が行われています
個人間における空き家や空き部屋の貸し借りの仲介ということで、「空間」のシェアに分類されるシェアリングエコノミーです。

まず空き家や空き部屋を貸し出したい個人が、民泊仲介サイトで宿泊施設としての情報の登録を行います。
すると、登録した情報を不特定多数の利用者が閲覧できるようになり、宿泊を希望する個人は予約することができるという仕組みです。

実際に利用者が宿泊して料金が支払われると、民泊仲介サイトはその一定割合を手数料として受け取ることになります。
宿泊後には貸し手と借り手がお互いにレビューできる形になっているのが一般的です。

スキルマーケットサイト

スキルマーケットサイトでは、個人ができることや得意なことを出品したり、購入したりすることができます
これは、シェアリングエコノミーの5つの分類のうち「スキル」のシェアに該当するものです。

スキルマーケットサイトでは、出品したい個人が提供できるサービス内容を登録して、公開しています。
何かしらのサービスを利用したい個人は、これらの登録されているサービスの中から自分が必要とするサービスを探して購入するという仕組みです。

出品者と購入者で条件が合致して実際に取引が行われると、スキルマーケットサイトを経由して料金の支払いが行われます。
そのうちの一定割合は、スキルマーケットサイトが手数料として受け取ることになります。

なお、取引終了後には、出品者と購入者が評価を行う形になっているのが一般的です。
こういった評価に関する情報は公開され、次に取引を行いたい人が参考情報として利用できるようになっています。

自転車シェアリング

シェアリングエコノミーは、地域における問題の解決策として自治体が活用するケースも増えてきています
一例として、ここでは内閣官房シェアリングエコノミー促進室が公開している活用事例の中から、東京都港区の自転車シェアリングの取り組み(「移動」のシェア)を紹介します。*3

もともとの地域の課題として、港区では放置自転車対策にかかっていた駐輪場整備コストを抑えたいというニーズがありました。
また、渋滞問題や環境問題の観点から、移動手段として自転車をより多く活用してもらいたいといった事情もあったのです。

この課題を解決する目的で導入されたのが、自転車シェアリングです。
自転車シェアリングを導入すると、地域のさまざまな場所に設けられたサイクルポートのどこからでも、自転車を借りたり返したりできるようになります
また、これらの手続きはサイトやアプリからインターネット経由で、無人で行えるようになっています。

この取り組みを行った結果、
「駅周辺にサイクルポートを配備することで、そのエリアの放置自転車が減少」
「品川駅周辺の『こうなん星の公園駐車場』では250台分の空きが生じた」
といった効果が出ています。*4

なお、この取り組みはより広域で利用できるようになっており、現在は区域を越えて自転車の乗り入れが可能になっています。

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シェアリングエコノミーのメリット・デメリット

日本において拡大しているシェアリングエコノミーは、社会に多くのプラスをもたらすことが期待されているのと同時に、懸念点もいくつか存在しています。
ここでは、シェアリングエコノミーのメリットとデメリットについて、それぞれ簡単に説明しておきます。

シェアリングエコノミーのメリット

シェアリングエコノミーで資産を提供する個人について考えてみると、もともと小さい価値しかなかった(あるいは価値がなかった)資産に新しい価値が生まれ、そこから収入を得られるようになります

また、資産を利用する個人から見てみても、購入するためのお金を用意する必要がなく、コストを抑えて資産を利用できるようになります
このように、シェアリングエコノミーは、提供する個人、利用する個人の双方に、メリットのある仕組みと言えるでしょう。

社会全体で考えた場合にも、今まで使われていなかった資産が使われるようになり、社会における資産が有効活用されるようになると考えられます。
今までにはなかった需要が生まれることで、シェアリングエコノミーが拡大していくことによる経済効果も期待できるでしょう

このように、シェアリングエコノミーは利用する個人だけでなく、社会全体から見てもメリットがあると考えられているわけです。

シェアリングエコノミーのデメリット

シェアリングエコノミーでは、サービスを提供するのが個人であるためどうしても提供者によって品質にバラツキが出てしまいます
そのため、利用者の立場から考えると、「一定以上の品質のサービスを受けられるのか?」という点が心配になるところです。

また、サービスの提供者の立場から見てみると、マナーが悪い利用者に当たるリスクを無視できません。
シェアリングエコノミーでは個人間のやりとりとなるため、こういったトラブルに巻き込まれるリスクがあるのは大きなデメリットと言えるでしょう。

なお、こういったトラブルが起こりにくくする一つの対策として、シェアリングエコノミーには提供者と利用者をお互いに評価する仕組みがよく取り入れられています
シェアリングエコノミーを利用する際には、こういった仕組みも活用しながら、自らトラブルを避ける工夫をしておいた方が良いでしょう。

シェアリングエコノミーはこれまでになかった形の新しいサービスであり、法律を含めてまだ環境整備されていないところがあります。
今後、時間の経過とともに、より利用しやすい環境が整えられていくことに期待したいところです。

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シェアリングエコノミーで、自分のスキルや資産を有効活用しよう

シェアリングエコノミーというビジネスモデルは政府も推進しており、今後もどんどん拡大していく可能性が高いでしょう。
私たちの生活において、これからますます身近な存在になっていくことが考えられます。

また、個人で見てみると資産を形成するにあたり、シェアリングエコノミーを活用し、自分の資産から不労所得を獲得できないかあるいは、購入費用の節約をできないかという視点で目を向けてみることが大切です

今回、紹介したシェアリングエコノミーの概要、メリット・デメリットをしっかり理解して、自分のスキルや資産を有効活用してみてはいかがでしょうか。

*1 出所)一般社団法人シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー経済規模は過去最高の2兆円超え。新型コロナウイルスで新たな活用の広がり、SDGsへも貢献。

*2 出所)総務省「平成27年版情報通信白書 (第2部4章2節1-1)」p.200

*3 出所)内閣官房シェアリングエコノミー促進室「シェア・ニッポン100~未来へつなぐ地域の活力~」p.17

*4 出所)一般社団法人シェアリングエコノミー協会「シェアリングシティ一覧>東京都港区

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