45歳定年制のキャリアプランってどういうこと?「人生100年」時代、長く働き収入を得るためのキャリアプランとは?

45歳定年制のキャリアプランってどういうこと?「人生100年」時代、長く働き収入を得るためのキャリアプランとは?

日本では少子高齢化が続き、このままでは働き手が不足していくとみられています。
2021年には改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業には70歳まで就業を確保する努力義務が課されました。

一方で先般、「45歳定年」というワードがメディアで大きく注目されたことをご記憶の方も多いのではないでしょうか。
働き続けることについて様々な価値観が出ているなか、「人生100年」時代でより良い生活を送るため、また少しでも長く働けるようにするにはどのようなキャリアプランが必要なのでしょうか。

これまでの雇用延長義務の推移

企業の定年退職や雇用確保継続の義務は、度重なる法改正によって下のように推移してきました(図1)。

図1 高年齢者の雇用延長の推移

出所)厚生労働省「高年齢者雇用の現状等について」p.5

一方、現在70歳以上で仕事をしている人の割合は以下のようになっています(図2)。

図2 収入のある仕事をしている人の割合

出所)内閣府「令和2年版高齢社会白書

平成28年と比較すると、高齢になっても働いている人の割合は増加していることがわかります。男性の場合、70歳~74歳で約4割、75歳〜79歳でも約3割の人が収入のある仕事をしているという状況です。

そして、高齢になっても働いている理由はこのようになっています(図3)。

図3 仕事をしている理由

出所)内閣府「令和2年版高齢社会白書

収入がほしいから、と回答している人が特に60代で多くなっています。また、70歳を超えても3~4割の人は収入を得るために働いていると回答しており、年金だけでは老後の生活がまかなえない人も少なくない、ということが考えられます。

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60歳以降の収入は?老齢年金の繰上げ・繰下げによる受給率と高年齢者の雇用方針を確認しましょう

働くのが楽しい、仕事をすることが好き、という場合は良いのですが、そうでない場合、いったい何歳くらいまで働けば良いのでしょうか。

ひとつの参考情報として、公的な老齢基礎年金の受給率の変化をみてみましょう。
現在老齢年金は65歳からの受け取りが原則となっています
そして希望すれば60歳から繰上げ、あるいは66歳以降に繰下げで受給できることになっていますが、こうすることによって支給額には大きな差が出ることはご存知でしょうか(図4)。

図4 老齢年金の繰上げ・繰下げ受給の受給率

出所)日本年金機構「老齢年金ガイド令和3年度版」p.3

繰上げで60歳0カ月から受け取ると、65歳に比べ30%減少するのに対し、繰下げで70歳0カ月から受給すると、65歳からの受給に比べて42%増加します。長生きすればするほど総受給額にかなりの差が出ると言って良いでしょう。

また、勤務先の会社の高年齢者の雇用の方針も考慮する必要があります。
定年が引き上げられる会社の場合は給与体系もそのままで勤められますが、定年後再雇用の形を取る会社の場合、基本給が大きく下がることもあります

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注目を集めた「45歳定年」はどういう意味?

さて、政府としては70歳まで働けるように企業に努力義務を課しましたが、一方で「45歳定年」という言葉が以前、メディアで注目を集めました。
なお、この45歳定年という言葉はこれ以降に働かなくて済むことを意味するものではなく、キャリアプランの考え方として提起された言葉です。

こちらは、三菱総合研究所の職種別の労働需給ギャップの分析です。
それによると、近い将来に人材の「ミスマッチ」が生まれるというのです(図5)。

図5 2020年代後半からの「職のミスマッチ」

出所)厚生労働省「技術革新(AI等)の動向と労働への影響等について」p.1

日本では今現在、人手不足と言われますが、今後はこれまで人材不足であった生産・輸送・建設業や事務職は人材過剰になる一方で、専門職が大幅な人材不足に陥るという推計です。

45歳がピンポイントであるかどうかはともかく、40代なかばは専門知識も持ち合わせ、心身ともにまだまだ充実している円熟期といえるでしょう。
そしてこれまでに得た専門知識に加え、新たな”掛け合わせ知識”を加えるという観点では、チャンスの多い時期でもあります。
現在需要が急増している「DX人材」など、専門領域で仕事をしていけるような学び直しや経験を加えた人材が引っ張りだこになることは、言うまでもありません。

まずはキャリアを棚卸ししてみること。それが40代に必要なことなのかも知れません。
実際に40代なかばで転職・独立するにしても、今の仕事にとどまるにしても、若い時からこの意識を持つことで、今後のキャリアの幅は大きく変わるでしょう。

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自分の仕事の付加価値を考える

また、こちらは様々な職種を2軸でマッピングし、技術革新との関係を比較したものです(図6、7)。

図6,7 日本の人材ポートフォリオと技術革新

出所)三菱総合研究所「内外経済の中長期展望 2018-2030年度」p.34

創造性が求められる領域は、デジタル技術に浸食されにくいという特徴があることがわかります。

30代、40代は何かと忙しく、先のことを考える余裕なく時間が過ぎていく時期かもしれませんが、人生の過渡期をうまく超えていかなければならない世代でもあります。これまで得た専門知識に、今後どんな新しい知識を付け加えキャリアを歩むか、将来設計を現実的に考えなければならない時期とも言えます。

何が今後求められるスキルなのかは、勉強会に参加したり、また、転職エージェントに話を聞いたりするのもひとつの情報収集の方法になるでしょう。

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