バリュー投資とグロース投資 アクティブファンドの2タイプを簡単解説

バリュー投資とグロース投資 アクティブファンドの2タイプを簡単解説

投資信託で高いリターンを狙うのであれば、市場平均以上のリターンを目指すアクティブファンドは選択肢のひとつですが、そもそもアクティブファンドにはどんなタイプがあるのか知っておきたいところです。

今回は、アクティブファンドにおける代表的な運用方法であるバリュー投資とグロース投資を取り上げて、それぞれについて特徴を解説していきます。

運用における2つの考え方

アクティブファンドでは、ファンドマネジャーが独自の分析に基づいて、より高いリターンが期待できると判断した銘柄等に投資を行います。
その分析を行う際の代表的な考え方として、以下の2つが挙げられます。

  • バリュー投資
  • グロース投資

バリュー投資の考え方は、投資対象の企業価値(Value)から見て株価が割安と判断されている銘柄を中心に投資するというものです。バリュー投資を日本語に言い換えると「割安株投資」ということになります。

一方のグロース投資は、市場平均よりも大きな成長(Growth)が期待できる銘柄に重点的に投資していきます。グロース投資を日本語に言い換えると「成長株投資」ということになります。

このように、バリュー投資とグロース投資では、割安性に注目するのか成長性に注目するのか、投資の考え方が大きく異なっていることが分かります。では、ここからはバリュー型ファンドとグロース型ファンドのそれぞれの特徴について、より詳細に見ていきましょう。

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バリュー型ファンド

バリュー型ファンドでは、投資対象の企業価値を見極めた上で株価が割安と判断される銘柄を選定して投資します。適正な企業価値はいずれ株価に反映されるものと考え、修正されていく過程で利益をあげようとするわけです。

では、このようなバリュー型ファンドにおいてどのような指標が重視されるのか、どういった特徴があるのかについて見ていきましょう。

重視される株価指標

バリュー投資において大切なのは割安かどうかの判断ですが、その際の判断には以下のような指標が使われるのが一般的です。*1

  • 株価収益率(PER)
  • 株価キャッシュフロー倍率(PCFR)
  • 株価純資産倍率(PBR)

上記の指標について、計算式と意味を簡単に解説しておきます。

PER
PERは、次の計算式で求められます。

PER = 株価÷1株当たり利益(EPS)

つまり、「株価が1株当たりの利益の何倍か」を示したのがPERです。
PERが低いほど、企業の収益力に対して株価が低いと判断することになります。


PCFR
PCFRは、次の計算式で求められます。

PCFR = 株価÷1株当たり営業キャッシュフロー

つまり、「株価が1株当たりの営業キャッシュフローの何倍か」を示したのがPCFRです。
この営業キャッシュフローとは、企業の営業活動によってキャッシュ(現金や現金同等物)がいくら手元に入ったかを示す数字です。
PERとは少し違う角度から、企業の収益力に対して株価が高いか低いかを読み取ることができます。

PBR
PBRは、次の計算式で求められます

PBR = 株価÷1株当たり純資産(BPS)

つまり、「株価が1株当たり純資産の何倍か」を示したのがPBRです。
PBRについては、現時点での企業の資産価値から株価の割安性を判断することができます。

バリュー投資の特徴

バリュー投資では、株価が割安な状態にあると判断される銘柄に投資を行うことになります。
もともと割安な銘柄に投資をするため、仮に思惑が外れたとしても値下がりする余地が少ないと考えられます。

一方でバリュー投資では、市場における注目度が低い中小型や大きな成長を見込みにくい成熟産業が投資対象となりやすい傾向があります。*1そのため、注目を集めない状態が続き、ずっと割安なままであるバリュートラップに陥る可能性もあります

このように、リスクは比較的抑えられやすい一方で、タイミングによってはリターンを得にくいというのもバリュー投資の特徴と言えるでしょう。

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グロース型ファンド

グロース型ファンドでは、企業の将来の成長性を見極めて、大きな成長が期待できる企業を選定して投資します。
事業の成長とともに収益力が高まれば株価も上昇していくはずですが、その過程で利益をあげようとするわけです。

では、このようなグロース型ファンドが重視する指標と、ファンドとしての特徴について見ていきましょう。

重視される経営指標

グロース投資において大切なのは企業の成長性ですが、これは一般的に以下のような指標で判断されます。*2

  • 1株当たり利益(EPS)成長率
  • 株主資本利益率(ROE)

上記の指標について、計算式と意味を簡単に解説しておきます。

EPS成長率
EPS成長率は、次の計算式で求められます。

EPS成長率 = (当期EPS-前期EPS)÷前期EPS×100

つまり、「当期のEPSが前期のEPSに比べて何%上昇したのか」を示すのがEPS成長率です。
大きなEPS成長率の値からは、企業の収益力が大きく上昇しており成長しているということが読み取れます。グロース投資においては、将来のEPS成長率が高くなる銘柄を探すことになるわけです。


ROE
ROEは、次の計算式で求められます。

ROE = 当期純利益÷株主資本×100

つまり、「元手となる株主資本の金額に対して何%の利益をあげたのか」を示す値がROEです。
ROEが高い企業は、元手となる資本を効率良く使えていると判断することができます。
これは、大きな成長性を期待できる企業の条件の一つと言えるでしょう。

株価指標の傾向

バリュー投資においては、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)といった株価指標は低いことが重視されました。
一方、グロース投資の銘柄を選定する際、これらの指標は高くなりやすい傾向があります。*3

これは、成長性が期待できる銘柄は多少割高でも投資家が購入するため、株価が割高になりやすいのが理由です。
このため、グロース投資においては、PERやPBRが高くても投資対象として選定されることになります

グロース投資の特徴

グロース投資では、今後の大きな成長が期待できる銘柄に投資します。思惑通りに企業が大きく成長すれば、短期間で株価が何倍にもなることもあるため、大きなリターンが得られることもあります。
しかし、企業が成長するかどうかはあくまで予測なので、予測が外れてしまうというリスクも避けられません。また、グロース投資では株価が割高でも投資を行うため、見通しが外れてしまった際の損失は大きくなりやすいところがあります。


よって、グロース投資の特徴は、成長度合いによっては、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、成長見通しの鈍化による下落リスクがあると言えるでしょう。

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商品選びの際は、投資方針をしっかり理解しよう

今回は、バリュー投資とグロース投資の概要について説明してきました。
両者は割安性と成長性という異なる観点から投資を行っており、ベースにある考え方が大きく異なっています。

なお、時期によって割安株が有利、成長株が有利といった違いが出ることもありますが、どちらか一方のパフォーマンスが常に優れているということはありません。2つの投資方法に優劣があるわけではないので、自分が共感できるかによって商品を選ぶことが大切となるでしょう。

方向性の違う2つの考え方があることを踏まえて目論見書を読むと、投資方針を理解しやすくなります。投資方針をしっかり理解した上で、将来設計に対する資産運用の目標に適合する商品を選ぶようにしていただければと思います。

*1 出所)三菱UFJ信託銀行「用語解説:バリュー型運用

*2 出所)三菱UFJ信託銀行「用語解説:グロース型運用

*3 出所)三菱UFJ国際投信「用語集:グロース投資(成長株投資)

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三菱UFJ国際投信株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

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