ポイント
株式投資の銘柄の選び方として、「複数銘柄に投資する」方がメインかもしれませんが、「1つの銘柄にこだわって投資する」というような考え方も無きにしも非ずです。投資可能金額や投資目的は人それぞれであるため、銘柄の選び方に正解はありません。
しかし、投資銘柄を複数銘柄にするのと1つに絞るのとでは、投資する際に注意すべき点が異なりますので、それらの違いをよく理解して、自分に合った方法を選択することが大切です。
本記事では、株式投資で複数銘柄へ投資する場合、もしくは1つの銘柄へ投資する場合について、それぞれ違いを挙げながら注意点を解説します。
複数銘柄への分散投資
複数の銘柄に投資する場合は、1つの銘柄への投資に比べてリスクの軽減が期待できます。投資先を分散すれば、特定の銘柄で損失が生じても別の銘柄で利益がでていれば、全体の損失額を減らすことが期待できます。
ただし、銘柄選びに手間がかかるのは覚悟しなければなりません。株式投資では、投資銘柄の値動きを定期的にチェックしなくてはなりません。決算発表や事業内容、政治経済の動向といった、株価に影響を及ぼす出来事の確認も重要です。「テクニカル分析」を活用する場合は、株価チャートから過去の値動きや出来高の推移を分析する必要があります。
投資銘柄が増えるほど、値動きや業績などのチェックに費やす時間は増えます。銘柄ごとに株価の動きを分析しなくてはならず、売買タイミングの判断もそれぞれ必要です。
仕事や私生活で忙しいと、投資銘柄の選定・分析に十分な時間をかけるのは難しいでしょう。
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1つの銘柄にこだわる集中投資
一方、投資銘柄を1つに絞り込めば、その銘柄だけに調査を集中できるので、値動きの確認や情報収集がしやすくなります。
しかし、1つの銘柄のみに投資する場合には、投資銘柄を絞り込むのが難しかったり、損失が生じるリスクが高まる恐れがある点は注意が必要です。
投資銘柄を1つに絞り込むのは難しいとされるのは、2021年9月現在、国内の証券取引所には3,700超の企業が上場しており、規模や業種も様々*1であるためです。
また、株式投資は元本保証ではありません。投資した銘柄の株価が上がれば利益を得られますが、株価が下がって損失が生じることもあります。1つの銘柄に投資資金を集中させると、その株価が下がった際に損失をカバーする手段がないため、1つの銘柄への投資はリスクが高くなります。
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株式投資のリスクを抑える複数銘柄への投資を検討しよう
「経営方針に共感できる」「応援したい」と思える企業があるなら、1つの銘柄にこだわるのもよいかもしれません。しかし、将来に向けて資産を増やすために、複数銘柄に投資してリスクを分散することを検討しましょう。
株式投資で複数銘柄に投資するのは、分散投資の手法の1つです。「すべての卵を1つのかごに入れない」という相場の格言があるように、株式投資における分散投資の重要性がわかります。*2
投資をする場合には、許容範囲を超える損失が生じると、継続できなくなる恐れがあります。資産を増やすことは重要ですが、それ以上にリスクをコントロールすることが大切です。
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株式投資で複数銘柄を選ぶ際の注意点
株式投資で複数銘柄を選ぶときは、以下の点に注意しましょう。
- 投資銘柄の最低投資金額を確認する
証券会社で株取引を行う場合、通常は100株単位での取引となります。*3銘柄によって株価に違いがあるので、どの銘柄を選ぶかによって最低投資金額は変わります。
たとえば、株価が1,000円なら最低投資金額は10万円(1,000円×100株)ですが、株価が5,000円なら50万円(5,000円×100株)です。証券会社ごとに定められている売買手数料も別途かかります。
個人投資家は投資に回せるお金が限られるため、最低投資金額が大きい銘柄を選ぶと、複数銘柄に投資できない可能性があります。
証券会社によっては、1株から購入できる単元未満株を取り扱っているところもあります。少額から株式投資を始める場合は、単元未満株の利用も選択肢となるでしょう。
業種が異なる銘柄を選定する
複数銘柄を選ぶときは、特定の業種に偏らないようにすることも大切です。
一般的には、業種が同じ銘柄は1つの出来事に同じような影響を受け、似た値動きをする傾向にあります。同じ業種から複数銘柄を選ぶより、業種が異なる銘柄に投資先を分散させるほうがリスク軽減につながります。
日本取引所グループの業種別分類表によれば、上場企業は大分類で10、中分類で33の業種があります。*4投資銘柄を選ぶときは、株価や業績だけでなく業種も意識しましょう。
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複数銘柄に投資するなら投資信託の活用も選択肢
株式投資は個別に銘柄を選ぶ他に、投資信託を活用する方法もあります。
投資信託とは、多くの投資家から集めた資金を1つにまとめ、運用会社が株式などで運用を行う金融商品です。運用で得られた収益は、投資金額に応じて投資家に分配されます。株式投資で複数銘柄に投資する場合、投資信託を活用すれば以下のことが期待できます。
少額から分散投資ができる
多くの個人投資家は余裕資金で投資を行う必要があるため、投資に回せるお金には限りがあります。少額から株式投資を始める場合、複数銘柄に投資するのが難しいケースもあるでしょう。
投資信託は少額から購入でき、1本でさまざまな資産・銘柄に分散投資を行います。投資信託を活用すれば、個人でも少額から複数銘柄に投資可能です。
運用をプロに任せられる
複数銘柄に投資する場合は、銘柄の分析・選定や投資後の値動きの確認に手間がかかります。投資銘柄が増えるほどリスク分散が期待できる一方で、運用管理に時間をとられてしまいます。投資信託は運用をプロに任せられるので、株式投資にかかる手間や時間を省けます。
投資信託は「販売手数料」や「信託報酬」といったコストがかかり、商品によって差があります。そこで投資信託のコストは運用成果に影響を与えるので、複数の商品を比較してなるべくコストが低い商品を選ぶという考え方もあります。 一方で、ご自身の目標とする投資収益率を考慮して、コスト以外の部分である、パフォーマンスや投資信託を運用している「プロ」の運用哲学などもしっかり確認して、ご自身にあった商品を選択しましょう。
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まとめ
株式投資における複数銘柄への分散投資と1つ銘柄にこだわる集中投資の注意点、リスクを軽減しながら資産を増やすなら、複数銘柄に投資する方法が有効ということについて説明してきました。
投資可能金額や投資目的などを考慮して皆さんに合った投資方法を検討してみてください。
なお、時間や手間をかけずに複数銘柄に投資したい場合は、少額から分散投資ができる投資信託の活用を検討するのも、選択肢の一つです。
*1 出所)日本取引所グループ「上場会社数・上場株式数」
*2 出所)三菱UFJモルガン・スタンレー証券「分散投資の考え方」
*3 出所)日本証券業協会「株式って何株から買えるの?」
*4 出所)日本取引所グループ「業種関係」
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員