株価指数は、市場全体や特定の属性を持つグループなどにおける平均株価を算出したものです。投資信託では運用成績の目安とされることが多いなど、資産運用を行う上で株価指数は重要な存在です。
本記事ではこれから投資信託による資産形成を目指し、まずはこのような指数に連動する投資信託(インデックス投信)の購入を考えている方に向けて、株価指数の内容に関してご紹介します。そこで今回は、世界の株価指数の中から、金融情報を提供するサイトなどで日々現在値が公表されるなど、目にする機会も多い12指数を代表的な指数としてピックアップしてみました。日本・米国・欧州・アジアの4つの地域の株価指数について触れますので、それぞれの株価指数がどういうものかを頭に入れて、インデックス型の投資信託を選ぶ際の参考にしてみてください。
日本の株価指数
まずは、私たちにとって最も身近と言える日本の株価指数から紹介していきます。
ニュースなどで耳にする機会も多いので、基本を再確認していきましょう。
(注)東京証券取引所は、2022年4月4日、現在の市場区分を再編する予定です。これに伴い株価指数等の見直しが2025年1月末にかけて行われます。 *1
日経平均株価(日経225)
日経平均株価(日経225)とは、日本経済新聞社が算出している日本の代表的株価指数のことです。「日経225」「日経平均」などとも呼ばれます。東京証券取引所一部上場銘柄(2000銘柄以上)のうち、日本経済新聞社が選んだ225銘柄を対象とする平均株価です。基本的に225銘柄の単純株価平均ですので、値がさ株(株価の高い銘柄)の値動きに影響されやすい面があります。なお、単純な平均計算とは違い、銘柄入れ替えや株式分割など、市場の動きに関係のない変動を除外するための調整なども行われています。
東証株価指数(TOPIX)
東証株価指数(TOPIX)とは、東京証券取引所第一部上場の全銘柄を対象にした時価総額加重平均の株価指数です。1968年1月4日の東証一部の時価総額を100として計算されており、日本の国内株式を運用対象とするファンドのベンチマークとして最も一般的に採用されています。なお、この時価総額に使用されているのは、構成銘柄の浮動株数に基づいて算出される値です。
日経平均株価と比べて構成銘柄が多いことから、市場全体の値動きがより反映されやすいと言えるでしょう。とはいえ、時価総額ベースで計算するため、やはり時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすいところがあります。
JPX日経インデックス400(JPX日経400)
JPX日経インデックス400とは、東京証券取引所の第一部、第二部、マザーズ、JASDAQを主たる市場とする普通株式等の中から時価総額、売買代金、ROE等を基に、「グローバルな投資に求められる諸条件を満たしており、投資魅力が高いか」という観点から原則400銘柄を選定し算出される株価指数です。 JPX日経インデックス400は、2013年(平成25年)8月30日の時価総額を10,000ポイントとして、日本取 引所グループ、東京証券取引所および日本経済新聞社が算出・公表しています。算出対象銘柄数の増減や増資など市況変動によらない時価総額の増減が発生する場合は、その連続性を維持するため、基準時の時価総額(基準時価総額)を修正します。なお、一部の銘柄の影響が大きくなりすぎないように、時価総額の大きい銘柄は全体における構成比率が1.5%となるような調整が行われています。
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米国の株価指数
続いて、日本経済とつながりの深い米国の株価指数を見ていきましょう。
米国は経済規模が世界で最も大きく、日本は大きな影響を受けるため、主要な株価指数はしっかり押さえておきたいところです。
ダウ平均株価(NYダウ)
ダウ平均株価(NYダウ)とは、アメリカのダウ・ジョーンズ社が算出しているアメリカの代表的な30銘柄を対象とした株価指数で、1928年から算出されています。当初は単純な平均株価でしたが、現在は連続性を維持するために修正平均株価で算出されています。なお、平均株価の計算においては、日経平均株価と同様に、銘柄入れ替えや株式分割などの市場の動きに関係のない変動を除外するための修正が行われます。(日経平均株価特有のみなし額面に関する調整はありません。)主な構成銘柄は、金融のアメリカン・エキスプレス、航空機のボーイング、娯楽・メディアのウォルト・ディズニー・カンパニー、コンピューターのアイ・ビー・エム、医薬品のジョンソン・エンド・ジョンソン、飲料のコカ・コーラ、外食のマクドナルド、ソフトウェアのマイクロソフトなどで、日本でも馴染みの深い銘柄が採用されています。
ダウ平均株価は対象銘柄がわずか30だけと、かなり絞られているのが特徴です。
構成銘柄の影響が大きくなるため、その株価動向が注目されるとともに、銘柄入れ替えが行われる際にはチェックしておくといいかもしれません。
S&P500
S&P500とは、米国スタンダード&プアーズ社が発表している米国の代表的株価指数のことです。米国の上場株式または店頭登録株式のうち、時価総額、流動性の大きい500銘柄によって構成されている時価総額加重平均の株価指数です。S&P500からは、対象銘柄の浮動株ベースの時価総額が、1941年~1943年における平均を10として、現在いくらになっているかが分かります。
ダウ平均株価と比較すると、S&P500は構成銘柄がかなり多いことが分かります。
時価総額が大きい銘柄の影響が多くなるところもありますが、市場を構成する銘柄の動向がより幅広く反映されていると言えるでしょう。
NASDAQ総合指数
NASDAQ総合指数とは、NASDAQ(全米証券業者協会が1971年に導入した店頭銘柄気配自動通報システム)で取り引きされている新興企業向けのNASDAQに上場している3,000以上の全銘柄を時価総額加重平均で算出したインデックスです。ハイテク株やインターネット関連株の多くがこのNASDAQに属しているため、ハイテク関連株の動きが指数に与える影響が大きくなっています。
NASDAQ総合指数からは、基準日の1971年2月5日における対象銘柄の時価総額を100として、現在の時価総額がいくらになっているかを読み取ることができます。
なお、他の多くの株価指数とは違い、浮動株ベースに調整する処理は行われていません。
NASDAQには、Microsoft、Apple、Amazon、Alphabet(Googleの親会社)、Facebookをはじめ、IT業界やハイテク業界の最先端企業が数多く上場しています。
これらの業界の動向を把握する際には、重要な指標の一つとしてこのNASDAQ総合指数をチェックするといいでしょう。
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欧州の株価指数
続いて、欧州の株価指数についても見ていきましょう。
DAX30指数
DAX30指数(ドイツ株価指数)とは、ドイツを代表する株価指数で、フランクフルト証券取引所の上場銘柄のうち主要30銘柄を対象にした株価指数です。1987年12月31日の株価を1000ポイントとした時価総額加重平均で算出されています。
FTSE100指数
FTSE100指数とは、フィナンシャル・タイムズ社(FT社)とロンドン証券取引所(LSE)の共同出資によって設立されたFTSEが公表している、英国を代表する株価指数です。構成銘柄には、ロンドン証券取引所に上場している企業から、時価総額の大きい100銘柄が選定されています。基準日の1983年12月31日における浮動株ベースの時価総額を1,000として、現在の時価総額がいくらになっているかを示しています。
CAC40指数
CAC40指数とは、フランスを代表する株価指数で、ユーロネクスト・パリ(旧パリ証券取引所)の上場銘柄のうち主要40銘柄を対象にした株価指数です。1987年12月31日の株価を1000ポイントとした時価総額加重平均で算出されています。
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アジアの株価指数
最後に、アジアの代表的な株価指数について紹介していきます。
ハンセン指数(香港)
ハンセン指数とは、香港取引所で取引される銘柄のうち2021年8月8日時点で58銘柄*2 を時価総額加重平均で算出した指数のことをいいます。1964年7月31日を基準(100)とし、ハンセンインデックス・サービス社が公表しています。構成銘柄には、香港証券取引所における主要銘柄が採用されています。しかし今後銘柄数に関しては、2022年までに80銘柄に増やすことが計画されています*3。
上海総合指数
上海総合指数とは、上海証券取引所が公表している中国本土を代表する株価指数です。構成銘柄には、中国本土の上海証券取引所・深セン取引所における人民元建ての中国A株と外貨建ての中国B株の全てが対象となっています。基準日の1990年12月19日における時価総額を100として、現在の時価総額がいくらになっているかを示しています。
日経アジア300指数
日経アジア300指数とは、日本経済新聞社が公表しているアジアの経済動向を総合的に示すことを目的とした株価指数です。アジア11カ国・地域(中国・香港・台湾・韓国・インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナム・インド)の企業を対象に、日本経済新聞社が時価総額や成長性を基準に選定した約300社の有力上場企業群「Asia300」の株価を米ドル換算し、時価総額加重平均で算出しています。基準日の2015年12月1日の浮動株ベースの時価総額を1,000として、現在の時価総額がいくらになっているかを示しています。
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世界の株価指数をチェックしよう
経済のグローバル化が進んでいる現代において、各国の経済はお互いに影響し合っています。
そのため、世界の株価指数からグローバルな経済状況を把握することは、資産運用を考える上でとても大切と言えます。
日本を中心に投資をしているという人も、日本経済の動向だけを見ていれば十分というわけではありません。
グローバルに経済の動向をチェックしながら、どのような影響を日本経済が受けるのかを意識しておきたいところです。
また、世界の株価指数をベンチマークとする投資信託も数多くあります。
こういったものをうまく利用すれば、グローバルな目線を養っていくと同時に、投資対象の幅を世界へと広げていくこともできるかもしれません。
*1 出所)日本取引所グループ「市場構造の見直し」
*2 出所)Bloomberg「香港 ハンセン指数」
*3 出所)Bloomberg「香港ハンセン指数に大幅な変更、構成銘柄は52社から80社に増加へ」
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三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員