ポイント
平均寿命が延びたことで「人生100年時代」と言われるようになりました。退職後のセカンドライフを豊かなものにするには、若いうちから資産形成に取り組む必要があります。
また、退職して老後を迎えた後も、NISAなどを活用しながら資産運用を継続してお金の寿命(資産寿命)を延ばすことが大切です。
今回は、NISAを活用して資産寿命を延ばす方法について解説します。
資産寿命とは
資産寿命とは、「生命寿命」や「健康寿命」と関連して、老後の生活を営んでいくにあたってこれまで形成してきた資産が尽きるまでの期間のことです。資産寿命が尽きた後は、年金等の収入のみで生活していくことになります。
金融庁が発表した報告書では、「長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要」との考え方が示されています。*1
厚生労働省の簡易生命表によれば、2019年の平均寿命は男性が81.41年、女性が87.45年です。*2
60歳時点で男女ともに平均余命は20年以上で、平均寿命より長生きする可能性もあることから、人生100年を見据えたマネープランが必要となります。
年金のみでは生活費が不足するリスクがあるため、資産形成や資産寿命を延ばすことの重要性は増していると言えるでしょう。
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「運用しながら取り崩す」で資産寿命は延ばせる
少しでも資産寿命を延ばすには、老後も資産運用を継続しながら計画的に資産を取り崩すことが有効な対策となります。
金融庁の資料では、ライフステージを「現役期」「リタイヤ期前後」「高齢期」の3つに区分し、現役期には長期・積立・分散投資などによる安定的な資産形成に取り組むこと、リタイヤ期前後と高齢期には資産運用の継続と計画的な取崩しを行うことを提案しています。*3
元金2,400万円を65歳から毎月13万円ずつ取り崩した場合のシミュレーション結果を確認してみましょう。
まったく運用せずに取り崩すと、約80歳で資産は底をつくことになります。
一方で、年3%で運用した場合は約84歳でゼロに、年5%で運用した場合は約88歳でゼロになります。*4
あくまでもシミュレーション結果であり、実際に何歳まで資産寿命を延ばせるかは保有資産や運用状況によって変わってきます。それでも、貯蓄のみより運用を継続することで、資産寿命を延ばせる可能性は高まります。
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資産寿命を延ばすためにNISAを活用する
NISA(少額投資非課税制度)とは、個人投資家のための税制優遇制度です。投資信託などの金融商品に投資した場合、売却益や分配金などの運用益には約20%の税金がかかります。しかし、NISA口座内で購入した金融商品については、運用益に税金はかかりません。
運用がうまくいけば税金分だけ手元に残るお金が増えるため、NISAを活用すればさらに資産寿命を延ばすことが可能となります。NISAは中途換金が可能で、まとまったお金が必要になればいつでも保有資産の一部を売却して引き出すことができます。
老後の資産運用でNISAを使う場合は、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2つが選択肢となります。
一般NISAは年120万円まで投資が可能で、5年間で最大600万円を非課税で運用できます。投資信託をはじめ、上場株式、ETF(上場投資信託)、J-REIT(不動産投資信託)なども非課税の対象です。*5
つみたてNISAは年40万円まで投資が可能で、20年間で最大800万円を非課税で運用できます。つみたてNISAは、金融商品の買付け方法が積立投資に限定されているのが特徴です。対象商品は安定的な資産形成に適した商品となるように、「販売手数料ゼロ(ノーロード)」「信託報酬が一定水準以下」などの条件が設定されています。*6
一般NISAとつみたてNISAは併用できないため、どちらか一方を選択する必要があります。
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一般NISAとつみたてNISAはどっちを選ぶ?
資産寿命を延ばすことを目的にNISAを使う場合、一般NISAとつみたてNISAのどちらを選べばよいのでしょうか。どちらもメリット・デメリットがあるため、年齢や収入、保有資産の状況などに応じて判断するといいでしょう。
たとえば、退職直後でまとまったお金を資産運用に回せる場合は、非課税投資枠が大きい一般NISAがいいかもしれません。上場株式やETFなど、投資信託以外の金融商品で運用したい場合も一般NISAを検討すると良いでしょう。
一方で、少額から積立投資で運用を続けたい場合はつみたてNISAを検討するのが良く、仮に現在の年齢が60歳前後であっても、つみたてNISAで20年間運用を続ければ80歳前後となり、今から始めても遅くはないでしょう。つみたてNISAは対象商品が長期・分散・積立投資に適した投資信託に限定されているので、初心者でも安心して始められます。
一般NISAとつみたてNISAは年単位で変更できるので、まずは気になるほうから始めてみるのも一つの方法です。
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老後の資産運用はリスクの取りすぎに注意する
資産寿命を延ばすことは大切ですが、老後の資産運用ではリスクの取りすぎに注意が必要です。
投資信託などの金融商品は、預貯金のように元本は保証されていません。運用がうまくいけば資産を増やせますが、状況によっては損失が発生する可能性もあります。リスクを取りすぎると、かえって資産寿命を縮めることになりかねません。
大切な資産を守るためにも、まずは十分な預貯金を確保し、無理のない範囲で運用を続けるようにしましょう。
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NISAを有効活用して資産寿命を延ばそう
退職後も資産運用を継続して資産寿命を延ばすことが、老後の資金不足への備えとなります。運用益が非課税になるNISAを活用すれば、さらに資産寿命を延ばせるかもしれません。リスクの取りすぎは禁物ですが、老後も無理のない範囲で資産運用を継続することを考えておきましょう。
*1 出所)金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」P21
*2 出所)厚生労働省「簡易生命表(2019年)1 主な年齢の平均余命」
*3 出所)金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」概要
*4 出所)三菱UFJ国際投信「資産運用の必要性の巻」
*5 出所)金融庁「NISAの概要」
*6 出所)金融庁「つみたてNISAの概要」
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三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員