投資信託を購入するときは、販売会社から「目論見書(もくろみしょ)」という書類が交付されます。
目論見書には投資判断に必要な情報が記載されていますが、投資初心者の方にとっては難しい言葉や表現も含まれています。そのため、目論見書を読んでも「意味がよくわからない」と感じるかもしれません。
しかし、目論見書の構成やチェックポイントを知っておけば内容を理解しやすくなります。
今回は、目論見書の概要や種類、読み方について解説します。
投資信託の目論見書とは
目論見書とは、投資信託に関する重要な情報を投資家に伝えるための書面です。投資信託を購入するまでに、または購入と同時に投資家に交付するよう決められています。*1
運用会社が作成し、販売会社を通じて投資信託の購入者に交付されます。
目論見書にはファンドの目的や運用実績、投資リスク、手数料や費用など、投資信託の購入判断に必要な情報が記載されています。
投資信託を検討する際は目論見書に目を通し、そのファンドの特徴を理解した上で購入することが大切です。
(目次へ戻る)
交付目論見書と請求目論見書の2種類がある
投資信託の目論見書は投資信託説明書とも言われ、「交付目論見書」と「請求目論見書」の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。*2
- 交付目論見書:投資信託を購入する際に必ず投資家に交付される
- 請求目論見書:投資家から請求があった場合に交付される
交付目論見書には投資判断に必要な重要事項等が記載されています。投資信託を購入する際にあらかじめ、または同時に交付することが義務付けられています。
一方、請求目論見書は証券情報や経理状況など、交付目論見書に書かれている事項の詳細な情報が記載されており、投資家からの請求に基づいて交付されます。
初めて投資信託を購入する場合は、まず交付目論見書の構成や読み方を理解することを目指しましょう。
(目次へ戻る)
「電子交付サービス」を活用すると便利
投資信託の目論見書は、従来は紙媒体(郵送を含む)で交付されていました。
しかし、現在は証券会社や銀行といった金融機関の窓口だけでなく、パソコンやスマホから投資信託が購入できるようになりました。
そのため、インターネット上で目論見書が交付・閲覧できる「電子交付サービス」も用意されています。*3
目論見書には有効期限があり、定期的に新しいものに更新されます。
積立投資などで投資信託を店頭で追加購入する場合、目論見書の有効期限が切れていると再度交付されます。電子交付サービスを活用すれば、常に最新の目論見書の交付・閲覧が可能となるので便利です。
インターネット等を通じてオンラインで投資信託の取引を行う場合は、電子交付サービスの利用を検討しましょう。
(目次へ戻る)
交付目論見書の主なチェックポイント
実際に交付目論見書を読むときは、どのような内容を確認すればよいのでしょうか。交付目論見書は、主に以下5つの項目で構成されています。
- 表紙
- ファンドの目的・特色
- 投資リスク
- 運用実績
- 手続・手数料等
基本的にこれらの記載項目や記載順序は統一されているため、複数のファンドを比較するときに活用できます。各項目の主なチェックポイントを確認していきましょう。
表紙
表紙にはファンドの内容が簡潔にまとめられています。確認しておきたい項目は以下の通りです。
- ファンド名称
- 商品分類
- 属性区分
- 委託会社等の情報
ファンド名称や商品分類、属性区分から、ファンドの投資対象資産・地域、決算頻度などの基本情報がわかります。
また、投資信託の運用を行う委託会社(運用会社)等の情報も記載されています。大切な資産の運用を任せることになるので、会社の規模などをホームページで確認しておくといいでしょう。
ファンドの目的・特色
ファンドの目的には、投資対象資産や目標とする投資成果など、そのファンドの運用目的が簡潔に記載されています。購入を検討しているファンドの目的と自身の投資ニーズが合致しているかを確認しましょう。
ファンドの特色では、運用プロセスや具体的な投資対象資産など、ファンドの目的を達成するための運用方法が記載されています。
また、ファンドの仕組みや投資制限、分配方針についても説明されています。
運用期間が長期にわたる場合は、分配金を出さずに利益を元本に組み込んで運用を継続するほうが、利益が増幅していく複利効果が期待できます。*4
投資信託を活用した資産形成では、分配方針(決算月・回数、分配金が出るか)は重要なチェックポイントと言えるでしょう。
投資リスク
投資リスクでは、基準価額の変動要因について詳しい説明が記載されています。
投資信託は預貯金とは異なり、元本が保証されていません。基準価額が変動するため、運用がうまくいけば利益を得られますが、状況によっては損失が生じる可能性もあります。
リスクの内容を理解した上で、無理のない範囲で投資に取り組むことが大切です。
運用実績
運用実績では、基準価額や純資産、分配金の推移が確認できます。将来も同じように推移するとは限りませんが、投資判断の材料として過去の傾向を把握することは重要です。
また、主要な資産の状況として、組入上位銘柄や業種、組入比率などが記載されており、ファンドの具体的な投資先がわかります。
手続・手数料等
手続・手数料等では、投資信託の購入・換金・申込の手続き、ファンドの費用、税金について詳しく記載されています。特に確認しておきたいのがファンドの費用です。
投資信託を売買するときは、ファンドによっては購入時手数料や信託財産留保額といった費用がかかる場合があります。また、投資信託を保有している間は信託報酬(運用管理費用)や監査費用などの負担も生じます。
投資信託の運用コストは投資成果に大きな影響を与えるため、目論見書で運用コストを確認し、なるべくコストの低いファンドを選ぶことが大切です。
(目次へ戻る)
目論見書の読み方を知って資産形成に活かそう
目論見書の読み方がわかると投資信託の内容が理解できるため、自身に合ったファンドを見つけやすくなります。
この記事で紹介した内容を参考に、まずは交付目論見書(投資信託説明書)を読み解くことから始めてみましょう。
*1 出所)三菱UFJ国際投信「目論見書を読み解くガイド(目論見書用語集)」
*2 出所)一般社団法人 投資信託協会「目論見書」
*3 出所)三菱UFJモルガンスタンレー証券「電子交付サービス」
*4 出所)金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック(Lesson6 分配金の影響について学ぼう!)」
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員