株式投資の経験はなくても、「株主優待」という言葉を聞いたことがある人はいるかもしれません。
しかし、何となく「株主が優待品を受け取れるお得な制度」という認識はあっても、具体的な内容まではよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
株主優待への理解が深まれば、優待品を受け取りながら楽しく資産形成に取り組める動機づけの一つにすることができるでしょう。
そこで今回は、株主優待の仕組みや取得方法、注意点について詳しく解説します。
株主優待とはどんな制度?
株主優待とは、上場企業が株主に対して品物やサービスを提供する制度です。株主優待を実施している企業の株主になると、定期的に優待品を受け取れます。
優待内容は自社商品や食事券、割引券、お米、金券などさまざまです。中には株主優待だけの限定品を用意している企業もあります。
上場会社約3,700社(2021年2月末現在)のうち、株主優待実施企業は約1,500社です。約4割の上場企業が株主優待を実施しています。*1 *2
株主優待の実施目的は企業によって異なりますが、
「安定株主の獲得」
「株主への利益還元」
「自社商品・サービスのPR」
などが考えられます。
株主優待の内容は、各企業のIR情報や証券会社の株主優待検索機能などで確認できます。
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株主優待を取得する方法
株主優待を取得するには、権利付き最終日(権利確定日の2営業日前)までに優待取得に必要な株数を購入しなくてはなりません。
権利確定日とは、株主としての権利が確定する日のことです。
たとえば、100株保有で自社商品を受け取れる企業であれば、権利付き最終日までに100株購入する必要があります。
権利落ち日(権利付き最終日の翌営業日)以降は、株式を売却しても優待品を受け取ることが可能です。
ただし、次の権利付き最終日までに再度株式を購入しないと、次回の株主優待は取得できません。
株主優待の取得条件は企業によって異なる
株主優待の取得に必要な株数は、企業によって異なります。
たとえば、100株保有で優待品を受け取れる企業もあれば、200株必要な企業もあります。
また、「100株保有で1,000円相当、300株で3,000円相当の自社商品」のように、保有株数に応じて優待内容が変わるケースもあります。株式を購入する際に、事前に優待の取得条件を確認しておくのも良いでしょう。
優待品が届くまでに数ヵ月かかる
株主優待は、株式を購入後すぐに受け取れるわけではありません。通常は、権利が確定してから優待品が届くまでに数ヵ月かかります。
企業のホームページ(IR情報)に優待品が届くまでのスケジュールが案内されている場合もあるので、確認しておくといいでしょう。
権利確定日は月末とは限らない
上場企業の権利確定日は月末に集中していますが、中には15日や20日が権利確定日の企業もあります。
権利確定月だけに注目していると、権利付き最終日までに株式を購入できない恐れがあるので注意が必要です。
長期保有継続特典を提供している企業もある
株主優待に「長期保有継続特典」を提供している企業もあります。
長期保有継続特典とは、株式を一定期間以上保有し続けると、株主優待の内容がアップする特典です。
たとえば、「100株保有で1,000円分の買い物券を進呈(1年以上の継続保有で+1,000円分)」といった具合です。
株主優待銘柄を選ぶときは、長期保有継続特典に注目するのも一つの方法です。
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株主優待のメリット、デメリット
株主優待のメリットは以下の通りです。
株式を長期保有する動機になる
株価は常に変動しており、さまざまな要因に左右されるので、売却益を得るために売買タイミングを判断するのは簡単ではありません。
定期的に届く優待品を楽しみながら、長期的な視点で株式投資に取り組めます。
うまく運用できれば配当金や売却益も得られるため、資産を増やせる可能性があります。
投資先企業の商品・サービスを知ることができる
株主優待は、投資先企業の商品・サービスを理解するきっかけにもなります。
実際に商品やサービスを利用することで企業への理解が深まり、投資を継続するか判断しやすくなるでしょう。
優待内容が自社商品・サービスの場合は、価値や利便性などを考えながら利用するといいかもしれません。
一方で、デメリットもあります。
元本割れリスクがある
株主優待があるといっても、株式投資である以上は元本割れリスクがあります。
定期的に優待品をもらえるのは魅力ですが、株価が下がって優待品の価値を超える損失が生じる可能性もあります。
預貯金のように元本が保証されているわけではないので、余裕資金で投資を行うことが大切です。
優待の変更・廃止リスクがある
株主優待は途中で優待内容が変更されたり、廃止されたりするリスクがあります。
優待の縮小や廃止が発表されると、一時的に株価が下落することもあるので注意が必要です。優待内容に変更がないか定期的に確認しておきましょう。
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株主優待の注意点
株主優待だけに注目しない
株主優待だけに注目せず、業績や将来性なども考慮して投資銘柄を選ぶことが大切です。
優待品が魅力的だったとしても、株価の動向によっては損失が生じる可能性があります。
また、業績が悪化すると、コスト削減のために優待廃止のリスクが高まります。
株主優待を銘柄選びの基準の一つにするのは問題ありませんが、業績なども確認した上で投資判断を行いましょう。
分散投資を心掛ける
分散投資とは、1つの銘柄だけに投資するのではなく、投資対象を広く分散させることです。
複数の銘柄に投資を行うことで、資産全体の値動きが小さくなり、リスクを軽減させる効果が、が期待されます。
株主優待銘柄にも元本割れリスクがあるので、幅広い銘柄に投資を行い、リスク低減を図ることが大切です。
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まとめ
株主優待は、企業から定期的に優待品を受け取れるのが魅力です。
銘柄選びの基準の一つに株主優待を加えることで、優待品を楽しみながら株式を長期保有できるかもしれません。
*1 出所)日本取引所グループ「上場会社数・上場株式数」
*2 出所)auカブコム証券「株主優待の魅力」
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