テレワークで電気代が増加?知っておきたい在宅ワークの節約術と非課税税制

テレワークで電気代が増加?知っておきたい在宅ワークの節約術と非課税税制

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、仕事がテレワークに切り替わったという人も多いのではないでしょうか。
通勤が必要なくなり家族と過ごす時間が増えた、対人関係のストレスが減った、気持ちに余裕ができたなど、テレワークならではのメリットを感じている方もいるかも知れません。

しかし、在宅での仕事には良い面だけでなくマイナス面も存在します。そのひとつに、「在宅ワークによる出費の増加」が挙げられるでしょう。

そこで今回は、在宅ワークで増えがちな出費を紹介し、ちょっとした意識と工夫で可能な節約法をご紹介してまいります。

増加する在宅ワーカー

在宅ワーカーは、大きく2種類に分けられます。
ひとつは「雇用型」で、企業に雇用されている従業員が該当します。
もうひとつは「自営型」で、個人で独立して仕事をしているフリーランスなどの人を指します。
新型コロナウイルスの影響で2020年度から増えているのが、前者の「雇用型テレワーカー」でしょう。

厚生労働省の資料「テレワークを巡る現状について」によると、2020年度、企業のテレワーク人口は大幅な伸びを見せています。
また、企業規模が大きくなるほどテレワークの導入に積極的な傾向にあり、従業員300人以上の企業では2020年の5~6月時点で9割もの企業がテレワークを実施しています。

出所)厚生労働省「テレワークを巡る現状について」p4

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在宅ワークで出費増!その原因は?

在宅ワークにはさまざまな利点があります。
厚生労働省の調査によると、実際にテレワークを経験した人の回答では以下のようなものが上位にあがりました。*1
通勤時間を有効活用できる(79.0%)
ストレスが軽減される(37.5%)
無駄な会議が減った(35.0%)
家事を両立しやすい(30.3%)

逆に、テレワークで感じたデメリットとしては、
運動不足になる(46.8%)
社内コミュニケーションが減った(45.3%)
プリンターやスキャナーがなく、紙の書類のやり取りができない(40.8%)
勤務時間の線引きが難しい(29.0%)

などの意見がありました。

出所)厚生労働省「テレワークを巡る現状について」P7

ここで注目したいのが、「通信光熱費が増えた(22.5%)」という回答です。

確かに在宅ワークでは家にいる時間が増えるため、これまでより家電を使う頻度が増えることが考えられます。
そのうえ、夫婦ともにテレワークだったり、大学生の子どもがオンライン授業を受けたりして、複数の部屋でエアコンや照明、パソコンを使用するケースもあるでしょう。
そのために、例年に比べて電気料金が大幅に上がってしまったご家庭も少なくないと思います。

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在宅ワークのコストはこうして節約しよう!

在宅ワークでかさみやすい出費としては、前述のように通信費や電気料金のほか、テレワーク環境を整えるための初期費用、日々の食費などがあります。
ここではとくに、削減しやすい通信費や電気料金の節約法について詳しく見ていきましょう。

通信費

最初に注目したいのは、通信費です。
通信費は一度見直しをすると、その後も継続的にコストダウンがはかれるため大きな効果が期待できます
通信費の削減で重要なことは、以下のとおりです。

  • 自宅の通信費を正確に把握する
  • 過剰なサービスを契約していないか点検する
  • 他事業者と料金やサービス内容を比較する
  • 自宅にWi-Fiを引く

最初に、家庭の通信費が月々いくらかかっているのか、正確な金額を調べましょう。
契約から何年も経っていると、自宅の電話料金やプロバイダ料金が一体いくらなのか忘れてしまっている人も多くいます。
ほとんど使っていないサービスに加入していないか、余裕を持ちすぎて過剰なサービスを契約していないか。状況によっては、他のサービス事業者とサービス内容や料金を比較検討することも重要です。
自宅にWi-Fi環境を整備していない場合には、テレワークの頻度によっては導入を検討しても良いかも知れません。
自宅でスマートフォンを使用するときはWi-Fiに接続しデータ通信量を大きく減らすことで、より安いプランに切り替えることも可能になります。

冷暖房費の節約

次に、冷暖房費の節約です。
夏季や冬季はエアコンの使用が欠かせず、冷暖房費が家計を圧迫しがちです。
エアコンの電気使用量は、環境や温度設定によって思いのほか変わってくるため、ぜひ節約のポイントをおさえておきましょう。

  • サーキュレーターを併用し空気を循環させる
  • 室外機の周辺に物を置かない
  • カーテンやすだれを活用する
  • エアコンのフィルター掃除をこまめに
  • 適切な温度設定

エアコンはサーキュレーターを併用することで冷暖房の効果を高めることができ、電気代の削減が期待できます。
また、カーテンやすだれを利用すれば、夏は直射日光をブロックし、冬は冷たい外気を遮断して電気代カットに役立ちます。床まで長さがある厚めのカーテンを使えば、より効果的です。
さらに、フィルターに埃がたまっているとエアコンの効きが悪くなり電気代を圧迫する大きな原因となります。定期的なフィルター掃除を心がけましょう。
エアコンは設定温度によって電気使用量が異なってきます。
資源エネルギー庁によると、夏の冷房時は設定温度を27℃から28℃にすると年間820円、冬の暖房時は室温21℃から20℃にすると年間1,430円の節約になります。
さらに、冷房の使用を1日1時間減らすと年間で510円、暖房の場合は1,100円の節約になります。*2
エアコンの電気代は少しの工夫で節減できるため、ぜひ実践していきましょう。

家電の省エネのポイント

エアコン以外の家電でも、ちょっとした手間で節約が可能になるものがたくさんあります。
たとえば冷蔵庫は、ものを詰め込み過ぎない、開閉の回数を減らす、設定温度を変える、熱い物は冷ましてから入れるなどの工夫で、電気消費量を減らすことができます。
設定温度については、購入時のまま一度も操作したことがないという方もいるかもしれません。しかし「強」から「中」に変えるだけで年間1,670円のコストカットに繋がりますので、食材の傷みにも注意しながら適切な温度管理に努めて下さい。
また、中に入れる食材を半分にすると年間1,180円の節約になりますので、詰め込み過ぎには十分注意しましょう。*3

部屋の照明も、この機会に見直してみましょう。
白熱電球を使用している場合、電球型蛍光ランプに取り替えると年間2,270円、電球型LEDランプに取り替えると2,430円の節約になります。*4
パソコンも、使わないときはしっかり電源を切るようにしましょう。
パソコンの利用時間を1日1時間カットすると、デスクトップなら年間850円、ノートパソコンなら150円の節約になります。*5

これまでの習慣を変えるのは面倒かもしれませんが、これらのことを実践すれば電気の使用量を確実に減らすことができます。
ストレスに感じるほどの無理な節約はおすすめできませんが、こうした日常の細かい部分で節約を意識することは、家計管理において非常に大切なことです。
できることから少しずつ取り入れてみてください。

家電を買い替えるときのポイント

家電を買い替える機会があれば、省エネ性能の高い製品を選ぶことで電気代カットにつながります。
たとえば冷蔵庫は24時間365日電気を使い続けるため、家庭の電気消費量の多くを占める家電です。
現在販売されている冷蔵庫は、10年前の製品に比べて消費電力量が半分程度しかかかりません。そのため、古い製品を使用している方は最新の冷蔵庫に買い替えるだけで大きな節約効果が見込めます。*6

電気屋さんで、冷蔵庫やエアコンに下記のような「省エネラベル」が表示されているのを目にしたことがある人も多いかも知れません。

出所)経済産業省・資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ 2020年版(家庭用)」P59

一般的に、省エネ基準達成率が高いほど省エネ性に優れているため、家電を選ぶ際の参考にしましょう。

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テレワークの通信費や電気代が非課税に?

現在、テレワークの浸透にともない、在宅勤務の従業員に対し一定額の手当を支給する企業が増えつつあります。
2021年1月、政府はこの「テレワーク手当」の一部を非課税にする方針を発表しました。

非課税の対象となる金額は、業務のために使用した分を計算して弾き出します。
通話料の場合は明細書によって業務にかかった分の仕訳をしたり、電気料金の場合は仕事部屋の床面積から割り出したりと、合理的に計算ができるようこまかく算出方法が決められています。*7

たとえば電気料金の場合は、以下の式で求めます。

たとえば、この算式で非課税枠が月4,000円となりテレワーク手当が月5,000円の場合、4,000円分は非課税となり、残りの1,000円のみに課税されることとなります。
上手に使うことで、節税効果も期待できるでしょう。

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まとめ

無駄遣いしている自覚はないのに、なぜか家計がマイナスになっている。
そのように感じたら、もしかしたら在宅ワークの影響で増えてしまった支出があるかもしれません。

この記事では、在宅ワークで増えやすい電気料金や通信費について、簡単に実践できる節約法をいくつかご紹介しました。
一つ一つの節約効果は小さいかもしれませんが、根気よく節約を積み重ねることで少しずつ出費を削減していくことができます。

在宅ワークをきっかけとしてこれらの支出を見直し、節約体質を身につけていきましょう。

*1 出所)厚生労働省「テレワークを巡る現状について」P6-7

*2 出所)経済産業省・資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約-エアコン

*3 出所)経済産業省・資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約-冷蔵庫

*4 出所)経済産業省・資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約-照明

*5 出所)経済産業省・資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約-パソコン

*6 出所)経済産業省・資源エネルギー庁「省エネ家電を選びましょう!-冷蔵庫

*7 出所)国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)

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