資産運用の出口戦略とは?

資産運用の出口戦略とは?

資産運用は「始めることよりも終わらせることの方が難しい」といわれます。
自分の老後に備えてコツコツと投資信託などを買い続けてきたものの、その出口(資産の売却)についてはそのタイミングや方法がよく分からないと相談を受けることが多くあります。
そこで、今回は資産運用の終わらせ方(出口戦略)についてお伝えしていきます。

お金が必要になるまで運用を続ける

「日経平均株価が30年ぶりに3万円を突破した」「NYダウは連日新高値更新中」などのニュースをきくと、保有する投資信託などを売却して利益確定した方が良いのではと考える人も多いかもしれません。特に自分の老後が近い場合、ここで利益を確保して運用資金を引き上げておいた方が良いのではないか、と悩むのも至極当然です。

もちろん長期的な価値の上昇が期待できず、どこかで売却した方が良い投資対象も多くあります。例えば、個別株やテーマ型の投資信託で運用している場合には然るべき時期に売却して利益を確保した方が良いケースも多いでしょう。

一方で、筆者がお勧めしている「長期的に価値が増えていく資産に時間をかけて投資していくスタイル(長期の国際分散投資)」ならば、相場動向にかかわらず運用を継続しながら、お金が必要になる時期に合わせて売却することで問題はありません。使いきれなかった資産は次世代へそのまま引き継げば良いのです。

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誰にもベストな売却時期は分からない

運用資産を売却する場合、評価額が高いうちに売却したいと考えるのは当然ですが、株価下落時に最安値で投資することが難しいのと同様に、ベストなタイミングを見極めて売却することは不可能です。
「もう少し上昇するだろう」と期待して待っているうちに下落することや、「そろそろピークではないか」と売ってしまうとさらに上昇を続けて後悔することはよくあります。

そこで大事になってくるのが、売却タイミングを分散することです。
想定外の事態に備えるために一定の流動性資金を確保しながら、お金が必要となる時期に合わせて運用資産を少しずつ売却していくのです。
どのようなペースで売却していくか判断するためには、将来のキャッシュフローを把握して、「いつ」「どれくらい」の資金が必要になるのか確認します。

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老後の資金計画の作り方

役職定年などにより収入が減少しはじめる時期の5年くらい前から徐々に準備を始めるのが良いでしょう。これは大きな金融危機が発生してしまうと回復するまでに5年くらいかかってしまうからです。
収入のピークが50代半ばであれば50歳くらいから老後の資金計画について検討を開始します。

ここでのポイントは「公的年金をどのように受給するのか」方針を明確にしておくことです。
想定より長生きして資金が枯渇するリスク(長生きリスク)に備える必要性が高まっているなか、まずは働けるうちは働いて収入を確保することが最善の対策です。
そして、次善の策としては老後のために準備してきた資産を活用しながら、公的年金の受給を先送りすることです。
公的年金は受取時期を遅らせることで、もらえる年金額が増える仕組みになっています。たとえば、70歳までは貯めてきた資産を取り崩して生活し、70歳から年金受取を開始すると、65歳時点よりも42%増額された年金額を死亡するまでもらうことが可能になります。
個人の状況に応じて柔軟に選択できる公的年金の特徴を上手に活かして、ライフプランを整理し資金計画を組み立てていきます。
具体的には将来の家計収支を想定して、お金の流れを見える化し、次に保有資産、預金、個人年金、企業年金などの受け取りの時期を整理します。そして、いつから、年間いくらくらいのペースで、運用資産を取り崩していくか検討します。

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インカム収入が期待できる資産への組み換えも有効

定期的な売却により運用資産の総額を減らしていく以外にも、老後の資産運用において有効な選択肢があります。
それは、分配金や配当などインカム収入が期待できる資産へ組み換えることです。
現在の市場環境でもETF(上場投資信託)を活用することで3%前後の配当を定期的に受け取っていくことが可能です。
公募の投資信託に毎月分配型の商品もありますが、元本を大きく取り崩して分配金を出しているファンドや運用コストの高い商品が多いため、ETFを活用する方が効率的です。

他にもリスクコントロールを重視した資産構成へ組み換えることも有効です。
20~30年の超長期運用が可能な30代、40代と異なり、リタイア前後の世代は運用可能期間が相対的に短くなります。すると、現役世代に比べると許容できるリスクも小さくなるでしょう。
そのため、株式中心の資産構成から債券や預金など安全資産の比率を増やして値動きの小さい資産構成に組み替えることも合理的です。
株式中心の運用を継続するとしても、新興国の比率を減らし先進国の比率を引き上げることや、海外資産中心であれば一部を為替ヘッジのあるタイプへ組み換えることにより、リスクコントロールを重視した運用に移行していくことも有効な選択肢となります。

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ベストな出口戦略は各個人で大きく異なる

資産運用の出口戦略は相場の先行きを予想して売却のタイミングを考えることではありません。ライフプランや資金計画を整理しながら、資産運用の終わらせ方(出口戦略)を早めに計画して、時間分散をしながら取り組むことが重要です。
最適な資産運用の終わらせ方(出口戦略)は個人によって大きく変わってきます。
どのような金融商品やサービスを利用するかだけでなく、働き方などライフスタイル、年金受取方法など多くの要因をパズルのように組み合わせながら複合的な視点で考えることが大切です。

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・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

三菱UFJ国際投信株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

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