高齢者などを狙う投資詐欺に十分注意を よくある手口と対策方法を再確認しよう

高齢者などを狙う投資詐欺に十分注意を よくある手口と対策方法を再確認しよう

老後の生活資金となる退職金など、まとまったお金を手にした個人の方を主なターゲットとして、さまざまな手口による投資詐欺が横行しています。

投資詐欺の被害に遭わないためには、投資詐欺のよくある手口や、怪しいと判断できるポイントについてよく理解しておくことが大切です。

今回は、過去から近年に亘って多数の被害事例が報告されている投資詐欺について、個人の方々が注意しておくべきポイントを解説します。

投資詐欺の実態|ターゲットは高齢者が中心

出所)政府広報オンライン「投資詐欺にご注意を

政府の公表資料によると、2014年・2015年の2年間において、金融庁に寄せられた投資詐欺に関する相談は5,431件に上り、そのうち2,279件で具体的な被害が発生しています。

年代別で見ると、60代以上からの相談が65.5%となっており、老後の生活資金をターゲットにした投資詐欺事例が多発していることが分かります。

退職金などでまとまった資金を得た方は、ご自身が投資詐欺のターゲットになりやすいことを十分に理解したうえで、日頃から警戒を怠らないことが大切です。

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投資詐欺に用いられやすい金融商品は?

投資詐欺に用いられるのは、往々にして「得体のしれない」金融商品であることがほとんどです。

世間に広く知られている金融商品(上場株式、上場投資信託など)であれば、詐欺的なスキームを組み込む余地はほぼありません。
これに対して、誰も知らないような金融商品であれば、詐欺グループは恣意的にスキームを操作して、投資家から搾取する仕組みを作り上げることができてしまいます。

投資詐欺に用いられることが多い金融商品の代表例としては、以下のものが挙げられます。

未公開株式

金融市場に上場されていない未公開株式には、客観的な価値である「市場価格」が存在しません。
未公開株式の価格は、会社と投資家の間の投資契約において、完全に合意ベースで決定されます。

つまり、勧誘されるままに相手の言い値で未公開株式に投資することは、価値がよくわからない金融商品に多額の資金を投入してしまうことを意味しますので、絶対に避けましょう。

投資詐欺事例では、未公開株式の発行元である会社が実際には存在せず、払い込みを受けた直後に会社を畳んで、出資金を持ち逃げしてしまうケースもよく見られます。

私募債

私募債とは、少数の投資家向けに直接発行されて引受ける社債のことです。

私募債は債券ですので、客観的な額面価格が存在します。
そのため、「株と違って債券だから安心」などという謳い文句で、私募債への投資を勧誘される事例が散見されます。

しかし、私募債の満期に投資した資金がきちんと全額償還されるかどうかは、私募債の発行者である会社の資力に完全に依存します。
つまり、満期の段階で発行者である会社に資金がなければ、私募債は償還されず、投資した資金は戻ってきません

私募債を用いた投資詐欺事例では、やはり発行者である会社が実在せず、首謀者が投資家から集めた資金を持ち逃げしてしまうケースが多発しています。

私募ファンド

私募ファンドを用いた投資スキームでは、投資専用の会社などを設立して、投資家からその会社に対する出資(匿名組合出資、優先出資、Limited Partnershipなど)を募ります。

私募ファンドの投資スキームは、金融機関や大規模事業会社などの機関投資家(プロ投資家)をターゲットとしているのが通常であり、個人投資家に向けた勧誘が行われることはまずありません

もし私募ファンドへの出資を勧誘された場合は、慎重に投資詐欺ではないかを見極める必要があります。

仮想通貨

仮想通貨は値上がり・値下がりの幅(ボラティリティ)が大きいことで知られているため、「一攫千金」を謳い文句に勧誘が行われることがしばしばあります。

しかし、仮想通貨の銘柄は玉石混交であり、発行者の信頼性が低い銘柄が大半です。
もし名前も知らないような仮想通貨への投資を勧誘されたら、投資詐欺の可能性が高いと考えておきましょう。

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よくある投資詐欺の謳い文句とは?

投資詐欺グループは、投資家が不安や欲を抱いていることを利用して、さまざまな謳い文句を駆使して巧みに粗悪な金融商品への投資を勧誘してきます。

特に、以下のような言葉で勧誘を受けた場合には、投資詐欺への警戒を高めましょう。

「絶対儲かる」「必ず儲かる」

あらゆる投資には、リスクとリターンの両面が存在します。
つまり、利回りの良い金融商品には、それ相応のリスクが伴うことが当然なのです。

したがって、高利回りにもかかわらず「絶対儲かる」「必ず儲かる」という謳い文句で金融商品を勧誘された場合、投資詐欺の可能性がきわめて高いと考えられます。

「あなただけに教えます」「今投資するのがお得です」

投資詐欺グループは、個人投資家に対して「この機会を逃すのは損」と思い込ませることによって、粗悪な金融商品への投資を決断させようとします。

その際、「あなただけ」「今だけ」などのワードによって、投資機会の特別感を演出する方法がよく用いられます
このようなワードを耳にした場合は、投資するかどうかの決断を保留して、本当にその金融商品に投資して良いかを立ち止まって考えましょう。

「有名人の○○さんも投資に参加しています」

投資詐欺に用いられる金融商品は、一般的に知られていることはほとんどありません。
投資詐欺グループは、無名な金融商品を信じ込ませるために、芸能人・スポーツ選手・インフルエンサーなどが投資に参加していることを、勧誘の際にアピールする場合があります。

しかし、有名人の知名度を利用した謳い文句は、別の問題として判断することが必要です。
仮に本当だったとしても、その金融商品が投資に適しているかどうかとは全く関係が無いことも少なくありません。このような誘いを受けた際は、一度冷静になって判断しましょう。

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投資詐欺を見分けるポイントは?

投資詐欺に引っかからないようにするには、勧誘されてもすぐに返事をせず、一度持ち帰ったうえで、以下のポイントについて確認・検討をすると良いでしょう。

リスクとリターンが釣り合っているかどうかを見極める

すでに言及したとおり、投資にはリスクとリターンの両面があるのが当然です。

したがって、殊更にリターンだけを強調した投資の勧誘を受けた場合、裏にどのようなリスクがあるのかを確認する必要があります

もし既存の金融商品(投資信託、国債など)に比べて、あまりにも投資家に有利な条件であるように見える場合には、隠された重大なリスクが存在することを警戒しましょう。

勧誘してきた人(会社)の情報を十分に調べる

投資詐欺グループは、詐欺について訴追されることを回避するため、ペーパーカンパニーを設立するなど、自分の素性を隠そうとします。

このことを踏まえると、勧誘者がどのような人(会社)であるのかを調べることが、ある程度投資詐欺に対する予防策になります。
もしインターネット上などで調査をした結果、勧誘者に対する情報がほとんど出てこなかった場合などには、投資詐欺の可能性を考える必要があるでしょう。

金融庁に相談するのも有効

金融庁では、投資詐欺などに関する相談を受け付ける窓口(金融サービス利用者相談室)を設置しています。

(参考:金融庁「金融サービス利用者相談室」)

ご自身が受けている投資勧誘が詐欺かどうか判断するのが難しい場合には、一度上記の窓口に連絡してアドバイスを受けることも有効でしょう。

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まとめ:うますぎる投資話には最大限の警戒を

投資家にとっていいことだらけに見える投資話は、裏に重大なリスクや搾取の仕組みが存在していることがほとんどです。
そのため、うまい投資話に対しては、まずは疑いの目を持って慎重な検討を行わなければなりません。

貴重な資産を守るのは自分自身であることを強く意識して、投資詐欺に対するアンテナを敏感に張っておきましょう。

・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。

・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

三菱UFJ国際投信株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

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