投資信託の購入や売却は基準価額をベースに行われますが、この基準価額は日々変動しています。
投資信託を保有するのであれば、なぜ基準価額が変動しているのか、その理由をきちんと把握しておきたいところです。
今回は、投資信託の変動要因について、基本的な知識を整理します。
変動要因を理解すれば、どのような時、どんな投資信託の価額が変動するのかが分かってきます。
投資信託を選ぶ上でのベースにもなる内容なので、ぜひ最後までチェックして下さい。
基準価額を変動させる3つの要素
投資信託は、投資家から集めた資金を1つにまとめて、運用の専門家が株式や債券、REITなどで運用する仕組みです。
運用によって、投資信託の純資産総額(投資信託の資産のうち投資家に帰属する部分)は変動していくことになります。
基準価額は投資信託1口あたりの金額のことで、投資信託の純資産総額を総口数で割った金額が基準価額となります。
なお、投資家が投資信託を購入する際は、購入時点の基準価額を基に算出した投資金額に相当する口数を保有することになります。
基準価額 = 純資産総額÷総口数
上記の計算式の通り、投資信託の純資産総額が増減すれば基準価額も増減します。
この純資産総額が変動する要因には、主に以下の3つの理由があります。
- 運用損益
- 分配金の支払い
- 運用費用の支払い
それぞれ見ていきましょう。
運用損益
運用損益は、基準価額の変動においてもっとも重要な要素です。
投資信託は投資家の資金を専門家が運用しますが、その運用によって純資産総額が日々変動していきます。
口数が同じという前提であれば、運用がうまくいけば純資産総額が増え、基準価額は上がり、運用がうまくいかなければ純資産総額が減り、基準価額は下がります。
分配金の支払い
投資信託を保有していると、投資家は分配金を受け取ることがあります。
この分配金は投資信託の資産から支払われるため、純資産総額が減り、基準価額は下がります。
分配金を受け取った分だけ基準価額が下がり、その分だけ現金化されることになります。
トータルで見ると同じ金額なので、分配金が多くても優れた投資信託とは限らないという点には注意しましょう。
運用費用の支払い
投資信託は専門家が運用を代行しており、それには費用がかかります。
こういった費用は投資信託の資産から支払われるため、純資産総額が減り基準価額は下がります。
なお、投資信託には、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)のような市場平均の運用成績を狙うインデックス型と、市場平均を上回る運用成績を狙うアクティブ型があります。
インデックス型に比べてアクティブ型の方が、運用費用が高くなる傾向が見られます。
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運用損益の発生要因を投資対象別に整理
投資信託の仕組みから3つの変動要因を紹介しましたが、その中でももっとも影響の大きいのが運用損益です。
この運用損益における変動要因についてさらに詳細に見ていきましょう。
投資信託では商品によって運用方針が異なり、運用損益が発生する要因も商品によって異なります。
そこで、投資信託を主要な投資対象に分類して、それぞれの運用損益の発生要因を整理していきます。
国内株式型
国内株式型は、日本企業の株式を投資対象として運用する投資信託で、日本企業の株価の動向に影響を受けます。
一般的に国内の景気が良くなれば日本企業の業績は上がり株価も上昇し、逆に国内の景気が悪くなれば日本企業の業績は下がり株価は下落します。
例えば、国内の景気は日本政府や日本銀行の政策の影響を受け、景気を浮揚させるような政策を行えば株価は上昇し、景気を抑制するような政策を行えば株価は下落します。
今後どのような政策が行われるかを先読みしながら、市場は推移していきます。
なお、現在は経済のグローバル化が進んでおり、国内経済だけでなく各国の経済動向により日本の景気は影響を受けます。
そのため、日本企業の株価の動向を確認する上では、国内だけでなく海外のニュースについても意識しておくことも大切です。
海外株式型
海外株式型は、海外企業の株式を投資対象として運用する投資信託です。
一口に海外と言っても、先進国を中心に投資をするもの、新興国を中心に投資をするもの、それらの複合型など、さまざまなものがあります。
そのため、投資対象となる国や地域の景気動向が大きな変動要因であり、その国の経済状況、政府や中央銀行の政策に大きく影響を受けることになります。
国や地域によって状況は異なるので、その国や地域の経済の特徴を理解しておかなければなりません。
また、海外への投資は外貨ベースで行われるため、為替の影響を受けます。
具体的には、投資する国や地域の通貨に対して円高になれば基準価額は下がり、円安になれば基準価額は上がります。
ただし、「為替ヘッジあり」の商品については、こういった為替の影響を低減されています。
国内債券型
国内債券型は、日本国債や日本企業の社債などを投資対象として運用する投資信託です。
これらの債券の価格変動を見る上では市場金利が重要です。
一般的に金利が上昇すれば債券価格は下落し、金利が下落すれば債券価格は上昇するという関係があるからです。
その他、景気が良ければ、企業業績が向上し株価が上がり、投資資金は株式に集中します。
これによって債券から投資資金が離れると、債券価格は下落します。
さらに、景気過熱の懸念が高まり日本銀行が金融引き締め(政策金利の引き上げなど)を行えば、債券価格の下落につながっていきます。
なお、景気が悪い場合はこの逆で、債券価格は上昇しやすい環境となります。
海外債券型
海外債券型は、外国政府や外国企業などが発行する債券を投資対象として運用する投資信託です。
債券価格は市場金利や景気の状況の影響を受けるので、投資対象国の市場金利や景気の状況、政府や中央銀行の政策について把握しておくことが求められます。
とくに投資対象国によっては、デフォルト(債務不履行)が発生したり、経済危機が起こったりするリスクの高いケースがあるので注意が必要です。
また、海外への投資となるので、「為替ヘッジなし」の商品については、為替変動の影響を受ける点にも頭に入れておきましょう。
バランス型
バランス型は、さまざまな投資対象に幅広く資金を配分して運用する投資信託です。
資産として組み入れる投資対象すべての影響を受けるため、変動要因は多岐にわたります。
これは、リスクが分散されるということでもあります。
ただし、バランス型とは言っても、商品によって投資対象の配分はさまざまです。
自分が投資する商品がどのような配分になっているかをきちんと把握して、その商品の性質を正しく理解しておくことが重要です。
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納得できる投資をするために
投資信託を購入すると、基準価額が変動することにより利益または損失が発生することになります。
投資で効率良く利益をあげていく上で、自分が保有する投資信託の変動要因を把握することはとても有効です。
投資信託では専門家が資金を運用してくれるため、日々の細かな市況を事細かに気にする必要はありません。
しかし、ずっと放置していればいいというわけでもなく、経済の流れに大きな変化があれば、保有する投資信託を変更した方がいいケースもあります。
「長期的にこうなると思うから、この投資信託を保有する」という意図を明確にしておけば、動くべきときに迷いなく動けるようになります。
変動要因を把握し意図を明確にしておけば、結果に関わらず納得のいく投資ができるようになるでしょう。
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員