「投資は怖い」は誤解か 金融リテラシーの高い人がやっている4つの習慣

「投資は怖い」は誤解か 金融リテラシーの高い人がやっている4つの習慣

金融リテラシーとは金融に関する知識を持ち、自身のお金・金融資産を適切に管理するための考え方を指します。
金融リテラシーが高い人とそうでない人を比べると、お金に関する行動様式に大きな違いが現れます。

家計をしっかりコントロールしたうえで計画的にお金を蓄え、時に投資で適切なリスクテイクを行い資産形成を成し遂げていく人。
対照的に、「お金がない」が口癖で、あったらあっただけ使ってしまったり、投資の元本割れを気にして「投資は怖い」という誤解を抱いてしまい第一歩が踏み出せない人。

両者の違いはどこにあるのでしょうか。
今回は金融広報中央委員会の運営する「知るぽると」で2019年に行われた金融リテラシー調査の結果から、高リテラシー層の「4つの習慣」とも言える特徴について解説します。*1

家計管理をしっかり行っている

金融リテラシー調査結果にも「適切な収支管理(赤字解消・黒字確保)の習慣化」は最低限身に付けるべき金融リテラシーとして挙げられています。*2
家計管理なしに資産形成を成し遂げるのは難しい、と言い換えることもできます。

家計管理において重要なのは収入よりも支出です。
収入は容易に増やすことはできませんが、支出はある程度のコントロールが可能だからです。
金融リテラシーを高める第一歩として、自分が普段何にいくら使っているのかを把握するところから始めてみましょう。
全容を把握すれば削れそうな出費が明らかになるかも知れません。

家計管理の範囲をもう一歩広げるならば、支出としての税金に着目するのもいいでしょう。
税金に無頓着ゆえに払い過ぎているようであれば、各種控除を利用できないか調べてみる動機付けにつながります。

支出を適切にコントロールすればそれだけ手元に残るお金が増えるので、資産形成の次の一歩に繋がります。

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金融経済情報を見る頻度が高い

金融リテラシーの高い人は、金融経済情報に対し積極的にアンテナを張っています。
これは「日々の相場情報を逐一チェックしましょう」という意味に限りません。
今回は個人レベルの話ですので、個人の資産形成に有用な情報全般を金融経済情報として捉えます。

  • 世界で何が起きて、マーケットにどれぐらいのインパクトを及ぼしたか
  • NISAやiDeCoなど、資産形成の助けになる制度が利用できないか
  • 各種給付や税金の控除・還付など公的な制度を利用できないか

こういった情報をこまめにキャッチアップする習慣があれば、知識の蓄積が進みます。
膨大な情報を全て把握することは困難ですので、まずは自分の資産形成に役立ちそうな情報だけ取捨選択するのも良いでしょう。

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金融商品の内容を理解したうえで商品を選択している

金融リテラシー調査結果によると、商品性を理解して投資信託を購入している人の割合は、高リテラシー層は82.5%、対して全層平均は68.7%となっています。
なおここでいう「商品性」とは、元本保証や手数料の有無、どんなリスクがあるか、といった情報を指します。
高リテラシー層が平均値を押し上げているため、低~中リテラシー層が商品性を理解して購入している割合は平均値よりさらに低いと考えることができます。

投資信託に限らず、あらゆる金融商品はその商品性を理解してから購入することが大前提です。
本来的には、商品性を理解して購入している割合は100%になることが理想です。

特に投資信託は投資対象の地域、投資対象の商品(株式・債券・不動産など)、価格変動リスクの程度、信託期間(運用が無期限か有期限か)、コスト体系が多岐に渡り、非常に間口の広い商品と言えます。
商品性を理解せずに投資信託を購入すると、想定した以上の過大なリスクを知らずに背負う可能性があります。
逆に十分なリスクを許容できるにも関わらず低リスクの投資信託を購入すると、過小なリスクしか取れず結果として十分なリターンが得られない可能性もあります。

金融リテラシーを高める第一歩として、まずは自分が負担できるリスクや商品性を理解した上で、その考えにマッチした投資信託を選ぶようにしてみましょう。
投資信託の商品性については目論見書に記載されていますが、よくわからない場合は納得できるまで、担当者に質問をして下さい。

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損失回避傾向および横並び意識が低い

投資の世界における損失回避傾向とは、損失発生により受ける苦痛を過大評価する心理的傾向のことです。
損失を被りたくない思いは誰にでもありますが、この傾向が強すぎると非合理的な判断を招く恐れがあります。

例えば、短期的にはプラスマイナス両方向に多少ブレるが、10年以上の長期で保有していれば平均で年率5%程度のリターンが期待できる投資対象を例にします。
保有している間は常に価格が変動するため、時に元本を大きく割り込む可能性があります。

損失回避傾向が強い人であれば「短期的にはプラスマイナス両方向に多少ブレること」を危険視して、初めから購入を避ける傾向があります。
長期保有の先にあるリターンよりも、短期的に発生するかも知れない元本割れによる心理的苦痛を過大評価してしまうからです。

元本割れの可能性だけを理由に「投資は怖い。やるべきではない。」と結論づける人は、このタイプかも知れません。
元本割れリスクだけを過大評価して投資機会を逸してしまうことは、損失回避傾向の強さが生み出した一種の誤解と言えるでしょう。

損失回避傾向がやや強いという程度の人であれば、購入に踏み出し、しばらく保有してみることは可能かもしれません。
しかし「時に元本を大きく割り込む」局面で慌てて売却する可能性が考えられます。
もしくは少し含み益が出た時点で、「時に元本を大きく割り込む」ことを警戒して早々に売却するかも知れません。
そこまでに得た含み益が減少してしまう苦痛を、損失回避傾向により過大評価する可能性があるということです。
損失回避傾向の強さが、長期投資の継続を困難にしてしまっているわけです。
長期投資のつもりで保有したのに価格変動に動揺した結果、短期で売却していたという経験のある人はこのタイプかも知れません。

いずれのタイプも長期視点で運用を考え、損失発生の可能性としてのリスクを過大評価することなくリターンと同等に評価することが大切です。
そのためにはまず「自分には、損失を過大評価する傾向があるかどうか」を自問してみると良いでしょう。

もう一つの「横並び意識」とは、自分が良いと思った商品より「この商品が今一番売れています」と紹介された商品を選んでしまう傾向です。
この傾向が強いと、金融商品選びを話題性や流行に委ねてしまうことになり、結果として自分の意図した運用ができなくなってしまう恐れがあります。

金融リテラシーが高い人は多少の価格変動に動じず、話題や流行に委ねるような商品選びをしない傾向にあります。
高リテラシー層が持つ損失回避傾向と横並び意識の低さは、自分の投資スタンスの軸を確立させた結果と言えるでしょう。

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まとめ

金融リテラシーの高い人の特徴として見られた4つの習慣について解説しました。
いずれも直ちに運用リターンに寄与するものではありませんが、資産形成を考えるうえで予期せぬ失敗を防ぐための「守りの知識」と言えそうです。
まずは自分で実践できそうなところから行動を起こすことで、生涯にわたって役立つ「お金のマネジメントスキル」としての金融リテラシーを身に付けてみてはいかがでしょうか。

*1 出所)知るぽると「金融リテラシー調査(2019年)」P6

*2 出所)知るぽると「金融リテラシー調査(2019年)」P4

・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。

・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

三菱UFJ国際投信株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

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