2020年3月に税制改正法案が国会で可決され、ジュニアNISAは2023年末の適用期限をもって終了することが確定しました。
延長されなかったのは、ジュニアNISAの「利用実績が乏しいこと*1」が理由です。
2016年からスタートしたジュニアNISAでしたが、2019年末時点での口座数は約35万口座*2で、2019年中の買付額は約491億円*2でした。
1年前と比較すると、口座数の増加は約4万口座と増加*2*3したものの、買付額は約7億円の減少*2*3となっていました。
ジュニアNISAには出金に制約があるというデメリットを感じる人も多かったことから、利用実績が伸びなかった可能性が考えられます。
しかし、終了が決まったことでこのデメリットは解消され、実はジュニアNISAは使い勝手が良くなっています。
今回は、ジュニアNISAが終了されることによる影響を踏まえ、今後の使い方を整理していきます。
とくにNISAの投資枠がもっとほしいと感じている人に役立つ内容なので、ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。
ジュニアNISAの概要説明
はじめに、2023年までのジュニアNISAの取扱いについて確認しておきましょう。主要なポイントは、以下の表の通りです。
出所)金融庁「ジュニアNISAの概要」*4を基に三菱UFJ国際投信作成
ジュニアNISAを利用できるのは0歳~19歳(2023年1月1日以降は0歳~17歳)の未成年です。
未成年なので運用管理は親や祖父母など、2親等以内の親族が行うことになっています。
1人あたり1口座を開設できるので、例えば子供が2人いる場合は口座を2つ開設することができます。
ジュニアNISA内で投資商品を購入できる金額は1年間80万円までで、最長5年にわたって保有することができます。
なお、使い切れなかった部分の翌年以降への繰越はできません。
注意したいのが、ジュニアNISAの資金は18歳まで出金制限があるという点です。
例えば、ジュニアNISAで購入した投資商品を売却したとしても、その売却資金をすぐに現金化することができません。
なお、ジュニアNISAの口座開設者が20歳(2023年1月1日以降は18歳)になると、通常のNISA口座(一般NISAかつみたてNISAを選択)が自動的に開設されます。ジュニアNISAで保有している投資商品は、非課税期間が終了するタイミングであれば、時価にかかわらずすべて一般NISAへ移動することができます。
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出金制限におけるペナルティ
ジュニアNISAでネックになりやすかったのが、18歳までの出金制限です。
ジュニアNISAに入れた資金は、基本的に口座開設者が18歳になるまで拘束されるため、万一のことを考えると資金を投入しづらいところがありました。
もし18歳になるまでに出金を行う場合、以下の2つのペナルティが科せられることになります。
- ジュニアNISA内で過去に発生した利益が、出金時に発生したとみなされ税金が発生する(災害等のやむを得ない事由の場合を除く)
- ジュニアNISA口座が閉鎖される
上記のペナルティを受けると、ジュニアNISAを利用した意味がなくなってしまいます。
これが原因で、ジュニアNISAの利用をあきらめたという人も少なくなかったかもしれません。
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ジュニアNISA終了後の取扱い
ジュニアNISAが終了する2024年以降、従来とは異なる取扱いになるところがいくつかあります。重要なポイントは以下の通りです。
- 新たな非課税投資ができなくなる
- 出金制限がなくなる
- 18歳になるまで非課税で保有し続けられる
上記の対象となるのは、ジュニアNISA終了時点で18歳になっていない場合です。
それでは、それぞれのポイントについて見ていきましょう。
新たな非課税投資ができなくなる
ジュニアNISAが終了する2024年以降は、ジュニアNISAの非課税投資枠はなくなります。
当然ながら非課税での投資はできなくなってしまうので、非課税投資をしたい場合はそれまでに商品を購入しておく必要があります。
出金制限がなくなる
ジュニアNISAの基本的な仕組みでもっともネックだったのが、18歳になるまでは出金制限があったという点です。
しかし、ジュニアNISAが終了する2024年以降は、18歳になる前でも自由に出金ができるようになります。
ジュニアNISAが終了する2023年までの数年間は資金が拘束されますが、制約としてはかなり小さいものになります。
とくに出金制限を理由にジュニアNISAを敬遠していた人には、朗報と言っていいでしょう。
18歳になるまで非課税で保有し続けられる
ジュニアNISAが終了すると新規での非課税投資ができなくなりますが、終了時点で保有している投資商品については、18歳になるまで(1月1日において18歳になる年の前年12月31日まで)非課税で保有し続けることができることになっています。
具体的には、2019年~2023年に購入された投資商品が対象です。
これらは2024年~2028年に非課税期間が終了しますが、その後も18歳になるまでの期間にわたって、実質的に非課税期間が延長されることになるわけです。
これらの投資商品は、当初の非課税期間が終わるまでジュニアNISA内で通常通り保有することになります。
そして、非課税期間終了後、「継続管理勘定」という専用の場所に移動されます。継続管理勘定内で発生する利益には課税されず、売却するか18歳になるまで保有することができます。
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今後のジュニアNISAの使い方
ジュニアNISAの終了が確定するまでは、ジュニアNISAに投入する資金は18歳になるまで出金に制限がかかるというリスクがありました。
しかし、2023年以降はこのリスクがなくなるため、資金投入のハードルが下がります。
そのうえで、2019年~2023年に購入された投資商品については、口座開設者の年齢が若ければ若いほど非課税投資できる期間が長くなります。
年齢によっては非課税期間が大幅に伸びるケースもあるでしょう。
仮にジュニアNISAをこれから開設して、2021年~2023年の3年間使用するとしましょう。
例えば、2021年1月1日時点で5歳(18歳になるのが2034年)の子供が1人いる場合、非課税投資できる金額と期間は以下のようになります。
- 2021年投資分:80万円/最長13年間(2021年~2033年)
- 2022年投資分:80万円/最長12年間(2022年~2033年)
- 2023年投資分:80万円/最長11年間(2023年~2033年)
大まかに言ってしまうと、合計240万円分の非課税投資を11年~13年にわたって行えるということです。
なお、上記は子供が1人の例です。
非課税投資枠については、子供の人数によってはさらに大きな投資枠を確保できることもあります。
また、非課税期間については、口座開設者の年齢によって増減するので、ご自身の状況を踏まえて確認するようにしてください。
終了することで使い勝手は良くなる
今回は、2023年で終了するジュニアNISAについて、今後どのように使っていけばいいかについて整理してきました。
終了することによって出金制限という大きなネックが解消され、口座開設者の年齢によっては10年以上の長期投資も可能となりました。
終了によって使い勝手が良くなったジュニアNISAですが、とくにNISAの非課税投資枠が少ないと感じている人にとっては利用を検討する価値は十分にあるでしょう。
なお、非課税投資の条件は、人それぞれの状況によって大きく変わってしまいます。
もしジュニアNISAに興味を持った場合は、ご自身の状況を踏まえて、可能となる非課税投資の金額と期間を整理するところから始めるといいかもしれません。
*1 出所)金融庁「令和2年度税制改正の大綱における主要項目について」P2
*2 出所)金融庁「ジュニアNISA口座の利用状況調査(2019年12月末時点)」P1、P3
*3 出所)金融庁「ジュニアNISA口座の利用状況調査(平成30年12月末時点)」P1、P3
*4 出所)金融庁「ジュニアNISAの概要-ジュニアNISAとは」
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三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員