お金持ち向けの商売と、大衆向けの商売のちがいについて。

お金持ち向けの商売と、大衆向けの商売のちがいについて。

港区の「特別な」飲食店についての話です。

そのお店は一般の人が入ることができません。
具体的には、その飲食店は以下の条件で運営されています。

  • 完全会員制(数十名規模)
  • 会員になるには、まず会員権を買う(百万円〜)
  • 会員は月額の会費を、飲食費以外にお店の維持のために支払う
  • 会員、および会員の同伴者以外の利用は不可

通常、飲食店は不特定多数を相手にする業態であり、よほど小さいお店でも数十名規模の顧客だけで運営をすることはないでしょう。
それなりの高級店であっても、ある程度の数の顧客が必要です。

ですが、前述したお店は数十名の、ごく限られた人々だけにサービスを提供する「超高級店」です。

お店を訪れれば、そこにはほぼ完全なプライベート空間があり、タチの悪い客も、プライバシーを侵害するマスコミもいません。
そこで飲食をしているのは、身元が保証されており、同じ社会階層に属する人々だけです。

彼らは、極上の食事を、プライバシーを守られた空間で得る対価として、数百万円を支払います

その消費に合理性があるかどうかはともかく、この店は「金持ち向けの商売」のエッセンスを集約しています。

  • 完全にプライバシーが保たれること
  • 個別にカスタマイズされたサービスであること
  • 希少性のある商品が提供されること
  • 高価格は、むしろ一般人への障壁が高くなるので歓迎される

ファーストクラスも、お座敷遊びも、高級車も、宿泊施設も、飲食店も、プライベートバンクも、
「金持ち向けの商売」は、全て、この要件を満たします。
いつの世でも、権力者や金持ちは、「一般人」とは異なる世界に生きている(もしくは、生きていると思いたい)のです。

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それに対して、一般人向けの商売はベクトルが逆です。

具体的には、一般人向けの商売の条件は、次の要件を満たします。

  • マス層にアプローチし、できるだけマーケットを広く取ろうとする
  • 極力、カスタマイズを廃する。もしくはカスタマイズを自動化する
  • 希少性のないものを、希少に見せるようにマーケティングする
  • コストを極力下げることで、競争力を生み出す

「大衆」を相手にするということは、つまり上の条件を満たすということになります。

ここでポイントとなるのは「カスタマイズ」を自動化して、できるだけ希少に見せることです。

いくら大衆向けであっても「皆と同じもの」にはすでに、皆見向きもしません。
逆に言えば、大衆同士であっても他者との「差異化」が、消費を促すには必要です。

そのため、某インテリア用品店などでは、商品を細かくユニット化し、細かくデザインや外見を客が選べるようにしています。

「自分だけの〜を作ろう」

というキャッチフレーズを見ることは多いですが、それこそまさに「大衆向け」であることの証です。

これらの特徴を見ると、よく知られているとおり「大企業」とは、まさに、大衆向けのサービスを提供する組織であることがわかります。

大企業は、大衆向けの大きなマーケットを制しているからこそ、大きく存在できるのです。

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逆に金持ち向けのサービスを提供するのは、むしろ「老舗・中小企業」や「零細・個人」です。

ラグジュアリーカーメーカーは、大衆車メーカーよりも小さい。
プライベートバンクは、都市銀行よりも小さい。
超高級家具屋は、ホームセンターよりも小さい。

宿泊施設であっても同様です。

例えば富裕層向けの宿泊施設は、1泊あたり少なくとも20万円以上、ハイクラスであれば1泊あたり200万円を超える料金を取る施設もあります。

こういった施設では部屋付きの「御用聞き」がセットで提供されており、宿泊施設あたりの部屋数が、数室〜十数室程度と、小規模に留められています

しかし、大衆向けのビジネスホテルは、大規模なチェーン展開とときに数百室を要する施設を作り、標準化されたサービスを提供しています。
当然、単価は低いです。


ですが、総体としては「ビジネスホテル」を提供したほうが、会社規模は遥かに大きくできます。
例えば、APAホテルグループの総売上高は1000億円を超えており、国内でいわゆる「一流ホテル」と言われる会社を大きく上回っています。

これは考えてみれば当たり前で、「金持ちマーケット」よりも「一般人向けマーケット」のほうが、市場規模としては遥かに大きいからです。

つまり、金持ち向けの商売をする代償として、規模は諦めなければならないのです。

逆に、一般人向けの商売をする代償として、マスに迎合する必要性があります。つまり、尖ったことはできなくなります。

だったら、「大衆向けの商売」のほうがいいじゃないか、という考え方をする人がいるかもしれません。

ところが、話はそう簡単ではありません。

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「規模」を大きくすると、「利益率」は低くなってしまうのが常です。

実際、金持ち向けの商売のほうが、売上は小さくとも、利益の額からすれば遥かに大きいということが十分にあり得るのです。

したがって「金持ち向け」かつ「規模を大きく」するためには、「大衆向け」商売とは別に、一部の商品をラグジュアリー化する、別ブランドで販売することです。

これに最も成功してきたのがAppleです。
現実にAppleは「スマートフォンから得られる利益」の66%を独占しています。*1

iPhoneは「大衆向け」を標榜してきてはいますが、徐々にラグジュアリーブランドとしての地位を確立しようとしており、年々端末の価格が上がっています。
事実、ハイエンド端末はすでに15万円以上するため、下手なPCや、同社のノートPCよりも高価格です。

遠くない将来、iPhoneは、富裕層が持つ宝飾品と同様の端末としての認識を得るかもしれません。
事実、「Apple watch」はすでに「エルメス」とのコラボレーションなどにより、ラグジュアリー性の高い端末が出回っています。


世界ではAppleのスマートフォンのシェアは低下傾向にあり、おそらく今後も下がり続けると思われます。
しかしながら、Appleがスマートフォンから得られる利益のシェアは変わらないでしょう。

そのため、Appleは金持ち向けの商売の鉄則

  • 完全にプライバシーが保たれること
  • 個別にカスタマイズされたサービスであること
  • 希少性のある商品が提供されること
  • 高価格は、むしろ一般人への障壁が高くなるので歓迎される

を貫こうとしているのです。

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