資産形成を目的に投資信託を運用する場合、「少しでもお金を増やしたい」と考えるのではないでしょうか。
確かにお金を増やすことは大切ですが、資産を守ることも同じくらい重要なことです。
投資信託は元本割れの可能性もあるため、リターンを追い求めながらも、リスクを最小限に抑えることを意識する必要があります。
今回は、資産を守るために投資信託の運用で心掛けたいことを5つ紹介します。
リスクの取りすぎに注意する
投資信託は元本保証の商品ではなく、価格変動リスクがあります。
資産のほとんどを投資信託で保有すると、資産が増える可能性が高まる一方で、値動きが大きくなったときに資産が目減りするリスクも高まります。
投資信託と預貯金をバランスよく保有して、リスクの取りすぎに注意することが大切です。
リスク許容度は年齢や収入、考え方によって変わってきます。
たとえば、働く期間が長く毎月一定の収入が見込める場合は、ある程度リスクを許容して投資信託の保有を検討するのもひとつの考え方です。
一方で、毎月の生活費の確保が少しでも負担に感じる場合は、預貯金に回すほうがよいかもしれません。
資産を守りながら投資信託の運用を続けるために、どれくらいのリスクなら受け入れられるかを検討してみましょう。
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運用コストが低いファンドを選ぶ
投資信託は以下のようなコストがかかります。
- 信託報酬:投資信託の保有額に応じて支払う運用管理費用
- 購入時手数料:投資信託を購入するときに販売会社に支払う手数料
- 信託財産留保額:投資信託を信託期間の途中で解約するときに生じる費用
信託報酬は、投資信託の保有中は継続的に支払う必要があるため、長期の運用成績に大きな影響を与えます。
運用利回りが同じファンドに投資した場合は、運用コストが低いファンドのほうが運用成績はよくなります。
たとえば、100万円を投資して信託報酬控除前のリターンが4.5%の場合、信託報酬が1%違うと20年間で運用成績に約33万円の差が生じます。*1
また、投資信託は購入時手数料や信託財産留保額もかかりますが、これらの手数料は無料のファンドもあります。
投資信託で資産形成に取り組むときは、運用コストが低いファンドを選ぶことが資産を守ることにつながります。
運用方針が同じようなファンドであっても、商品によって運用コストは異なるので、購入前に必ず手数料を確認しましょう。
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分散投資を心掛ける
投資信託のリスクを減らす方法のひとつが「分散投資」です。
分散投資には「資産の分散」「地域の分散」「時間の分散」という3つの考え方があります。
投資信託の運用で資産を守るには、これら3つの分散を意識してファンドを選ぶといいでしょう。
資産の分散
資産の分散とは、値動きの異なる資産を組み合わせて投資を行うことです。
投資信託を通じて投資できる資産は、株式や債券、不動産、商品などさまざまな種類があります。
一般的には、それぞれの資産は異なる値動きをすることが多いです。
たとえば、「株式が値上がりするときに債券は値下がりする」といった具合です。
資産の分散を行うことで、特定の資産の値下がりを他の資産の値上がりで補うことが可能となるため、リスク軽減が期待できます。
投資信託を選ぶときは、資産の分散を意識して複数のファンドを組み合わせることを検討しましょう。
また、1本で複数の資産に分散投資できる「バランス型」のファンドもあります。
地域の分散
地域の分散とは、異なる国や地域の資産・通貨を組み合わせて投資を行うことです。
投資対象資産の価格は、国や地域の状況、為替変動などによって異なる値動きをします。
投資信託は国内だけでなく、先進国や新興国の株式、債券、不動産などにも投資できます。投資信託を選ぶときは、資産の分散と併せて地域の分散も意識しましょう。
時間の分散
時間の分散とは、積立投資で定期的に一定額を購入することで、投資するタイミングを分散することです。
投資信託の価格は常に変動しています。
一度に投資せずに定額の積立投資で時間の分散を行うと、価格が高いときは口数が少なく、価格が安いときは口数を多く買うことができます。
長期的には平均購入単価が平準化されるため、一括で投資する場合に比べて価格の下落局面でも損失の軽減が期待できます。
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積立投資を途中でやめずに継続する
投資信託の積立投資は、時間をかけて少しずつ資産を増やしていく投資方法です。
短期間で資産が大きく増えることは少ないので、途中でやめたくなるかもしれません。
また、投資信託の価格が下がると、投資を続けることが怖くなることもあるでしょう。
しかし、積立投資は途中でやめずに継続することが大切です。
資産や地域を分散した積立投資を長期間続けると、結果的に元本割れする可能性が低くなる傾向にあります。*2
積立投資を途中でやめてしまうと、このような効果は得られません。
投資信託の日々の価格変動に過度に反応せず、淡々と積立投資を続けることが大切な資産を守ることにつながります。
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非課税制度をうまく活用する
投資信託の運用益(売却益、分配金)には、通常約20%の税金がかかります。
しかし、非課税制度を利用して購入した投資信託については、運用益が非課税になります。
利益が出た場合は税金分だけ手元に残るお金が増えるので、効率的な運用が可能となります。投資信託の積立投資で利用できる主な非課税制度は以下2つです。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、若い世代の資産形成を支援する目的で創設された少額投資非課税制度です。
非課税投資枠は毎年40万円まで、非課税期間は最長20年間で、最大800万円まで非課税で運用できます。*3
つみたてNISAの投資対象商品は、国が選定した長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されているので、初心者の方でも始めやすいでしょう。
また、つみたてNISAは非課税期間の途中でも売却して引き出せます。
これから非課税制度を利用するなら、まずはつみたてNISAを検討してみましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、将来のために自分で掛金を払って運用を行う私的年金制度です。
金融機関ごとに運用商品が用意されており、投資信託で運用することも可能です。
iDeCoには以下3つの税制優遇が用意されています。*4
- 運用益が非課税
- 掛金が所得控除
- 受取時の税制優遇
iDeCoは非課税で運用できることに加えて、掛金が所得控除になります。
所得税・住民税が軽減されるため、資産を上手に運用することが可能です。
また、一時金で受け取るときは退職所得控除、年金で受け取るときは公的年金等控除が適用されます。
ただし、iDeCoは原則として60歳まで引き出しできません。
iDeCoで運用を行う場合は、老後まで使う予定がない余裕資金の範囲で掛金を払いましょう。
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投資信託の運用では資産を守ることも意識しよう
投資信託は元本保証の金融商品ではなく、価格変動リスクがあります。
リスクを取りすぎると、一時的に大きな評価損が発生して運用に支障をきたす恐れがあります。
投資信託の積立投資で資産形成に取り組むときは、お金を増やすことだけでなく、大切な資産を守ることも意識しましょう。
*1 出所)金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック(Lesson5 手数料について学ぼう!)」
*2 出所)金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック(Lesson4 長期投資の効果について学ぼう!)」
*3 出所)金融庁「つみたてNISAの概要」
*4 出所)iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員